「Raspberry Pi 5」が登場、CPU性能が2倍以上に:2023年10月に英国で発売
英国Raspberry Pi財団は2023年9月28日(英国時間)、最新モデルとなる「Raspberry Pi 5」を発表した。前世代の「Raspberry Pi 4」と比べCPU性能は2〜3倍となったほか、新たにPCI Express 2.0も利用可能になった。
シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、ラズパイ)」を手掛ける英国Raspberry Pi財団は2023年9月28日(英国時間)、最新モデルとなる「Raspberry Pi 5」を発表した。前世代の「Raspberry Pi 4」と比べCPU性能は2〜3倍となったほか、新たにPCI Express 2.0も利用可能になった。英国では2023年10月にメモリが4Gバイト品と8Gバイト品の2モデルを発売予定。価格はそれぞれ60米ドル、80米ドルだ。
Raspberry Pi 5は、Broadcomの16nmプロセスSoC(System on Chip)「BCM2712」を採用した。BCM2712は2.4GHz動作のArm「Cortex-A76」を4コア搭載。前世代のRaspberry Pi 4と比べてCPU性能が2〜3倍以上高速化したとしている。また、GPUも新たにBroadcomの「VideoCore VII」を採用していて、こちらも従来の2倍性能が向上したという。なお、メモリは低消費電力で動作するLPDDR4Xを採用し、データレートも 4267MT/sへと引き上げられている。
さらに、IOコントローラーに独自開発の「RP1」を採用したことで、カメラ/ディスプレイ/USBなどのインタフェース機能が向上。新たにPCI Express 2.0が利用可能になった。また、Raspberry Piシリーズで初めて、ボード上に電源ボタンを設置したほか、別売りのHATを接続することでM.2ストレージの増設にも対応した。
メモリ容量は1/2/4/8Gバイト品を予定していて、2023年10月に4/8Gバイトモデルから英国で販売を開始する。なお、国内でRaspberry Piシリーズを取り扱うKSYやスイッチサイエンスでは、工事設計認証の取得/表示などの対応が完了次第、順次販売を開始する予定だ。
以下が、Raspberry Pi 5の主な特長だ。
- CPU Broadcom「BCM2712」(2.4GHz/4コア 64ビットArm「Cortex-A76」(512KバイトのL2キャッシュ/2Mバイトの共有L3キャッシュ)
- GPU Broadcom「VideoCore VII」(OpenGL ES 3.1、Vulkan 1.2をサポート)
- デュアル4K/60p HDMIディスプレイ出力(HDR対応)
- 4K/60p HEVCデコーダー
- 802.11ac Wi-Fi(2.4GHz/5.0GHz)
- Bluetooth 5.0/Bluetooth Low Energy(BLE)
- SDR104(高速区分)モードをサポートするMicro SDカードスロット
- 2×USB 3.0ポート(同時に5Gbpsの通信が可能)
- 2×USB 2.0ポート
- ギガビットイーサネット(別売りのPoE+HATを接続することでPoE+も利用可能)
- 2×4レーンMIPI(カメラ/ディスプレイ用)トランシーバー
- 高速ペリフェラル用PCIe 2.0 x1インタフェース
- Raspberry Pi標準の40ピンGPIOヘッダ
- 別売りの外部電源によるリアルタイムクロック
- ボード上に電源ボタン搭載
- 電源 最低5V/3A、推奨5V/5A
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