全て覚えていますか? エレクトロニクス業界と世間の20年ニュース:EE Times Japan 創刊20周年記念企画(4/4 ページ)
2025年、EE Times Japanは創刊20周年を迎えました。この20年で技術は大きく進歩し、社会の在り方も様変わりしたことと思います。本記事では、EE Times Japanが創刊された2005年から2024年までの20年間の、半導体/エレクトロニクス業界のニュースと世間のニュースを振り返ります。
2020年:コロナ禍で半導体不足に 「鬼滅」映画が大ヒット
2020年といえば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による半導体不足です(「苦難の2020年を乗り越えた半導体業界」、SIAのCEO)。外出自粛/制限による情報端末の需要増などが影響しました。
3月には世界保健機関(WHO)がCOVID-19について「世界的な大流行(パンデミック)」と宣言しました。そんな中でも、人気漫画が原作のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は公開後10日間で興行収入100億円を突破するなど、大ヒットを記録しました。
2021年:TSMC熊本工場の設立が正式発表 東京五輪も開催
2021年には、TSMCの製造子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)が設立され、熊本でのファウンドリー立ち上げが正式に発表されました(TSMC、熊本でのファウンドリー設立を正式発表)。また、ルネサス エレクトロニクス那珂工場(茨城県ひたちなか市)では火災が発生しました(ルネサス那珂工場火災、「大変厳しい状況だが、1カ月以内の生産再開へ全力」)。
この年は、東京オリンピックも開催。パンデミックの影響で、当初予定されていた2020年から1年遅れでの開催となりました。また、コロナ禍の「巣ごもり」が続く中での新たなブームも誕生し、たっぷりの生クリームを挟んだイタリア発祥のパン「マリトッツォ」などが話題になりました。
2022年:「CHIPS法」成立 Rapidusも誕生
2022年、米国で経済安全保障を目的に国内の半導体産業を支援する「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」が成立。日本では最先端半導体の量産を目指してRapidusが誕生しました(2nm世代の国産化へ、国内8社出資の製造会社Rapidus始動)。生成AIブームの火付け役「ChatGPT」が公開されたのもこの年です。
この年は、国内外で政治に関する大きなニュースが続きました。2月にはロシアがウクライナに軍事侵攻。日本では7月、選挙演説の最中だった元首相の安倍晋三氏が銃撃される事件が発生しました。
2023年:「ムーアの法則」Gordon Moore氏が逝去
2023年には、Intelの創業者の1人で半導体微細化についての経験則「ムーアの法則」を唱えたGordon Moore氏が、94歳で亡くなりました(「半導体産業の道を切り開いた、Moore氏追悼」)。現在もムーアの法則は半導体業界の指針となっています。
この年は、パレスチナのガザ地区を支配する組織ハマスとイスラエルが衝突して戦争が始まり、多くの犠牲を出した年でした。日本では広島市でG7サミットが開催されたことや、3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝したことが話題を呼びました。
2024年:TSMC熊本工場が開所 NVIDIAが時価総額トップに
2024年には、TSMCの熊本第1工場が開所しました(「TSMC熊本工場で開所式 Morris Chang氏が「日本の半導体再興の始まり」と強調」)。6月にはNVIDIAの時価総額が世界1位になるなど、AIブームも本格的になりました。
この年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人月面探査機「SLIM」が日本の探査機として初めての月面着陸に成功しました。また、20年ぶりの新紙幣発行で、3Dホログラムなどの偽造防止技術やユニバーサルデザインの向上も話題になりました。
2025年:EE Times Japan創刊20周年
そして2025年、EE Times Japanは創刊20周年を迎えました。ことしももうすぐ終わりますが、大きいニュースといえば何が思い浮かぶでしょうか。
ちなみに、本記事中で掲載した年表は「E」をかたどったものになっています。エレクトロニクス(Electronics)業界とエンジニア(Engineer)の20年をたどるという意味を込めていて、さらに2つ並べるとEE Times Japanの「EE」になります。
こうして振り返ると、20年間での技術や社会の大きな変化を感じますね。次の20年に向けて、今後も半導体/エレクトロニクス業界のニュースをお伝えしていきます。
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