接続とセンサ分野の世界的大手メーカーであるTE Connectivity(日本法人:タイコ エレクトロニクスジャパン合同会社)は、スタートアップ/ベンチャー企業など新たなモノづくりに挑戦する企業に対するエンジニアリングサポートを積極的に展開している。既に、国内外のさまざまなパートナーの革新的なモノづくりに貢献し始めているという。
これからのイノベーションを一緒に起こしたい――。
接続とセンサ分野の世界的大手メーカーであるTE Connectivity(以下、TE/日本法人:タイコ エレクトロニクスジャパン合同会社)は、スタートアップ/ベンチャー企業など新たなモノづくりに挑戦する企業に対するエンジニアリングサポートを積極的に展開している。既に、国内外のさまざまなパートナーの革新的なモノづくりに貢献し始めているという。
TEと言えば、世界トップクラスのシェアを誇る「コネクタ」のメーカーというイメージが強いだろう。そして、コネクタメーカーが提供するエンジニアリングサポートとはどのようなものか、想像が付かないという方も多いのではないだろうか?
「コネクタは“選ぶ部品”と思われがちですが、実は、顧客とコネクタメーカーが“一緒に作る部品”であり、エンジニアリングサポートが不可欠なのです」(TE)と説明する。
機器を設計する際、“コネクタ有りき”で設計するケースはまずないだろう。プリント基板の中央に位置するさまざまなデバイスの選択が優先され、基板の端に載るコネクタの選定はその後になる。そのため、サイズや形状などの制約がコネクタに課され、既存のコネクタでは対応できない。それぞれの機器に最適なコネクタを“一緒に作る”ことが求められるのだ。
TEでは、日本を含む世界各地に設計開発拠点、生産拠点を展開し、ユーザーの近くに寄り添いながら、迅速にカスタムコネクタを設計、製造できる体制を構築。世界30社を超える自動車メーカーへの納入実績を誇る自動車市場をはじめ、産業機器、民生機器、医療機器などの各市場のキープレーヤーに、エンジニアリング力を評価され、コネクタ分野で世界トップクラスのシェアを有しているわけだ。
各市場のキープレーヤーに評価されてきたエンジニアリングサポートの提供の幅を広げている。近年、M&Aを含め取り扱いを強化してきたセンサ製品のインプリメンテーションのサポートなど、コネクタに限らない技術領域でエンジニアリングサポートを展開。さらに、これまでは各市場のキープレーヤーに限られがちだったサポートの提供範囲をスタートアップ/ベンチャー企業など新たなモノづくりに挑む現場へと広げ、さまざまな取り組みを行っている。
例えば、製造拠点のデジタルファクトリー化だ。フレキシブルに工場の構成を変え、少量多品種でも高効率、高品質にコネクタを製造できる体制づくりを進め、より量産規模が小さい場合でも、カスタム品を供給できる環境が整いつつある。
とはいえ、新たにモノづくりを始める企業にとっては、いきなりカスタムコネクタを作るにはハードルが高い場合が多い。「TEは、これまでさまざまな顧客/パートナーと一緒に作ってきたコネクタなどの製品を、汎用品として広く販売しており、その種類は数万種に上ります。その中から、条件に応じた最適なコネクタが見つかることが多いです。ただ、最適なコネクタを探し出す作業は難しかったりします。そこで、条件に応じたコネクタを探しやすく、試しやすい環境作りを進めています」(TE)という。
TEの営業担当者や販売代理店担当者が直接、要望を聞き、豊富な製品ポートフォリオからコネクタを探し出すエンジニアリングサポートはもちろんのこと、Webサイトでの情報提供を強化中。さらに、探し出したコネクタなどの製品を試しやすい環境作りの一環として、無償でのサンプル品提供キャンペーンも実施しているほか、コネクタ製品の3Dモデルデータも取りそろえ無料で利用できる環境も整う。
エンジニアリングサポートの提供の幅を広げていく中で、スタートアップなど新たにモノづくりを始める企業とのコラボレーションが国内外で生まれ、さまざまなイノベーションが起こりつつある。
そうしたイノベーションの一つが、米国のスタートアップ企業であるVerdical(ヴァーディカル)社の「グリーン野菜栽培プラットフォーム」だ。グリーン野菜栽培プラットフォームは、レストランやオフィスなど室内空間で野菜やハーブを水耕栽培できるシステム。間もなく、北米で発売が開始される予定で、インテリアとして楽しめるデザインや、新鮮で安全な野菜/ハーブを提供できるといった特長から多くの注目を集めている。
一見、このグリーン野菜栽培プラットフォームと電子部品メーカーであるTEの関係性は薄そうに見えるが、実は、開発初期段階からTEが参画し、Verdical社とほぼ二人三脚で作り上げたシステムだという。
両社のコラボレーションは、両社の幹部らが偶然、ある展示会でのシャトルバスで乗り合わせたところから始まった。TEの幹部同士でスタートアップ企業へのエンジニアリングサポート提供強化のプランを相談していると、Verdical社の幹部が「ぜひサポートしてほしい」と声を掛けた。両社の幹部は共に「サスティナビリティ(持続可能性)」「セーフティ(安全性)」という共通の企業理念を掲げていることもあって、すぐに意気投合し、TEが、Verdical社が企画するグリーン野菜栽培プラットフォームの実現を支援することになった。
TEによるエンジニアリングサポートは、これまでのモノづくりの観点から、実現が難しい機能やリスクの高い機能と、製品競争力に直結する不可欠な機能に分類する仕様の見直しからスタート。部品選定においては、野菜栽培の鍵を握る温湿度センサ部で、最適なTE製センサを選定、インプリメンテーションするだけでなく、マイコン製品など他のキーパーツの選択もサポートした。
さらに、グリーン野菜栽培プラットフォームとしての魅力を高めるさまざまな付加価値提案も実施。例えば、水耕栽培システムでユーザーが不満を抱きやすい水タンク交換を容易にするために、水タンクと本体を電気的に接続する部分にTEの非接触コネクタ技術「ARISO」を応用したヒンジを提案。タンク残量を知らせる機能を実現しながらも、ユーザーは接続を意識せずに簡単にタンクを取り換えられるユーザビリティを可能にした。
