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「S9」のベースは「A16 Bionic」!? Appleの自在過ぎるスケーラブル戦略:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(78)(4/4 ページ)
Appleのプロセッサ開発力は、スピードを含め確実に上がっている。さらにAppleは、コア数を自由自在に増減し、ローエンドからスーパーハイエンドまでのプロセッサファミリーをそろえる「スケーラブル戦略」を加速している。発売されたばかりの「Apple Watch Series 9」を分解すると、それがよく分かる。
チップ個数でさえも、スケーラブルを適用するApple
図4は2023年11月に発売されたM3シリーズのMacBook Proの様子である。ハイ/ミドル/ローでは、プロセッサパッケージのサイズ(内部のコア数、メモリ容量がスケーリングされている)もスケーリングされている。機能コアの増加に伴い電流が変わるので、基板上の電源系チップの点数も増えていく。
表4は、M3シリーズを用いたMacBook Proの基板に搭載された、機能チップの個数である。M3では42個、M3 Proでは54個、M3 Maxでは63個。同じチップがM3 Proでは3個、M3 Maxでは5個などと、作り分けされている。詳細はぜひテカナリエレポートで確認いただきたい。シリコン上だけでなく、基板上のチップ個数さえもAppleはスケーラブルデザインを適用しているのだ。驚異的かつトータル的なスケーラブルデザイン力といえる。
次回はGoogleの「Tensor G3」について報告したい。ではまたね!
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