検索
ニュース

2025年に「PCIe 7.0」策定へ、最大512GB/秒を目指す車載分野も視野に

高速バスインタフェース「PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)」仕様の第6版は2022年初めに発表されたばかりだが、同仕様を管理するPCI Special Interest Group(SIG)は既に「PCIe 7.0」を見据えている。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 高速バスインタフェース「PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)」仕様の第6版は2022年初めに発表されたばかりだが、同仕様を管理するPCI Special Interest Group(SIG)は既に「PCIe 7.0」を見据えている。

 PCI-SIGは「PCI-SIG Developers Conference 2022」(2022年6月21〜22日、米国カリフォルニア州サンタクララ)で、2025年にPCIe 7.0をリリースすると発表した。PCI-SIGのプレジデント兼チェアマンを務めるAl Yanes氏は、「PCI-SIGのテクニカルワークグループは現在、データレートを128GT/秒に倍増し、x16構成では双方向で最大512Gバイト/秒にすることを目指して開発を進めている」と述べている。


PCIeのI/O帯域幅は3年ごとに2倍になっている[クリックで拡大] 出所:PCI-SIG

 PCI-SIGの第7版PCIeは、低レイテンシ(低遅延)と高信頼性の目標の実現と、電力効率の向上、前世代の全てのバージョンとの後方互換性の保持を続けることを目指している。次世代の仕様は、PAM4(Pulse Amplitude Modulation with 4 levels、4値パルス振幅変調)シグナルを採用し、チャネルパラメーターとリーチに焦点を当てるという。

 Yanes氏は、「PCI-SIGは、PCIe 6.0成功の実績があるため、これらの目標を達成できると確信している」と述べている。PCIe 6.0は、NRZ(Non Return to Zero)シグナルからPAM4シグナルおよびフロー制御ユニットベースのエンコーディングに移行した。これによって、PAM4変調をサポートし、新たに追加されたFEC(前方誤り訂正)およびCRC(巡回冗長検査)と組み合わせることで、帯域の倍増を実現した。

 同氏は、「NRZからPAM4への移行は、われわれにとって革命的な移行だった。これらの機能は、レイテンシや後方互換性を犠牲にすることなく追加された」と述べている。

 PCIe 7.0の目標は、800GイーサネットやAI(人工知能)、機械学習、クラウドコンピューティング、さらには量子コンピューティングなど、PCI-SIGがターゲットとする新しいアプリケーションの要件に加え、ハイパースケールデータセンターや高性能コンピューティング、軍事および航空宇宙アプリケーションなどのデータ集約型のユースケースを反映している。

 Yanes氏は、「言うまでもなく、全ての人がPCIe 7.0またはPCIe 6.0の帯域幅を必要としているわけではない。一方でHPC(High Performance Computing)やAI、機械学習の開発者は、より速い速度を採用して帯域幅の目標を達成しようとしている」と述べている。

 PCI-SIGはこれ以外に、車載向けの機会も模索していく構えだ。車載市場への参入は、PCIe 6.0で既に視野に入れていたという。これについてYanes氏は、「ただし、PCIe 7.0の車載実装への道のりは、必ずしも明確にはなっていない。当社は、車載市場への参入に重点的に取り組んでいる」と述べる。

 PCI-SIGでは、自動車に搭載されるセンサーの数を考慮し、自動車向けのワーキンググループを設置した。

 現時点では、ISO 26262で認証されたASIL Dなどをサポートしていないため、PCIe 6.0すら車載アプリケーションには採用されていない。ASIL Dは車載向け安全規格の中でも最も厳しい規格の一つであり、取得には1年ほどかかるとYanes氏は説明した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る