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CHIPS法の補助金500億ドル、分配実施の概要を発表近くさらなる規制措置の発表も(2/2 ページ)

2022年9月6日(米国時間)、米国商務省は同省やその他の政府機関がどのように「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)」からの500億米ドルを半導体メーカーや半導体関連のグループに分配するかについて概要を示した。資金提供に関するより詳しい文書は、2023年2月初めに公開される見込みだ。

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「技術的優位性を取り戻す」

 米国EE Timesがインタビューを行った情報筋によれば、米国政府は近々、CHIPS法の資金を提供しない企業について定めたさらなる規制措置を発表する予定だという。その対象企業としては、中国に投資をしている半導体メーカーの他、TSMCやSamsung Electronicsなどのファウンドリーのように、中国の半導体メーカー向けに7nmノード以降を適用した製造を行っている企業などが挙げられるという。

 米国商務省は2022年9月6日(米国時間)、CHIPSプログラムの主要な目的は、半導体製造分野における技術的優位性を、TSMCやSamsungなどのアジア企業から取り戻すことにあると述べている。

 TSMCとSamsungは、2022年中に3nmチップの生産を開始する予定だが、米国ではIntelが、同社にとって初となる7nmチップの生産をまだ開始できていない状況にある。TSMCとSamsungはいずれも、CHIPS法の資金提供を受けることを見込み、米国内での投資を発表している。

 さらに、最近ではIntelが、同じくインセンティブプログラムを頼りに、米国内で最大1000億米ドルの投資を行うと発表したところだ。

 また、CHIPS法の掲げる目標には、成熟プロセスを適用した半導体チップの安定供給実現や、最先端の研究開発における投資の推進の他、製造業分野における魅力的な雇用を数万人規模で創出することなども含まれている。

 カーボンナノチューブの先駆的企業であるNanteroなどのメーカーは、CHIPSプログラムが、これまでその商業的実現可能性を阻止する存在だった“死の谷”から抜け出せるよう、サポートしてくれるのではないかと期待している。米国国防総省の信頼を受ける半導体サプライヤーである米国ファウンドリーSkyWater Technologyは最近、CHIPSプログラムからの資金獲得を当てに、18億米ドルの半導体製造工場を建設する計画を発表したところだ。

 CHIPS法の資金は、助成金または共同契約金のほか、補助金付き融資または融資保証としても提供される。また、米国商務省は現在、CHIPSプログラムをサポートすべく、最先端の製造工場の設備投資に対して新たな投資税額控除を制定するための検討を進めているところだという。

 米国商務省は、「研究開発分野において米国のリーダーシップを強化するためには、学術界や産業界、同盟国との協業だけでなく、複数年間にわたる継続的な投資が必要だ」と述べている。

 CHIPSプログラムは、情報セキュリティやデータ追跡、検証などの標準規格に準拠するプロジェクトを優先することにより、そのような標準規格のさらなる開発・導入に向けて協業していくという。

 米国政府は、「CHIPSプログラムは、通常であれば半導体業界から排除される人々にも雇用を提供できるよう、サポートすることが可能だ。例えば、女性や有色人種、退役軍人、地方在住者などが挙げられる」と主張する。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

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