Cypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)は、高性能なMCUやPSoCプログラマブル システムオンチップ、消費電流が極めて小さい電源ICなどの技術力をベースに、重点分野と位置付ける「IoT」や「産業/FA」「車載」「民生機器」などに向けた最新ソリューションを提案する。
Cypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)は、「組込み総合技術展Embedded Technology 2015(ET2015)」で、同社が重点分野と位置付ける「IoT」や「産業/FA」「車載」「民生機器」などの用途に向けた最新の組み込みソリューションや新製品を紹介した。ここでは、インダストリー4.0の実現に向けた最新のマイクロコントローラ(MCU)や、タッチ検出機能を強化した最新PSoCファミリなどを中心に、同社ブースの様子を紹介する。
IoT(モノのインターネット)といえば民生分野のイメージが強いが、産業界でも製造業の革新を加速していくため、IoTを製造現場で活用する動きが本格化している。その代表的なものがドイツの「インダストリー4.0」を始めとする生産革新への取り組みである。
ブースでは、ARM Cortex-M4コアベースのマイクロコントローラ「FM4」ファミリを用いて、インダストリー4.0を実現可能とするセキュアゲートウェイソリューションのデモ展示を行った。FM4ファミリとは別のPSoCで制御する2つのモータに加速度センサーを取り付け、モータ駆動時に発生する振動のデータを収集する。FM4ファミリの新製品「S6E2Cシリーズ」を搭載した評価用キットはIoTゲートウェイとして機能し、各ノードのセンシングデータをリアルタイムでクラウドサーバ/データセンターに送信する。
評価用キットでは、異常な振動などをモニタリングするために組み込みデータベース「Empress」を活用している。これによって、「Microsoft Azure」などエンタープライズレベルのクラウドコンピューティングプラットフォームとの連携が容易となり、ゲートウェイとクラウド間で常時データを同期させることが可能だ。「仮にクラウドサーバが電源トラブルなどで一時的にシステムダウンしても、ローカル側のデータベースにセンシングデータは保存されている。これらを同期させることで、クラウド側でもデータが欠落することはない」。解析結果についてはタブレット端末などで振動の波形データなどを確認することができ、モータの動作状態について、正常か異常かを瞬時に判断することが可能となる。
FM4ファミリとして新たに3製品を追加した。最上位のS6E2Cシリーズは動作周波数が最大200MHzで、CoreMarkスコアは675を達成している。また、ハードウェアベースの暗号化アクセラレータの搭載やFlashとSRAMメモリのエラー訂正コード(ECC)サポート、「IEC 61508」や「IEC 60730」といった機能安全規格に準拠するためのファームウェアライブラリを統合している。CAN-FDやIEEE 1588イーサネットなどの高速通信インタフェースもサポートするなど、インダストリー4.0を実現するための機能・性能を備えた産業用途向けマイクロコントローラである。
プログラマブルSoC「PSoC」については、参考出品の「PSoC 4L」を搭載したIHクッキングヒーターを展示した。現行の「PSoC 4M」に比べて、PSoC 4Lはフラッシュメモリの容量を128kバイトから256kバイトに増やし、I/O数は55個から98個へと増強した。このため、1チップで2口分の誘導コイル制御や、より多くの静電容量式ボタンの制御、温度調整を可能にした。PSoC 4Lは2016年3月末にサンプル出荷を始める予定である。
さらに、静電容量式ボタンのタッチ検出を行う「CapSense」を実現するためのシグマデルタブロックも、2回路分をハードウェアで実装している。シグマデルタブロック数を、従来の1個から2個に増やすことで検出感度を高めた。これまで、カバー用ガラストップの厚みは2〜3mm以下でないとタッチ検出ができなかった。これに対して、PSoC 4Lを用いると5mm程度まで厚くしても検出できるようになった。
近接センサーの機能を実現することもできる。検知部から30cm以内の範囲に手を近づけると、それを検知してLEDを点灯させることなどが可能である。もちろん、ボタンに水がかかっても誤動作しない水ぬれ検知機能や、手袋着用時でも検知可能など、これまでの特長も備えている。
PSoCは、高性能のCPUコアやより大容量なメモリの実装に加えて、プログラマブルなアナログ及びデジタルブロック、I/Oなどを1チップに集積したSoCデバイスである。新シリーズとなるPSoC 4Lは、動作周波数が48MHzのARM Cortex-M0コアを搭載した。また、低電力オペアンプ、コンパレータ、アナログマルチプレクサ、SAR(逐次比較型)A-Dコンバータなど、13のアナログブロックを内蔵しており、複雑なアナログフロントエンド(AFE)を構成することができる。また、内蔵したタイマ/カウンタ、PWMブロック、シリアル通信ブロックなどを用いて、コプロセッサとシリアルインタフェースを実現することが可能である。
USB Type-CポートコントローラIC「EZ-PD」関連では、同社の製品が「世界で初めて認定された」というUSB Type-C/USB-PD(Power Delivery)ICのデモ展示を行った。ポートコントローラICは、接続された機器同士が、データ通信や受給電を正しく実行するための制御を行うICである。
