ローム、24年度業績予想を下方修正 在庫調整の長期化で:第3四半期は減収減益(2/2 ページ)
ロームは2023年度第3四半期の業績を発表した。売上高は前年同期比11.1%減の1158億円、営業利益は同56.8%減の108億円だった。通期業績予想は、売上高は5000億円から4700億円に、営業利益は530億円から440億円に下方修正した。
全ての製品分野で減益
製品別では、売上高はモジュールのみ前年同期比で増加したものの、利益は全ての製品分野で減少した。LSIの売上高は511億円で、前年同期比16.9%減少した。半導体素子は同8.0%減の495億円だった。
在庫調整の影響が続き、通期業績予想は下方修正
通期業績予想は、2023年11月に発表した修正計画から再修正した。売上高は5000億円から4700億円に、営業利益は530億円から440億円に下方修正した。市場における在庫調整が続いているためだという。自動車市場は継続的に成長を続けているものの想定を下回ったほか、産業機器市場およびコンピュータ/ストレージ市場においても在庫調整と需要低迷が長引いているとした。
今回の再修正によって、通期での売上高は前年比7.5%の減少を見込むこととなった。自動車向けはxEV分野の好調により同8.9%増加する見込みだが、それ以外の用途ではいずれも減少すると見る。コンピュータ&ストレージ向けは減少幅が特に大きく、同28.5%減の506億円になると予測する。
工場の稼働率の状況は、パワー/アナログ半導体における主力商品では高い水準を維持しているものの、足元の需要の弱さや在庫調整の影響を受け、全体では低下傾向にあるという。
半導体市場の回復について、ロームは「今期は各市場における調整局面により停滞が続いているが、来期は調整局面から脱却し、電動化のニーズから注力市場である自動車/産業機器市場を中心に再び成長軌道に乗っていけると考えている」とコメントしている。
SiC事業は順調、宮崎第二工場には最大964億円の支援
2023年度第3四半期のSiCパワー半導体事業については、「順調に推移している」とした。特に中国と欧州向けで売上高が拡大していて、年間の売上高目標の変更もないという。さらに、2023年12月に発表した東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)とのパワー半導体製造における連携についても言及。両社が共同で進めるパワー半導体の安定供給に向けた計画が経済産業省に認定されたことから、ラピスセミコンダクタの宮崎第二工場(宮崎県国富町)への設備投資として最大964億円の助成金を受け取ることになると述べた。なお、同工場へのSiCパワー半導体関連の設備投資は総額で2892億円を予定している。
2023年12月に株式非公開化が完了した東芝との協業に関しては、今後について協議を進め、決定事項が発生した場合は速やかに開示するとした。
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