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自動車、産業/医療の重要市場“日本”で急成長を維持するマキシム・ジャパン 代表取締役社長 滝口修氏

米マキシム・インテグレーテッドの日本法人マキシム・ジャパンは、自動車、産業機器/医療機器、高付加価値民生機器市場を事業の3本柱に据える。特に、自動車は平均年率50%以上、産業機器/医療機器は年率20%以上の急成長を遂げ、わずか5年ほどで事業の柱に育てた。社長の滝口修氏は、「マキシム全社として、日本市場の重要度が高まっている。2015年は、日本市場に向けた製品を投入し、高い成長率での事業拡大を続ける」と語る。

» 2015年01月13日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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5%だった自動車向け売り上げ比率が5年で40%に

――2014年を振り返っていただけますか。

滝口修氏 自動車分野、産業機器/計測機器/医療機器/マスマーケット分野(以下、産業/医療分野)、高付加価値民生機器分野の3分野に注力するという過去5年取り組んできた基本的な戦略を変える必要に迫られることなく、継続できたという点でポジティブに捉えている。

 特に2014年は自動車分野での開拓が進んだ1年だったといえる。私自身がマキシム・ジャパンの社長に就任した2009年12月時点から、当時国内売上高の5%程度だった自動車向けビジネスの拡大に取り組んできた。その結果、2014年6月期(2013年7月〜2014年6月)には国内売上高比率は約30%に達し、さらに2015年6月期前半(2014年7〜12月)は約40%までに達し、マキシム・ジャパンにとって“大黒柱”といえるビジネスにまで成長した。

 過去5年間の自動車向けビジネスの年平均成長率は、ほぼ50%。絶対的な売上額が小さいところからのスタートであり、高い成長率でのビジネス拡大を目指していたが、期待以上の成長を実現できた。

セーフティ、ボディ系へも浸透

――自動車向けビジネスが拡大している要因を教えてください。

滝口氏 2013年までに一定の売り上げ規模にまで達していたインフォテインメント機器向けに加えて、2014年はセーフティ、ボディ制御向けのビジネスが加わったことが一因だ。具体的にはサラウンドビューモニター向けのシリアルインタフェースICやクラスタメーター用バックライト駆動IC、LEDライティング用駆動ICなどの製品ビジネスであり、高いシェアを獲得できているものも増えている。

マキシムが提供する自動車向けソリューション

 さらに、われわれの製品が搭載されたECU(電子制御ユニット)が横展開され、採用車種、採用メーカーが拡大するといったケースも増え、売り上げ拡大に寄与している。

“日本向け製品”の開発に着手

――産業/医療分野向けビジネスはいかがですか。

滝口氏 2014年は、おおよそ前年比20%成長で推移した。産業/医療分野は急速な売り上げ拡大が難しい分野ではあると理解しているが、自動車向けに比べるとさらにもう1段、成長のペースを高める必要があると考えている。

 理想としては、自動車向けビジネスを軸に、その両脇を産業/医療向けと高付加価値民生機器向けの2つのビジネスが固める形が良いと考えている。売上比率でいえば、自動車が40%、産業/医療向け30%、高付加価値民生機器/通信などその他で30%ぐらい。既に自動車向けの売り上げ比率は40%に達し、今後も高成長が見込まれる中で、産業/医療分野の売り上げも高めていくことは2015年以降の課題だと思っている。

――産業/医療分野での売り上げ拡大策は?

滝口氏 この分野では後発ということもあり、これまである程度、ターゲットを絞った形で顧客との信頼関係の構築を行ってきた。2015年以降は、もう少し、ターゲットを広げて、顧客数を増やしていくフェーズに入る。2014年にその準備として、販売代理店の強化なども済ませている。

 同時に、日本の産業/医療分野に合致した日本向けの製品を増やしていく。

 これまで当社の産業/医療分野向け製品は、欧州や一部米国の顧客を意識したものが多く、インタフェースや動作電圧など細かな仕様部分で、国内の顧客要求と差異があった。この状況を本社製品事業部門も理解し、日本向けの製品開発に着手している。まず、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)や産業用ロボットなどファクトリーオートメーション(FA)向け製品から日本向け製品を投入し、売り上げ拡大を狙っていく。

 他にも、フォークリフトなど輸送機器など向けの産業用バッテリーマネジメント(BMS)ICや、ソーラーシステム向けのパワーデバイス製品なども評価が進んでいて、2015年以降の売り上げ貢献を見込んでいる。

