2016年上半期、半導体商社の業績まとめ:年末企画(3/3 ページ)
2016年になっても収まらない、半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この収まらない業界再編は半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。今回は年末企画として、株式上場する国内主要半導体商社の2016年上半期における業績についてまとめた。
フューチャーエレクトロニクス
第1回は、Future Electronicsの日本法人フューチャーエレクトロニクスで社長を務める徳永郁子氏に話を聞いた。Future Electronicsはカナダのモントリオールに本社を置き、169拠点49カ国(2016年8月現在)に展開する半導体商社である。従業員数5000人、サプライヤーは300社を超える規模だが、株式非公開のプライベートカンパニーのため、売上高などの業績は非公開となっている。
米国業界紙「TOP Distributors 2016」によると、電子部品ディストリビューター売り上げ規模では、Avnet、Arrow、WPGに続き世界4位だ。同社の特長といえるのは、「在庫は資産」という言葉を掲げていることにある(記事はこちら)。
東京エレクトロンデバイス
第2回は、東京エレクトロンデバイスで社長を務める徳重敦之氏にインタビューを行った。ザイリンクスとの販売代理店契約の終了や、急激な為替変動などが、2016年上半期の業績に大きく影響した同社。中期経営計画の中から、注力する自社ブランド事業「inrevium(インレビアム)」とIoTへの取り組みについて話を聞いている。
バイテックグローバルエレクトロニクスとの合弁設立や、M&Aについての見解も紹介している(記事はこちら)。
コアスタッフ
第3回は、コアスタッフ代表の戸沢正紀氏に話を聞いた。売り上げは2015年度実績で約32億円と大手半導体商社には及ばないが、大手をしのぐ事業の多角化を進めている同社。余剰在庫の委託販売事業から始まった歴史を紹介している。
戸沢氏は、オンラインとオフラインを融合させたビジネスモデルを目指すとしており、「部品」「EMS」「IoT」の領域に注力していくという(記事はこちら)。
UKCホールディングス
第4回は、UKCホールディングス社長の福寿幸男氏にインタビューを行った。2016年4月に独立系半導体商社である加賀電子と経営統合することで基本合意をしていた同社だが、諸条件の合意に至らなかったとの理由で経営統合を中止した。国内最大規模の半導体商社が今ごろ発足し、事業をスタートさせているはずだった。
経営統合中止により、戦略の変更を余儀なくされることになったUKCホールディングス。福寿氏にM&A戦略や注力する分野、利益率の高いEMS事業などについて聞いている(記事はこちら)。
丸文
第5回は、丸文の社長である水野象司氏に話を聞いた。2016年3月期に過去最高となる売上高2795億7100万円を達成するなど、近年成長を続ける同社。成長を実現できた要因として、水野象司氏はメガディストリビューターであるArrow Electronics(アロー・エレクトロニクス)との合弁で展開する海外事業での成功を挙げる。
記事では、なぜメガディストリビューターと手を組むのか、同社のM&A戦略などを紹介している(記事はこちら)。
半導体業界の再編により、国内商社はどのように変わっていくのだろうか。EE Times Japanでは、2017年以降も半導体商社トップインタビュー企画を進めていく。
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