NXPセミコンダクターズ ジャパンは「日本でのプレゼンス向上」を掲げて、車載用、セキュア関連デバイス、汎用ロジック/ディスクリート製品といった世界トップクラスの地位にある製品の国内展開を強化する。社長の原島弘明氏は「2014年、国内市場に浸透しビジネス拡大が続く車載向け以上に、セキュアデバイス、汎用製品などのビジネスを伸ばす」と語る。
――2013年を振り返っていただけますか。
原島弘明氏 私自身、NXPセミコンダクターズ ジャパンの社長に就任したのが2012年11月。社長就任時からの任務と考えている「日本でのNXPのプレゼンス向上」に向けて、精力的に顧客を訪問することができ、好感触を得た1年だった。
ビジネスとしても、NXPは自動車や産業・医療向けなど足の長いビジネスから、汎用ロジック/ディスクリートといったコモディティまで手掛けている中で、コモディティ分野に関しては新規顧客も多く獲得でき成果として表れてきている。2013年12月期の業績に関しては、正式発表前で公表できないが、日本法人としては全社の売り上げ伸長率*)を上回る高い伸びを達成できる見込みだ。
*)米調査会社のIHS iSuppliが2013年12月に発表した2013年半導体メーカー売上高予測によるとNXPの売上高伸長率は前年比13.2%増としている。この売上予測数値についてNXPは「ノーコメント」としている。
――2013年の高成長を支えた要因はどのようなものがありますか。
原島氏 全社水準では、5つあるビジネスユニット(BU)のうち、特にNFC(近距離無線通信)製品、認証技術を扱うアイデンティフィケーション(ID)BUが、スマートフォン向けNFCやバンキングなどのインフラ向けビジネスを拡大させ急激に伸長した。BU別売上高としても、堅調に成長しているオートモーティブBUを追い越し、トップとなる見込みだ。スタンダードプロダクツBUでも汎用ロジック/ディスクリートで世界シェアが上昇するなど伸長した。
日本市場に限ると、売上比率がおおよそ6割と主力の車載向けが好調で業績を大きく引き上げた他、コモディティ製品での新規顧客獲得なども貢献した。
――2014年以降、日本での自動車向けビジネスの比重は高まりそうですね。
原島氏 国内自動車市場は非常に好調で、2014年も売上高が伸びることは間違いない。しかし、日本法人として2015年12月期に2012年12月期比で倍増させるためには、自動車以外のビジネスを自動車ビジネス以上に伸ばす必要がある。そのため、2014年は、日本の売上高の現在6割を占める自動車ビジネスの売上比率は結果的に下がることになるだろう。
実は、全社的には、自動車、ID、スタンダード製品、産業機器/インフラ、民生/コンピュータの5つのBUの売上高比率はそれぞれ20〜30%とバランスしている。そういった意味では他のBUのビジネスを日本で拡大させる余地は大きい。
――2014年に、伸長を期待している自動車以外のビジネスとはどのようなものがありますか。
原島氏 まず、2013年も伸長した汎用ロジック/ディスクリートといった製品だ。日本ではこれまで、国内メーカーが非常に強い市場だったが、2011年の東日本大震災、タイでの洪水を経て、BCP(事業継続計画)などの観点から、われわれ海外メーカーの採用を検討する顧客が増え、追い風が吹いている。
その中で、NXPは、汎用ロジック/ディスクリート製品は世界で約20%程度のシェアを有し、生産数量も多く、コスト、品質長期供給などさまざまな点で優位性を発揮しやすいポジションにある。また、こうしたコモディティ製品は、古い設備で製造される場合が多いが、NXPは毎年、汎用ロジック/ディスクリートに対し新規投資を実施し、歩留り、品質を維持しやすい最新鋭の設備で製造している点も強みとなっている。こうしたわれわれの特長、優位性を私が自ら、広く顧客に説明することで、非常に好感触を得ている。汎用ロジック/ディスクリート製品の2013年国内売上高は2012年比ほぼ倍増となったが、2014年はさらに売上高を大きく伸ばす計画だ。
さらに、全社レベルで2013年に大きく伸長したID製品が2014年は日本でも成長する見込みだ。NFCのスマホ搭載比率が高まったことで、スマホ周辺機器へのNFC搭載化の流れが加速しつつある。車載向け、デジタルカメラやプリンタ、テレビの他、白モノ家電などからも多くの引き合いをいただいている。
――NXPは2013年秋から、企業スローガンとして「Secure Connections for a Smarter World」を掲げられていますね。
原島氏 NFCや世界77カ国のパスポートにも採用されるセキュア技術は、IoT(Internet of Things)といわれるように、多くのモノがつながるようになった場合により重要な技術となり、どこにでも必要になってくる。
例えば、車でも車車間通信(C2C)をはじめ、車とクラウド、車とインフラなどさまざまなモノ、場所とつながるようになる。その時に、われわれNXPはセキュア技術と接続するための通信/インタフェース用デバイスも提供できる体制がある。特に車では、従来のCANやLINといったインタフェースから、ITS/テレマティクス分野の新たな技術まで広くカバーできており、自動車市場でのさらなるビジネスが拡大が期待できる1つの背景になっている。
もちろん、車載向け以外にもスマートエネルギー、医療/ヘルスケアなどの分野にも、“Secure Connections”に関連した製品、技術を提供していく。そういった企業の方向性を「Secure Connections for a Smarter World」というスローガンで表した。
――社長就任後の1つの目標として、日本法人売上高として「2015年12月期に2012年12月期比倍増させる」とされていましたが、達成見込みはいかがですか。
原島氏 3年間で売上高を倍増させるために描いたシナリオに対し、1年目の2013年はシナリオ通りか、シナリオを少し上回る形で終えることができ、十分に達成可能な状況だと考えている。2013年は、売上高倍増を実現するための体制構築も実施し、終えることができた。2014年、2015年は、目標達成に向けて、突っ走っていくだけだと考えている。
――売上高倍増に備えた体制とはどのようなものですか。
原島氏 ビジネス規模を2倍にまで広げても対応できる体制を目指して、より成長性の見込める分野、セグメントにリソースを厚くするよう人員の再配置を行った。また、サポート体制のさらなる充実を目的として、販売代理店の強化を実施した。販売代理店でのFAE(技術営業人員)を増やした他、これまで以上の技術トレーニングも行っている。より販売代理店が主体的な営業活動や技術サポートを展開できる体制となった。
――最後に、2014年の抱負をお聞かせください。
原島氏 NXPは、フィリップスから独立した2006年から2008年にかけて、携帯電話機用SoCやテレビ用SoCといった事業を売却し、世界1位、2位のシェアを有する、または、期待できる事業に絞った。そのため、全社売上高は2009年に3500億円程度まで縮小したものの、その後毎年プラス成長を続け、2012年には4300億円を超える規模まで成長し、2013年もこの成長ペースを継続する見込みだ。
こうした急成長を遂げるNXPの中でも、日本法人としては、さらにそれを上回る成長を実現したい。そのための準備は整っており、2014年は前年比30%増を超えるような売上高伸長を実現する。
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提供:NXPセミコンダクターズジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年2月13日