連載
モビリティーの電動化で電磁ノイズの発生源が増加:福田昭のデバイス通信(417) 2022年度版実装技術ロードマップ(41)(2/2 ページ)
今回はモビリティーの電動化で複雑性が増す「EMC・ノイズ対策」の概要を紹介する。
周波数帯域の違いで対策手法と対策材料が異なる
電磁ノイズの周波数帯域が広がることは、ノイズ対策が複雑になることを意味する。対策手法と対策材料が扱える周波数帯域はある程度、限定されているからだ。
発生したノイズに対処する手法は大別すると、遮へい(シールド)と吸収(熱変換)に分かれる。従来の主流は金属(導体)箔や金属板などを使ったシールドだろう。金属遮へいは高周波電界に対して極めて有効である。しかし金属は交流磁界、特に低周波の交流磁界が透過してしまう。そこで低周波の交流磁界ノイズに対しては、高い透磁率を有する強磁性材料が使われる。最近では軟磁性粉と樹脂、溶剤で構成された低周波磁気シールド塗料が開発されている。
またギガヘルツ帯の高周波ノイズでは、磁性材料のフェライトが吸収材として使われてきた。最近では、炭素繊維を樹脂に配合した電磁波吸収シート、鉄を主成分とする10nmサイズのナノ結晶軟磁性材料などが開発されている(詳しくはロードマップ本体の251〜252ページを参照されたい)。
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