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ECTCのプレナリーセッションで新材料のスタートアップ3社を紹介福田昭のデバイス通信(464) ECTC現地レポート(2)(4/4 ページ)

引き続き、「ECTC 2024」の現地レポートをお届けする。2024年5月30日のプレナリーセッションでは、半導体パッケージングのスタートアップ企業3社が講演を行った。今回は、この3社のプレゼン内容を紹介する。

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低誘電率、低誘電損失の絶縁材料

 最後に、ThintronicsのCTOを務めるTristan El Bouyadi氏が講演した。講演タイトルは「HDI-Film Solutions」である。同社は低誘電率、低誘電損失の絶縁材料技術を得意とする。2.5次元パッケージの再配線(RDL)層、パッケージ基板の多層配線層、プリント基板の多層配線層などで超高周波信号配線の層間絶縁膜に応用することを狙う。

 30GHzを超える超高周波信号領域でも比誘電率が2.0以下と低く、誘電損失は0.0012以下と小さい。従って距離当たりの伝送損失を低く抑えられる。

ThintronicsのCTOを務めるTristan El Bouyadi氏による講演のスライド
ThintronicsのCTOを務めるTristan El Bouyadi氏による講演のスライド(トップページ)。5月30日午前(現地時間)に筆者が撮影したもの[クリックで拡大]

距離当たりの伝送損失(縦軸)と周波数(横軸)の関係。青い実線はThintronicsの製品「2910」を使った伝送線路の場合。「224G PAM4」(PAM4方式による224Gビット/秒伝送)のガイダンス(青い点線:1インチ当たり1dBの損失)を満足する。青い正方形のプロットは他社による開発事例。Bouyadi氏による講演スライドを筆者が撮影したもの[クリックで拡大]

機械的な応力(縦軸)と温度(横軸)の関係。温度上昇による応力は「ガラス」が最も大きく、「代替ビルドアップ膜」はおおむねガラスの半分になる。ところがThintronics製品では50℃を超えると応力がほぼ一定になり、増加しない。応力の定義が明示されなかったので、どの程度の意味があるのかは不明だ。なお「代替ビルドアップ膜」は、味の素ファインテクノが提供しているビルドアップ基板用絶縁フィルム(ABF)を指すとみられる。Bouyadi氏による講演スライドを筆者が撮影したもの[クリックで拡大]

 先に述べたように、最終日(31日)のプレナリーセッションは人材(主に技術者と研究者)の育成に関するパネル討論だった。この概要については本シリーズの次回であらためて述べたい。

⇒(次回に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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