連載
適切なはんだ量の設定方法とスルーホールリフロー:福田昭のデバイス通信(458) 2022年度版実装技術ロードマップ(82)(2/2 ページ)
今回は、「4.1.3.4 実装」の後半2つの項目である「適切なはんだ量の設定」と「スルーホールリフロー(THR)対応コンデンサ」について解説する。
挿入実装対応部品をリフローはんだ付けで接続
はんだ付けに関する最近のトピックスに「スルーホールリフロー」がある。リード付き部品はふつう、フローはんだ付け(「噴流はんだ付け」「ウエーブソルダリング」とも呼ぶ)でプリント基板に実装する。しかし最近は表面実装の普及により、大半の部品をリフローはんだ付けでプリント基板に接続するようになった。
ここでごく一部の部品のためだけにフローはんだ付け工程を用意することは、設備投資や設備管理、はんだ付け工程管理などの負担が増えることを意味する。そこでリード付き部品を含めてリフローはんだ付けで実装し、フローはんだ付け工程を不要にすることが求められている。リード付き部品は、当然ながらプリント基板にリードを通すための貫通孔(スルーホール)を要する。スルーホールに挿入した部品をリフローではんだ付けすることから、「スルーホールリフロー(THR:Through Hole Reflow)」と呼ぶ。
THRに対応したリード付き電子部品は、リフローはんだ付け工程による高温のプロセスに耐えなければならない。例えば車載エレクトロニクス向けのTHR対応アルミ電解コンデンサ製品では、推奨リフロー条件としてピーク温度を240℃以下、230℃を超える時間を20秒以内、プレヒート(150℃〜180℃)時間を120秒以内、リフロー回数を2回以内と規定している。
スルーホールリフローに対応したコンデンサの概要(上)とはんだ付け工程(下)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3端子貫通型フィルタの接続方法と実装レイアウト
今回は「(2)3端子貫通型フィルタの接続と実装のポイント」の概要を説明する。3端子貫通型フィルタを電源ラインに接続する2つの方法と、それぞれの用途を解説する。 - チップ抵抗器の小型化が過度な温度上昇を招く(前編)
今回から、第4章第1節第3項「部品実装・設計時の注意点」の概要を説明していく。この項は、「熱設計」「電気性能」などの4つのパートで構成される。 - 表面実装型電子部品(SMD部品)の開発動向(後編)
後編となる今回は、「セラミックコンデンサの高容量化・低ESR化、薄型化」や「チップ抵抗器の高電力化」について解説する。 - プロセッサやメモリなどの進化を支えるパッケージ基板
今回は第3章第4節第8項(3.4.8)「パッケージ基板」の概要を説明する。パッケージ基板の変遷と、パッケージ基板に対する要求仕様のロードマップを解説する。 - 表面実装型電子部品(SMD部品)の小型化トレンド
JEITA「2022年度版 実装技術ロードマップ」を解説するシリーズ。今回から、第4章「電子部品」の概要を説明していく。 - プリント基板の「弁当箱」からパッケージとチップまで、電磁シールド技術が進化
JEITA「2022年度版 実装技術ロードマップ」の「パッケージ組立プロセス技術動向」について解説するシリーズ。今回は第3章第4節第6項(3.4.6)「電磁シールド」の概要を説明する。