こうしたエンジニアリングサポートにより、Verdical社は当初の想定よりも半分の期間でグリーン野菜栽培プラットフォームの開発を終え、早期の製品化を実現したという。
資金面で余裕がないことの多いスタートアップ企業にとって、開発の遅れは死活問題であり、TEのような存在は貴重なはずだ。TEも「開発の早い段階からサポートできれば、TEの経験が生かせる場面は増えてきます。まだまだ、スタートアップやベンチャー企業のエンジニアリングサポート体制は万全とは言えませんが、イノベーションを起こす企業と共にチャレンジしたいと思っているので、気軽にTEに相談してほしい」と呼び掛ける。
Verdical社のグリーン野菜栽培プラットフォーム以外にも、TEがエンジニアリングサポートの提供を通じて、スタートアップ企業などとともに生み出したイノベーションの事例は多くある。その一部を紹介する。
中国の深セン潜行科技有限公司(Chasing-Innovation社)が製品化した水中ドローン「GLADIUS」。最高で水深100mまで潜ることのできる本格的な水中ドローンであり、ダムや養殖場の監視などの用途で、多くの納入実績がある。その特長の1つが、水深分解能2mmという超高精度で自身の水深を検知できる機能。TEの水深300mにまで対応する深度測定システム用密閉防水型圧力センサ「MS5837-30BA」により、高精度検知を実現した。
GLADIUSが搭載する部品のほとんどは、「コンスーマーエレクトロニクス機器に求められるものと同じであり、サプライヤが当社(=Chasing-Innovation社)のためだけに部品を開発することはありません」(Chasing-Innovation社 CEO 張洵氏)という。ただ、「唯一特殊な要求があるとすれば、それは圧力センサに関わるものになります。これは直接水に接触するからです」とし、TEの圧力センサが水中ドローンとしての付加価値を高めている。
壁掛け衣類スチーマー「Tersa Steam」は、TEの販売代理店の1社であるArrow Electronicsが技術支援し、まもなく販売が開始される製品。衣類のシワ伸ばしとともに、頑固な汚れやニオイを除去するといったクリーニングが10分間で行える。こうしたスチーマーは化学薬品を使用する場合が多いが、Tersa Steamは化学薬品不使用の環境にやさしいカートリッジでクリーニングできる点が大きな特長。また、コンパクトであり、ホテル向けビジネスでも展開しようとしている。
Tersa Steamは、Arrow Electronicsとクラウドファンディング「Indiegogo」とともに開催したスタットアップ発掘プログラムで見いだされた学生ベンチャーが開発。IndiegogoとArrow Electronicsからの資金援助とともに、Arrow Electronicsによる技術支援を受ける。技術支援の中では、TEのコネクタやリレー、センサのサンプルキットが提供された。
TEでは、2018年10月16〜19日の会期で開催される展示会「CEATEC JAPAN 2018」(会場:幕張メッセ)にブースを出展し、Verdical社のグリーン野菜栽培プラットフォームをはじめ、水中ドローンGLADIUS、壁掛け衣類スチーマーTersa Steam、温度が見えるフライパン・テンプパンでの開発事例を紹介する。水中ドローンGLADIUSについては大型水槽で実機デモを行い、テンプパンの実機も披露する予定だ。「展示では、TEの部品やソリューションが具体的にどのように使用されているかを説明員がご紹介します。次世代のイノベーションに向けたヒントになるかと思います。ぜひ、ご来場ください」(TE)
CEATEC 2018のTE Connectivityブースのテーマは「Engineering for tomorrow 〜次世代のイノベーションをサポート〜」だ。「メインステージ」、「Transportation Solutions」(自動車、トラック、二輪向け)、「Industrial Solutions」(産業機器、工作機器向け)、「Communications Solutions」(データセンター、5G向け)の4つのコーナーを設け、スタートアップを中心とした各社の製品での導入事例を交えながら、TEの最新製品/ソリューションを紹介する。
例えば、Transportation Solutionsコーナーでは、AC普通充電車両インレットなど、次世代のEV市場向けに開発された高電圧製品群や、車載用ECU防水コネクタ「0.5コネクタシリーズ」を展示。
TEの製品が採用されている箇所を分かりやすく紹介する「透明バイク」や「透明ロボットアーム」のデモ機も登場する。
メインステージでは、VR(仮想現実)システムでTEの製品で全てがつながった「TEバーチャルシティ」を体験できるコーナーを設置する他、大型水槽で水中ドローン・GLADIUSの実演デモを実施する。
また、恒例になっている“TEオリジナル ハローキティぬいぐるみ”の来場者プレゼントを今年も実施する。今回の“TEオリジナル ハローキティぬいぐるみ”は、TEがグローバルで取り組んでいる「Inclusion&Diversity」(多様性の受容)活動にちなんだデザインになっている。
なお、“TEオリジナル I&D ハローキティぬいぐるみ”は、CEATEC 2018に合わせて開設するTEのLINEアカウントを会場で「友だち」に登録した来場者を対象にプレゼントする(数に限りあり)。
TEのLINEアカウントでは、TEの最新トピックス、展示会情報、新製品情報などを配信する予定なので、ぜひ、この機会に「友だち」への追加をオススメしたい。
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提供:タイコ エレクトロニクスジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月15日