多くの設計者や購買担当者にとって、必要な部品をいかに迅速に、かつ安定して入手できるかは重要な課題の一つだ。Texas Instruments(TI)は、近年注力してきたオンラインプラットフォーム「TI.com」で、調達業務を大幅に効率化するソリューションを提案する。
あらゆるエレクトロニクスメーカーにとって、半導体の調達/確保は常に重要な課題の一つだ。特にここ数年、さまざまな業界に影響を与えた半導体の供給難により、多くの設計者や購買/調達担当者は、半導体の安定的な調達と確保に向けて模索を続けてきた。
近年の半導体不足が起こる前から、半導体の供給プロセスの効率化に注力してきたのがTexas Instruments(TI)だ。TIは事業戦略の一環として、部品購入などを行えるオンラインプラットフォーム「TI.com」に投資してきた。日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)の担当者は、「TI.comは、部品選定から設計、試作、量産時(大規模発注)まで、さまざまな段階で活用いただけるプラットフォームになっている」と話す。
TIは2020年末より、TI.comを介した直接販売を重視する方向へと舵を切っている。そのメリットについて日本TIの担当者は、「製品の購入/調達をよりスピーディに行える」と語る。
TI.comでは現在、約8万点に上るTIの正規製品を購入することが可能だ。必要な時に必要な数量の製品を購入でき、世界各地にある倉庫から迅速に発送されるため、最速の場合注文後数日で製品を入手することも可能だ。
こうしたオンラインストアとしての基本的な機能に加え、TI.comは「購買担当者が抱えるさまざまな課題に応えられる」と日本TIは強調する。
まずは、緊急時の代替製品の手配だ。具体的には、製品が入手困難な場合に、その代替品をTI製品の中から検索できる「クロスリファレンス検索」機能を備えている。BOM(部品表)を簡単にアップロードできるので、複数の部品の代替品検索を同時に行えて、各製品の価格やデータシート、在庫をすぐに確認できる。TI製品に限らず、他社製品でも、それらを置き換えられるTI製品が自動的に推奨される仕組みだ。これは、昨今の深刻な半導体不足を経験している設計者や調達担当者にとって、心強い味方になるだろう。
さまざまな支払い方法に対応していることも利点だ。クレジットカードに加え、日本円建ての「NET30」(請求書発行日から30日以内に支払う仕組み)による与信取引でも決済できる。これにより、一般的な後払いでの口座振り込みが可能になる。「請求書での支払いに対応していないECサイトもあるが、TI.comであれば、社内規定によりクレジットカードで購入できない場合でもこうした与信取引で対応できる」(日本TI)。なお、NET30による与信取引を行う場合、TIが使用している支払いプラットフォーム「Apruve」に登録する必要がある。
さらに、API(Application Programming Interface)を活用することで、より利便性を高めることができる。具体的には、自社の既存インフラ(購買システム)とTI.comをAPIで連携させることで、リアルタイムの在庫や価格などの情報を入手できる。加えて、製品の在庫がない場合、在庫が補填されしだい自動で購入するよう設定することも可能だ。
APIスイート連携を行う場合、まずは「myTI」の法人アカウントに登録。その後、APIキーを申請して取得し、自社システムと連携させる手順になっている。
「API連携は顧客企業または開発委託先で行っていただく必要があるため、ややハードルが高いかもしれない。だが、同システムを活用することで、在庫情報を何度も確認する必要がなくなるので、購買担当者の負担を大幅に軽減できる」(日本TI)。なお、APIスイートの開発中にサポートが必要になった際は「API E2E」という質問フォーラムに24時間いつでも問い合わせることが可能だ。
TI.comでは製品設計に活用できる開発ツールも豊富に取りそろえている。例えばシミュレーションツール「PSpice(R) for TI」や、電源製品向け回路設計・シミュレーションツール「WEBENCH(R) Power Designer」などが使えるので、「ぜひ設計に役立ててほしい」と日本TIは述べる。
なお、TI.comでの調達や注文に関してサポートが必要な場合は、TIのカスタマー・サポート・センターに、日本語でいつでも問い合わせることが可能だ。
「TIでは、TI.comの機能改善とサービス拡充を図るべく、今後も継続的に投資していく。TI.comを活用することで、設計者や調達担当者の負担軽減に貢献していきたい」と日本TIは強調する。
半導体のサプライチェーンが常に安定しているとは限らない。少ない負担で、より確実かつ迅速に正規製品を入手できるTI.comは、設計者や調達担当者にとって心強い味方になるはずだ。
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