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売上高3兆円目標に半導体関連で積極投資も、京セラ2000億円規模の設備投資を「2〜3年」継続へ(3/3 ページ)

京セラは2021年11月25日、オンラインで事業戦略説明会を実施し、連結売上高3兆円、税引き前利益率20%とする新たな事業目標を発表した。時期は明確にしていないが、同社社長の谷本秀夫氏は、従来目標の売上高2兆円が今後2年程度で達成する見込みとしたうえで、「3兆円達成は、そこからさらに5年後くらいだろう」と説明した。また、同社は半導体関連で今後2〜3年間は、年間2000億円規模の投資を継続する方針も明かした。

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KYOCERA AVXとのシナジーを最大化

 MLCCやタンタルコンデンサー、水晶部品、コネクターなどを扱う「電子部品セグメント」では、完全子会社化した「KYOCERA AVX Components(以下KYOCERA AVX)」(旧AVX、2021年10月に社名変更)と京セラ電子部品事業本部の異なる強みを生かすとともに、経営資源のシナジーを最大化。5Gおよび6Gや車載、IoT(モノのインターネット)、医療、産業の「伸びる市場」で事業拡大を行っていく方針だ。

 この分野では、「伸びる高収益事業への積極投資」を重点施策として実施。MLCCでは通信端末向け小型/高容量製品の拡大や情報/IC/車載市場への展開を推進するほか、先行技術の強化を滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)で実施する。

 タンタルコンデンサーでは、タイに新工場(2021年12月完成予定)を建設し、情報機器向けSSD用途などへポリマータンタルを増産。同時にKYOCERA AVXが得意とする医療、産業、航空宇宙といった高収益市場にも注力していく。さらに水晶振動子では、通信端末向け小型SMDのシェア拡大を、社内コア技術を活用し行っていくほか、シリコンMEMS WLP(Wafer Level Package)振動子の開発をフィンランドのR&D拠点「KYOCERA Tikitin Oy」で進めていくとしている。

「伸びる高収益事業への積極投資」の概要[クリックで拡大] 出所:京セラ

 また、「KYOCERA AVXとのシナジー追求」も重点施策として強調。販売面では、営業組織統合を欧米では2021年10月に行っており、アジアでも2022年4月に実施する予定で、下表のように、両社の異なる強みを生かし、クロスセルを展開していく。さらに製造面では京セラの自動化ラインをKYOCERA AVXに導入するほか、開発面では「KYOCERA AVXの特許技術で、京セラの製造力であれば作れる、というユニークな製品が多い」といい、双方の技術の融合による新製品開発を推進。「シナジーを追求することで競合他社と差別化したビジネスを展開し、特定の分野でナンバーワンを目指し、業界のリーダーを目指す」としている。


KYOCERA AVXとのシナジー追求について[クリックで拡大] 出所:京セラ

 このほか重点施策としては、高効率SMDレーザーと車載モジュール技術を組み合わせた次世代EV(電気自動車)用レーザーモジュール開発や、半導体有機基板とコネクターを組み合わせた次世代光通信モジュール開発など、グループ内の技術を結び付け価値ある新製品を生み出す「セグメント間の連携強化」や「事業領域の拡大」を挙げていた。

左=セグメント間の連携強化の具体例/右=事業領域の拡大について。コンデンサーではIoT機器のバックアップ電源など向けのSuper Cup、EV向けのアルミニウムコンデンサーなどの新製品を投入し、「総合コンデンサーメーカー」として事業を拡大していく方針としている[クリックで拡大] 出所:京セラ

 機械工具や情報機器、通信機器、ディスプレイなどの「ソリューションセグメント」では、「既存プロダクトラインのビジネス強化」「既存プロダクトラインの枠を超え、新しいソリューションを提供」「マーケティング、テクニカルアプローチ、そして既存ビジネスを融合させたイノベーションの創出」の3点を重点施策として実施する方針だ。この取り組みによって同セグメントでは、連結売上高目標の半分にあたる1兆5000億円の売り上げを目指していくという。

ソリューションセグメントの重点施策概要[クリックで拡大] 出所:京セラ
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