FLOSFIAの新型パワーモジュール、体積1/100に:パートナーとプラットフォーム構築
京都大学発ベンチャーで先端パワー半導体の開発を行うFLOSFIAは、従来型に比べて体積を100分の1以下にできる金型レスの「新型パワーモジュール」を開発した。
金型レスでカスタマイズ性が飛躍的に向上
京都大学発ベンチャーで先端パワー半導体の開発を行うFLOSFIAは2021年8月、従来型に比べて体積を100分の1以下にできる金型レスの「新型パワーモジュール」を開発したと発表した。本格的なサービス開始に向けて、パワー半導体メーカーなどパートナー企業と連携し、「パワーモジュールプラットフォーム」を構築していく計画である。
新型パワーモジュールは、プリント基板にパワー半導体を内蔵する埋め込み型の構造を採用した。これにより、従来型パワーモジュールに比べ、大幅な小型化と薄型化を実現した。製造時に金型を用いる必要がないため、カスタマイズも比較的容易だという。
FLOSFIAは、新型パワーモジュールの普及に向けて、パワー半導体や受動部品、材料、基板、3Dプリンタなどのメーカーと連携し、「パワーモジュールプラットフォーム」を構築していく。既に三菱重工業を始め、複数のパートナー企業がこのプラットフォームに参画しているという。
さらに、パワーモジュールの提案受領と発注を、顧客がウェブサイトから行えるシステムを開発していく。プラットフォームに参画する企業を拡大・強化し、将来的には発注完了から1週間後に、フルカスタム製品が顧客の手元に届く「シャトルサービス」を提供していく計画である。
FLOSFIAは、パワーモジュールプラットフォームを活用して、2022年前半にもサンプル品の供給を始める。2022年中には量産プロジェクト向けサービスを提供していく予定である。
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