ソニーのイメージセンサー事業、今後の展望と成長戦略:25年度の金額シェア60%は「達成可能」(4/4 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズのCEO(最高経営責任者)である清水照士氏が、同社事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。
3年で約9000億円規模の設備投資と「同程度必要」
設備投資については、2021〜2023年度の3年間の累積設備投資額が約9000億円になると見込みを示し、「次期中期経営計画(2024〜2026年度)の3年累計額も現時点で今中計とほぼ同程度必要と考えている」とした。その上で、「足元の不安定な市況を踏まえ、今後の需要動向を現時点で正確に見極めるのは非常に難しい」とし、今後の投資計画について、市場環境の変化を重視しながら、あらゆる可能性を想定して慎重に精査していく方針を示した。
一方で、「不透明な状況の中でも長期視点に立って将来の準備を進めている」とも述べ、熊本県合志市に約27万m2の土地を取得予定だと明かした。
また、ロジックウエハーの調達についても、引き続き重要な経営課題と認識している。2022年度まで大きな課題となっていたロジックウエハーの需給ギャップについては景気悪化の影響もあり解消したというが、「今後の事業成長を想定し、将来に向けた手当は必要だ」と言及。TSMCの子会社でソニーも出資するJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)を通じ、中長期的に安定調達できる準備を進めていくとした。
清水氏は、今回示した将来の成長を実現するため、「まだまだ人材が必要だ」とも述べ、「半導体産業はその成長期待に対して慢性的に人材が不足しているため、人材獲得は産業全体の課題と認識している。自社のことだけを考えるのではなく、産学連携による半導体人材の育成がこれまで以上に必要だ。産業全体の未来を担う人材が育つよう、さまざまな取り組みを通じて貢献していきたい」と語っていた。
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