連載
バイオセンサの組み立て技術:福田昭のデバイス通信(491) 2024年度版実装技術ロードマップ(11)(2/2 ページ)
今回は「2.2.2.2 バイオセンサ」の内容から、バイオセンサの組み立て技術をご紹介する。
クロスリンク反応によって強固な結合を作る
クロスリンク工程では、プローブ(バイオ分子)の末端に足場分子と選択的に結合する部位をあらかじめ修飾しておく。クロスリンク反応(架橋反応)の例には、NHS(N-HydroxySuccinimide)エステルと第一級アミン(amine)のアミド結合反応、マレイミド(maleimide)基とチオール基のマイケル付加(Michael addition)反応、アルキン(alkyne)とアジド(azide)の付加環化反応(クリックケミストリーの代表とされる反応)などがある。

各種のクロスリンク(架橋)反応。なおアルキンとアジドの反応による生成物は「1,2,3-トリアゾール(triazole)」だと思われる[クリックで拡大] 出所:「2024年度版 実装技術ロードマップ」、p.40、2024年6月発行
なお、先にプローブと足場分子を結合させてから、足場分子のアンカー側をセンサ素子の表面とつなぐプロセスも考えられる。架橋反応は共有結合を形成するので結合が強固であり、プローブと足場分子を結合させた状態は安定なので管理がしやすい。
(次回に続く)
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