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次世代移動体通信「6G」を具現化する技術(後編)福田昭のデバイス通信(405) 2022年度版実装技術ロードマップ(29)(3/3 ページ)

前編に続き、「6G」を実現するために必要な要素技術を解説する。仮想化端末、メタサーフェス反射板、通信衛星などの技術を簡単に紹介していく。

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基地局の分割と高密度化に不可欠な「アナログRoF」

 最後の要素技術は「(f)「アナログRoF(Radio-over-Fiber)」である。この技術も、「6G」システムで「ユーザーセントリックアーキテクチャ」を実現するための重要な要素だと言える。

 「ユーザーセントリックアーキテクチャ」や「仮想化端末」などのコンセプトでは、膨大な数の基地局を高い面密度で配置することが前提になる。基地局は大別するとアンテナ、増幅器、A-D/D-A変換回路、光電変換回路、信号処理回路などで構成される。基地局の設置コストや稼働コスト、設置に必要な工事のリソースなどを考慮すると、このような構成では数多くの基地局を設置することは極めて難しい。


アナログRoF(Radio-over-Fiber)による基地局機能の分離と集約。左側が張出局。複数の無線端末とやりとりする。右側が集約局。複数の張出局と接続して信号処理を担う。張出局と集約局の間は光ファイバケーブルによって信号を伝送する[クリックで拡大] 出所:NTT技術ジャーナル、2020年3月号、pp.15-17

 スマートフォンや携帯端末などにとって重要なのは、無線信号を送受信する相手であり、極端に言ってしまえば「通信可能なアンテナの数」になる。そこで基地局を、アンテナと増幅器で構成される簡素でコストの低い「張出局」と、信号処理回路や固定回線接続部などで構成される高コストの「集約局」に分離する。そして低コストの「張出局」を数多く設置することで、「ユーザーセントリックアーキテクチャ」を実現可能な数のアンテナを設ける。複数の張出局を、1つの集約局でまとめる。

 ここで重要なのが「アナログRoF」技術である。張出局と集約局の間を光ファイバケーブルで結ぶ。しかも張出局では無線信号をデジタル信号に変換せず、アナログ無線信号のままで光強度変調によって光ファイバを通す。こうすると張出局では超高速のA-D/D-A変換回路が不要となり、コストがさらに下がる。

(次回に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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