JDIの24年度1Qは赤字幅が半減、車載やOLEDが好調:OLEDは41%の大幅増(3/3 ページ)
ジャパンディスプレイの2024年度第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比6%増の559億円、営業利益が同68億円増で70億円の赤字、純利益が同57億円増で65億円の赤字となった。コア事業での売り上げ増加に加え、製品ミックス改善や固定費削減、在庫効率化によって損失を大幅に圧縮。EBITDAは51%、営業利益は49%、純利益は53%の改善となった。
地政学的リスク低減の動きがJDIにとって「追い風」に
キャロン氏は今回、2024年12月に量産開始予定のeLEAPについて、現在歩留まりが70%以上(同年5月の発表時は60%以上と説明)にまで向上していると明かした。同氏は「計画を上回るぺースで開発を進めている。eLEAPはこれまでにないOLEDの性能と低コストを実現でき、顧客からの引き合いは非常に強い」と述べ、生産能力拡大に向け、中国安徽省蕪湖市との、共同で中国内にeLEAPの大規模工場を立ち上げる計画についての協議が順調に進んでいるとした。
JDIは2VDの他、2527ppiの高精細2.15型ディスプレイ、さまざまな素材の表面をタッチパネルへ変貌させるインタフェース「ZINNSIA」、5G(第5世代移動通信)液晶メタサーフェス反射板などを相次いで発表しているが、キャメロン氏は、業界において過当競争が起きている問題に触れ、「『世界初、世界一』をJDIとして作り上げることが必要だ。唯一無二を確保したうえで、顧客が求める性能かつ安価で作れば、プライシングパワーがついてくる。これからの収益基盤の土台作りとして非常に重要であり、着実に進める」と述べた。
キャロン氏はさらに地政学的な緊張感の高まりについても言及した。同氏によると、地政学的リスクを低減するため、戦略的生産拠点として日本の重要度が増大しているといい、同氏は「JDIの存在価値は飛躍的に向上していて、顧客からの引き合いが急増している」と説明。特に自動車メーカーからの引き合い急増が目立つという。同氏は「こうした追い風によってようやくわれわれの顧客のための供給力、ソリューション提供力、問題解決力をフルに発揮できるのではないか。非常に大きな構造的な変化であると認識している」と強調した。
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