同社のポートコントローラICは、プログラマブルSoC「PSoC」をベースに開発している。このため、規格の仕様が製品出荷後に改版されてた場合でも最新の仕様に合わせてアップデートすることができる。また、製品仕様の変更(アップグレード等)が生じた場合でも、ファームウェアを書き換えることで、柔軟かつ迅速に対応することが可能である。こうした特長を生かし、「2015年5月にはE-Markerとして、2015年8月にはUSB Type-C/USB-PDのコンプライアンステストにいち早く合格し、世界で最初の認証ICとなった」という。
ブースでは、開発キットを用いたパワーデリバリのデモを行った。PCなどのホスト側からはケーブルに実装されたEマーカーの情報をもとに、端末側に電力を供給する。デモでは、ケーブルコネクタ端でのVbus電圧およびホスト側のコンシューマパス上のVbus電圧をそれぞれデジタルマルチメータ―で測定し、ケーブル接続後まずはホスト側から5V送電されていることを確認。ポートコントローラICで給電方向を切り替えると、今度は端末側からホスト側に5V送電されるなど、双方向の受給電が可能なことを具体的に示した。
USB Type-CポートコントローラICとしては、第1弾の「CCG1」とそのシュリンク版となる「CCG2」を既に量産出荷している。さらに、CCG2の機能を強化した「CCG3」や、パワーデリバリポートを2個搭載した「CCG4」などもすぐにサンプリング予定だという。
ET2015 では、上記以外にも電池レスBluetooth4.1対応無線センサーソリューションや、車載インフォテインメントシステム向け「Automotive TrueTouch」タッチスクリーンコントローラICなどのデモ展示を行った。
電池レスBluetooth4.1対応無線センサーソリューションとして用意したのは、自己消費電流がわずか250nAで、起動電力も1.2μWと極めて小さいパワーマネジメントIC(PMIC)や、PRoC BLEチップを内蔵したEZ-BLE PRoCモジュールなどである。開発キットには、これらPMICや無線モジュール及び温湿度センサーなどを実装したマザーボード、小型のソーラーパネルモジュールなどが同梱されている。
この開発キットを用いると、外形寸法が1cm角のソーラーパネルモジュールで動作する無線センサーモジュールを短期間で開発でき、システム評価を容易に行うことができる。「薄型のソーラーパネルを用いるとカード型無線センサーモジュールも実現することが可能である」。
Automotive TrueTouchタッチスクリーンコントローラIC「CYAT8168X」は、合計88本のTx/Rx端子を備えており、画面サイズが15インチあるいはそれ以上の大画面タッチパネルに対応することができる。手袋タッチ機能や水滴、結露などが付着したパネル上でも誤動作なくタッチを検出できる防水性能を達成している。車載用途に向けてEMC対応も図っている。なお、「2016年早々にも、このタッチスクリーンコントローラICを組み込んだ製品が登場する」予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:日本サイプレス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年1月31日
Bluetooth 4.2認証をフル機能で取得したことにより、データ長の拡大、LE プライバシー、LE セキュア接続という3つの主な利点を提供。さらに広い範囲のIoT向けアプリケーションに対応が可能。
FM4ファミリは国際安全規格への適合を簡素化し、インダストリー4.0向けにセキュアで高信頼性の高速通信インターフェースを実現
スモール フォーム ファクタにペリフェラル統合して性能と消費電力の最適な組み合わせを提供
新しいS6BP20xシリーズは、独自の1チャネル バックブーストDC/DCコンバーターを利用したECU 向けの電源管理ソリューションによって、バッテリー電圧の極端な変動を安全に管理できるようにします。
新しいFL-L NORフラッシュ デバイスは、セクタ サイズを4KBに統一して、小型PCBレイアウトにおいても業界最高のリード性能と最速のプログラム性能を実現しています。
新しいS6BP20xシリーズは、独自の1チャネル バックブーストDC/DCコンバーターを利用したECU 向けの電源管理ソリューションによって、バッテリー電圧の極端な変動を安全に管理できるようにします。
最大15インチのスクリーンに対応した新しいAutomotive TrueTouch CYAT8168Xコントローラーを発表。強い電磁妨害放射に堅牢な耐性を示すだけでなく、耐水性および手袋タッチを業界最高精度でトラッキング
ソーラーパワー駆動のWSN IoTアプリケーション向けにフォームファクタがわずか1cm2のPMICが登場。Solar-Powered IoT Device Kitも49ドルで提供開始
10mm x 10mm x 1.8mmのスモール フォーム ファクターにARM Cortex-M0コアと水晶発振子2個、アンテナ、金属シールド、パッシブ部品をワンチップにと搭載
弊社の販売代理店よりサンプル品をオーダーすることが可能です。上記サイトより、ご希望の代理店を選択してください。
PSoCやCapSence、USBコントローラーなど、Cypress製品を使ったデザイン設計が可能なソフトウェアおよびドライバーを無償でダウンロードいただけます。
Cypress製品のあらゆるドキュメントをダウンロード可能なサイプレス ドキュメント マネージャー (CDM) を提供しています。CDMソフトウェアは上記よりダウンロードが可能です。