ST、超音波スキャナーに向けた超音波ICを発表:機器の小型化や部品点数を削減
STマイクロエレクトロニクスは、応用機器の小型化や簡略化、部品点数の削減を可能にする超音波IC「STHV200」を発表した。医療用超音波エコーシステムや産業用非破壊検査装置といった用途に向ける。
3Aのリニア出力と2Aのパルス出力が可能
STマイクロエレクトロニクスは2023年7月、応用機器の小型化や簡略化、部品点数の削減を可能にする超音波IC「STHV200」を発表した。医療用超音波エコーシステムや産業用非破壊検査装置といった用途に向ける。
STHV200は、リニアドライバーとパルスドライバーを集積し、クランプ回路やスイッチング回路、診断回路を内蔵した超音波IC。3Aのリニア出力と2Aのパルス出力が可能である。リニア回路とパルス回路をそれぞれ2チャネル備えた。同じ高電圧出力ノードを共有すれば、用途に適切な出力を得ることができるという。例えば、体内組織の撮像にはパルス波を、血流の測定には連続波を、臓器の健康状態や腫瘍の診断にはエラストグラフィを用いることで、最適な測定が可能となる。
リニアドライバーは、4つのプログラム可能なゲインレベル(39dB、36dB、32.5dB、24dB)を用い、出力信号を180Vppまで調整できる。各チャネルは、ノイズと高調波を低減するよう最適化されているため、最大ゲイン設定で20MHz、最小ゲイン設定で25MHzまでの動作が可能となっている。出力回路にダイオードを用いる必要がなく、ひずみも抑えた。一方、グリッチの混入を防ぐため専用回路を設け、ターンオン/ターンオフ時間を高速にした。
パルス出力のチャネルは、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタのいずれもSPI端子を介して、最大2Aの飽和電流をプログラム設定できる。生成される出力電圧は200Vppまで変化させることができ、スイッチング波形のエッジを微調整すれば、パルス波と連続波および、エラストグラフィモードにおいて、性能と消費電力を最適化できるという。出力ノードを強制的にグランドへ直結させるためのゼロクランプ回路も内蔵した。
この他、フリーホイール保護ダイオードや出力短絡保護機能、IC全体のチェック機能および、自動診断機能なども内蔵した。パッケージは外形寸法が7×7mmの48端子QFNで供給。価格は約30.00米ドルである。
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