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中国の半導体設計力はどうなっている? 話題の製品を一斉に分解:製品分解で探るアジアの新トレンド(51)(4/4 ページ)
毎年、製品解剖という観点では“閑散期”に当たる8月。やや落ち着いているタイミングの今、中国製品の分解から見えてきた、中国製半導体の進化を紹介したい。
数年前までは日本製でも、今は中国製に
図7は車載向けのナビ、ビデオ、オーディオである。ともにAndroid Auto/Apple Car play対応機種である。内部のプロセッサ、メモリ、コントローラーなど多くが中国半導体だ。UNISOCはチップセットになっており、電源ICや通信チップがプロセッサに組み合わされる。中国製車載向け用品は、数年前まで日本製半導体がそこそこ採用されていたが、確実に中国製に置き換わっている分野である。
図8は、中国製XXXX.Pi(本家Raspberry Piと似たコンセプト)2機種の様子である。ともにAI機能(NPU)を持つ中国プロセッサ。続々とこの手の製品が生まれている。本報告はあくまでもほんの一例である。
図9は中国最新プロセッサのトレンドである。Arm CPUまたはMIPS CPUとRISC-Vをハイブリッドで搭載する。プロセッサはArm、コントローラーはRISC-Vという使い方もあれば、スイッチで切り替えてCPUを使い分けるものもある(Raspberry Piの新チップRP2350と似ている)。中国半導体は最先端分野では規制強化によってさらにブレーキがかかる可能性はあるものの、多くの製品に採用される中位レベルやミドルハイ領域では中国製の進化が続くことは間違いないだろう。
次回はApple製品を予定しています!!
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