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日本で2桁成長を目指す――ユーザーエクスペリエンス追求アナログ・デバイセズ 代表取締役社長 馬渡修氏

アナログ・デバイセズは、高精度アナログICを中心にシグナルチェーン全体をカバーする製品ポートフォリオを武器に、自動車、産業機器、通信機器、ハイエンド民生機器でビジネスを拡大させている。「2015年はさらにユーザーエクスペリエンスを向上させて、国内で2桁の売り上げ成長を目指す」という日本法人社長の馬渡修氏に聞いた。

» 2015年01月13日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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日本で実質、2桁成長を達成

――2014年10月期業績を見ると、前年比9%の増収を記録されるなど好調な1年だったようですね。

馬渡修氏 2014年7月に買収したHittite Microwave社(ヒッタイト マイクロウェーブ/以下、Hittite)の売り上げ貢献分を除いた売り上げ成長としても6%増であり、全社的に好調な1年だったといえるだろう。

 われわれ日本法人にとっても、前期(2014年10月期)は好調な1年であり、ドルベースでは4%増だったものの、極端な為替の影響がなければ10%程度の成長となった。

――日本の業績好調の要因は?

馬渡氏 最も貢献したのが、通信インフラ向けだ。第4世代携帯電話方式(4G)関連の設備投資増に伴い、前年比で20%程度の成長となった。

 自動車向けも前年比17〜18%増と通信インフラ向け同様の高い伸長率となった。

 民生機器向けは当初の見込み通り、厳しい市場環境が続きマイナス成長となったが、高付加価値領域に絞った製品展開へのシフトが進み、ターゲットにしているハイエンドオーディオ向け、一眼レフデジタルカメラ向けでは成長することができた。ハイエンド領域へのシフトはほぼ完了した状況にあり、今期(2015年10月期)は民生機器向けでもプラス成長を実現したい。

――産業機器向けはいかがでしたか。

馬渡氏 全社的には売り上げ伸長し、日本でも総じて成長傾向にあったが、半導体設備投資などの大口顧客の一部で在庫調整などがあり、苦戦した部分もあった。ただ、足元は、円安効果などで産業機器市場の国内顧客の輸出は増加しており、2015年は成長を期待したい。

カスタマーエクスペリエンス向上に重点

――2015年の事業方針をお聞かせください。

馬渡氏 注力分野は、これまで同様、自動車、通信インフラ、産業機器、医療機器、高付加価値領域に絞った民生機器だ。用途ごとのセグメント制で、各分野のニーズに合致した製品、サービスを提供していく方針に変わりはない。

 ただ、医療機器と民生機器に関しては、組織を一体化し、「ヘルスケア・ライフスタイル」という名称のセグメントに改めた。既に高いシェアを持つ医療機器診断装置向けやAV機器向けだけでなく、ウェアラブル機器やIoT関連機器、白モノ家電など新たな用途を積極的に取り込んでいくことを狙ったものだ。

 また2015年は、各注力分野に対し、競争力のある良い製品を提供していくことは当然のこととして、カスタマーエクスペリエンス(顧客が感じる価値)を向上させるべく、サービス面での強化を積極的に行う予定だ。

情報の日本語化、地域密着型サポート

――サービス強化の方向性は?

馬渡氏 特に、顧客の半数以上を占める少量多品種生産を手掛ける中小規模のメーカーに対して、「設計せず、すぐに使えるもの」、「設計に必要なもの」を充実化させていく。現状、20%程度まで達した製品データシートなどの文書類の日本語化を、主要製品をほぼ網羅する30%程度まで引き上げたり、シミュレータなどの設計ツールのラインアップも強化したりしていく。

 また、中小規模のメーカーに対する営業サポート体制も強化している。これまでは、販売代理店主体のサポートを展開してきたが、このほど、中小規模顧客専門の営業チームを新設し、販売代理店とより一体となった地域密着型サポートの提供に努めている。

 さらに、パートナーとのエコシステムによる多彩なサービス提供も拡充していく。先行している事例としては、RFシステムに強い設計サービス会社やソフトウェアベンダー、さらにはモジュールメーカー8社経由でさまざまなソリューションを提供している高度な技術/ノウハウが必要になるRFICを使ったRF回路の受託設計をあっせんしたり、モジュールとして提供したりできる体制が整いスマートメーター向けRFICなどの製品の販売増につながっている。こうしたエコシステム、パートナーシップの構築をさらに広げていきたい。

ソリューションそろうRFIC

――2015年の期待製品を教えてください。

馬渡氏 設計面でのエコシステムを構築できている920MHz特定電力無線用RFトランシーバIC「ADF7023-J」は2015年も売り上げ増が見込める製品だ。安定性などが評価されてスマートメーターやHEMS(家庭内エネルギー管理システム)に搭載される無線規格として有力なWi-SUNに準拠した無線プラットフォーム/モジュールの多くに採用され、業界標準的な製品となりつつある。

 他にも産業機器分野向け製品では、HEMS向けの1チップ型のAFE(アナログフロントエンド)製品や、需要が高まっているノイズや静電気などの外的な不可抗力に対応するロバスト性を高めるためのEMIフィルタやESD対策デバイスなども期待している。

――好調な通信インフラではどのような製品に期待されていますか。

馬渡氏 好調の一因となっている送受信のRF回路を1チップに集積したアナログSoCとも呼べるRFトランシーバの新世代品の開発を進めている。現行の製品もミックスドシグナルのSoCとしては、最先端となる65nmプロセスを採用し、高い競争力を有しているが、次世代品は、さらに先進的な微細プロセスを使う画期的なアナログSoCとなる予定で一層のマーケットシェア拡大を見込んでいる。

 加えて、2014年7月に買収したHittiteの製品にも期待している。Hittiteはミリ波帯の超高周波に対応するRFIC/RFシステムを得意とした企業。ミリ波帯は、現在規格策定が進んでいる第5世代携帯電話方式(5G)で使用される見込みであり、買収によって5G向けRF製品のポートフォリオが強化された。2015年にも世界に先駆け、日本で5Gの実証試験が行われるとされており、大きなビジネスチャンスがある。

Hittite製品を統合したことで、カバーする周波数領域が広がった (クリックで拡大)

ADASへRF IC、AFE展開

――車載向けはいかがですか。

馬渡氏 自動車では、インフォテインメント、セーフティ、パワートレインの3つの領域にターゲットを置いている。特に2015年はADAS(先進運転支援システム)向けの提案が活発になるだろう。RF ICやAFE用ICなどの製品だ。軍事用レーダーなどで実績の多いHittiteのRF製品は、車載ミリ波レーダー、レーザーレーダー向けでも提案できる製品であり、提案活動を本格化させる。

 他にも、ワイヤーハーネスの削減に貢献する耐ノイズ性能に優れた独自インターフェースソリューションや、バッテリーコントローラも投入する予定。車載向け製品ラインアップはまだまだ広げる余地があり、積極的な製品開発を行っていく。

2015年も2ケタ成長へ

――2015年10月期の事業見通しは明るいですね。

馬渡氏 日本法人として10%近い売り上げ成長は十分可能だとみている。急な為替変動など懸念材料はあるものの、ぜひとも2桁成長を実現したい。


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提供:アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月12日

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