USB経由で大容量給電を実現するICに大きな期待

――民生機器向けビジネスの状況をお聞かせください。

滝口氏 ご存じの通り、一般的な民生機器は需要が低迷し売り上げを大きく伸ばしていくことが難しい。その中で、マキシムの製品が持つ競争力を生かせる分野として、趣味、嗜好(しこう)性の高い高付加価値民生機器分野へのシフトを進め、事業の柱の1つとして伸ばしていく。

 製品としては、マキシムが得意とする高集積型の電源/パワーマネジメントICなどが中心になるが、特に2015年はUSBチャージャでの受注拡大を見込んでいる。

 これまでUSBチャージャは、1セルのリチウムイオン電池を搭載するモバイル機器向けが中心だったが、現在、2セルの大容量リチウムイオン電池でもUSBで急速充電を実現するチャージャICを実現し提案を進めている。これまでUSB充電非対応だったデジタル一眼レフカメラやビデオカメラなど新たな用途での搭載が増えていく見込みだ。

 USB経由で大容量給電を実現するICや、新たなUSBコネクタ規格「Type-C」に向けた製品も順次、開発投入していく。この製品は、機器間で通信し、充電電圧/電流を決定する仕組みが用いられ、より高度な相互接続性が求められる。これまでマキシムのUSB関連製品は“相互接続性の良さ”が評価され高いシェアを有していた。よりその強みが生かせる分野であり、高付加価値民生機器向けビジネスを引っ張る存在として、大容量/急速充電対応のUSBチャージャに期待している。

よりクルマの心臓部へ

――順調に拡大してきた自動車向けビジネスですが、2015年以降の見通しを教えてください。

滝口氏 売り上げ規模自体が大きくなるとともに、成長率を維持することは難しくなるが、ビジネス領域を広げることで、高い成長率を維持したい。

 2015年は、インフォテインメント、セーフティ、ボディと広げてきたビジネスを、クルマの“走る/曲がる/止まる”に関わるパワートレインなど心臓部へと広げる。

 例えば、BMS製品。日産自動車の北米市場向けハイブリッドSUV「パスファインダー ハイブリッド」など市販車への搭載が始まった。2016〜2017年に向けBMSの採用数は拡大していく見通しで、2020年以降を見据えた次世代BMS製品の提案にも着手している。

 また、2015年からは新たに、カスタムICの提案を行っていく予定だ。

 パワートレインの部分は、顧客それぞれが独自の回路IPを持たれているケースが多い。そうした顧客の独自IPと、マキシムの得意とするアナログ/ミックスドシグナルの高集積化技術やIPを組み合わせて、カスタムICとして提供するなどのビジネスを本社の自動車部門とともに企画し、国内顧客への提案を始めている。

車載製品の国内製造もスタート

――マキシムとして、日本市場を重要視する傾向は強まっているようですね。

滝口氏 全社としてはスマートフォンをはじめとしたモビリティ向けへの依存度が高くなっている中で、自動車、産業/医療、通信機器分野を強化し、売り上げ構成比率のバランスを良くしようと取り組んでいる。

マキシムの用途別売り上げ構成比(2013年と2014年比較)

 その中で自動車向けの売り上げは、日本での売上高が1/4を占めており、自動車事業部門としては、今後の成長を実現するためにも、事業規模が大きく、先進技術の開発が盛んな日本市場を最重要視している。製品開発だけでなく、製造やサポート面でも日本のニーズを意識した体制構築を行っている。その表れの1つが、2007年から戦略的協業関係を結び製造を委託しているセイコーエプソン(山形・酒田工場)で、近く、車載向けの180nmのBCDプロセスラインを稼働させる予定だ。

 マキシムでは、事業継続性の観点などから、1製品を2工場以上で生産できるデュアルファブ体制を、セイコーエプソンなど戦略的パートナーの工場にマキシム専用ラインを設けて、構築してきた。ただ自動車向けの製品に限っては、自社工場での製造を中心に行ってきたが、今回、初めて戦略的パートナーの工場で本格的に自動車向け製品の製造を行うことになった。国内工場で製造するという安心感も提供できるようになる。

 産業/医療向けでも、先ほどお話したように“日本向け製品”を企画するなど、日本市場の優先度は高まっていることは間違いない。


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提供:マキシム・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月12日

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