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CMOSロジックの高密度化を後押しする次世代の電源配線技術福田昭のデバイス通信(299) imecが語る3nm以降のCMOS技術(2)(2/2 ページ)

今回は、CMOSロジックの高密度化手法を簡単に解説する。

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電源/接地線の埋め込みで配線のトラック数をさらに減らす

 Myung‐Hee Na氏は講演で、基本セル(スタンダードセル)のトラック数を6トラック(6T)からさらに減らすことの難しさを論じた。例示した基本セルはCMOSインバータ回路である。なお基本セルの縮小を論じるときには、トランジスタ数の最も少ない論理ゲートであるインバータ(論理反転)を扱うことが多い。

 例示したのは、imecのロードマップでは5nmノードに相当する基本セルである。フィン数が2枚のpチャンネルFinFETとnチャンネルFinFETで構成する。セルの高さは6トラック(6T)である。ここからトラック数をさらに減らそうとすると、電源/接地配線を細くしづらい(電気抵抗を上昇させないため)、FinFETの寸法を縮小しづらい、pチャンネルFinFETとnチャンネルFinFETの距離を縮めにくい(素子分離を確保するため)、といった課題が無視できない。


CMOSロジック基本セルの断面構造図(FinFETのフィンおよび最下層金属配線と直交する方向の断面)。セルの高さは6トラック(6T)である。CMOSロジックの密度をさらに高めるためにトラック数を減らそうとすると、いくつもの課題が立ちふさがる。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料) (クリックで拡大)

 この問題を解決する有力な手法が、電源/接地配線を基板側に埋め込むことだ。BPR(Buried Power Rails)と呼ばれる。BPRでトラック数を5トラック(5T)に減らしながらも、信号配線数は6Tと同じ4本を維持できる。BPRの採用による5Tセルは、3nmノードの候補とimecは位置付ける。


セルの高さを5トラック(5T)に下げたCMOSロジック基本セルの断面構造図(FinFETのフィンおよび最下層金属配線と直交する方向の断面)。電源配線と接地配線を基板側に埋め込む(BPR)。出典:imec(IEDM2020のチュートリアル講演「Innovative technology elements to enable CMOS scaling in 3nm and beyond - device architectures, parasitics and materials」の配布資料)

 BPRの電源/接地配線はアスペクト比(縦/横比)を高くできるので、電気抵抗を低くしやすい。ただしFinFETのフィン数が1枚に減るので、トランジスタ(FinFET)の電流駆動能力(チャンネル幅当たり)は6Tセルに比べて下がってしまう。トランジスタの密度は上がるものの、性能の低下を抑えるための工夫が必要となる可能性が高い。

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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