検索
ニュース

次世代パワエレ向け軟磁性ナノ結晶圧粉コアを開発超低損失と高飽和磁束密度を両立

トーキンは、次世代パワーエレクトロニクスに向けた「軟磁性ナノ結晶圧粉コア」を、東北大学と共同開発した。新材料は従来材料を大きく上回る超低損失と高飽和磁束密度を実現しており、電力変換機器のさらなる高効率化と小型化が可能となる。

Share
Tweet
LINE
Hatena

電力変換機器の高効率化と小型化を加速

 トーキンは2025年6月、東北大学多元物質科学研究所の岡本聡教授らと、次世代パワーエレクトロニクスに向けた「軟磁性ナノ結晶圧粉コア」を共同開発したと発表した。新材料は従来材料を大きく上回る超低損失と高飽和磁束密度を実現しており、電力変換機器のさらなる高効率化と小型化が可能となる。

 研究グループは今回、独自開発の「冷却アトマイズ」技術や「ホットプレスプロセス」技術を用い、軟磁性ナノ結晶「NANOMET」粉末および、超低損失の圧粉コアを開発した。

 開発したNANOMET粉末は、1.74Tという高い飽和磁束密度と、31A/mという低保磁力を両立させた。また、NANOMET粉末を用い金属充填率を89%まで高めることによって、圧粉コアの飽和磁束密度は1.54Tとなった。この値は、東北大学が開発した圧粉コア「SENDUST」の2倍だという。

 さらに、「ナノ結晶の微細組織制御」や「粉末の微細化」「金属充填率の向上」などにより、100kHz−100mTの励磁条件下で、コア損失を852kW/m3から146kW/m3へと、約83%も削減できたという。

開発した材料と既存材料におけるコア損失と飽和磁束密度の比較[クリックで拡大] 出所:トーキン、東北大学
開発した材料と既存材料におけるコア損失と飽和磁束密度の比較[クリックで拡大] 出所:トーキン、東北大学

 開発した技術は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代パワーデバイスと高い親和性を有するという。研究グループは今後、特性のさらなる向上や量産プロセスの早期確立に取り組むなど、社会実装に向けた開発を加速していく。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る