InfineonがWolfspeedと契約拡大、8インチSiC調達強化:コスト競争力に磨き
Infineon Technologies(以下、Infineon)が、8インチ(200mm)ウエハーでの炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産拡大に向け、基板の調達体制を強化する。同社は2026年10月15日(ドイツ時間)、Wolfspeedと8インチSiCウエハーに関する複数年の供給契約を締結したと発表した。
Infineon Technologies(以下、Infineon)が、8インチ(200mm)ウエハーでの炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の生産拡大に向け、基板の調達体制を強化する。同社は2026年10月15日(ドイツ時間)、Wolfspeedと8インチSiCウエハーに関する複数年の供給契約を締結したと発表した。既存の6インチ(150mm)基板の供給に8インチ基板を追加し、供給網の強靱化と今後の需要拡大への対応を図る。なお、契約金額や供給数量、具体的な契約期間は公表していない。
市場拡大を見据え、8インチ化が本格化
SiCパワー半導体市場は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー向けを中心に、今後も拡大が見込まれている。フランスの市場調査会社Yole Groupによると、SiCパワーデバイス市場は2025〜2031年に年平均成長率(CAGR)20%で成長し、2031年には110億米ドルに達する見通しだ。800Vアーキテクチャを採用するEVの普及に加え、AIデータセンターの電源も新たな成長機会になるとみている。
Infineonも今回の発表で、AIデータセンターがSiCパワー半導体の重要な需要源になり始めていると指摘。電力変換効率が運用コストに直結するハイパースケーラーにとって、SiCの高いスイッチング効率や熱特性は、シリコンでは対応が難しくなる一部の電力変換段で有効だとしている。
こうした需要拡大への対応と製造コストの低減に向け、業界では従来の6インチから8インチウエハーへの移行が本格化している。8インチは6インチに比べ、単純計算でウエハー面積が約1.8倍となり、1枚当たりのチップ取得数を増やせる。
InfineonとWolfspeed、「20年以上にわたる取引関係」
InfineonとWolfspeedは、20年以上にわたる取引関係を持つという。2016年にはInfineonがCree(現Wolfspeed)のSiC事業などを買収すると発表していたが、米国当局の承認を得られず、2017年に断念。その後、2018年2月には同社と6インチSiCウエハーの長期供給契約を締結したと発表。2024年1月には、複数年にわたる生産能力の確保を含め、契約を拡大/延長していた。
InfineonでCOO(最高執行責任者)を務めるAlexander Gorski氏は「高品質な200mm基板の安定供給の確保は、顧客への長期的な供給責任を果たす上で不可欠だ。今回の契約は200mmでの量産に向けた調達基盤をさらに広げ、顧客への供給の安定性を高めるとともに、将来の成長に対応する柔軟性と拡張性を確保するものだ」としている。
WolfspeedのCEO、Robert Feurle氏は「両社の強固な関係が、今回の契約拡大/延長につながった。SiCのパイオニアとして、Wolfspeedの技術と材料は業界の成長を支えてきた。8インチウエハーの追加は、こうした基盤を生かしてInfineonの長期的なSiC需要を引き続き支えるものだ」と述べている。
SiCウエハー/インゴット供給元は「6社超」、調達先を多角化
Infineonは、SiCウエハーやインゴットを複数の供給元から調達するマルチソース戦略を進めている。これまでにWolfspeedの他、GT Advanced Technologies(GTAT、onsemiが買収)、II-VI Incorporated(現Coherent)、レゾナック、中国のSICCおよびTanKeBlue、SK Siltron CSSとの供給契約を公表してきた。2026年8月の決算説明資料では、認定済みのSiCウエハー/インゴット供給元は「6社超」で、世界に分散した調達網を構築していると説明している。
8インチへの移行も複数の供給元と進めている。レゾナックとは2023年1月に発表した契約で、当初は6インチ材料を供給し、契約後半に8インチへの移行を支援するとしていた。さらに、同年5月に発表したSICCおよびTanKeBlueとの契約や、2024年1月に発表したSK Siltron CSSとの契約にも、8インチへの移行支援を盛り込んでいる。
Infineonはオーストリア・フィラッハとマレーシア・クリムにSiCの製造拠点を展開し、2025年第1四半期には、フィラッハで8インチウエハーを用いて製造した製品の顧客供給を開始している。同社は、クリムの「業界最高水準のコスト競争力を持つ」200mm SiC工場と、フィラッハと連携した生産体制に加え、独自のトレンチ技術や自社のパッケージ技術、世界に分散した材料調達網をSiC事業の強みとして挙げている。今回の契約は、8インチ化に向けてこの調達網を強化するものだ。
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