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FlashAirはSDカードサイズの超小型Webサーバだ実はAPIが公開されている!

無線LAN機能を搭載したSDメモリカード「FlashAir」。写真の共有に便利なSDカードというイメージが強いが、実はAPIが公開され、さまざまなカスタマイズが可能だ。既にFlashAirが持つ「SDHCカード」「無線LANアクセスポイント」「Webサーバ」という3つの機能を生かした機器が市販されている。ここでは、さまざまなFlashAirの使い方や応用例を紹介していく。

» 2014年04月24日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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 デジタルカメラに無線通信機能を手軽に付加できる無線LAN機能内蔵型SDメモリカードは、スマートフォン/タブレット端末の普及とともに製品化され、家電量販店の店頭などでもよく見かけるようになってきた。

女優の有村架純さんをイメージキャラクターに起用したCMなどで、認知が広がっているFlashAir

 東芝は2012年に無線LAN機能内蔵型SDメモリカード「FlashAir」(フラッシュエア)を発売。最近では、女優の有村架純さんを起用したテレビCMを展開しており、一般消費者の間でFlashAirの認知度が高まってきている。

 まず、写真転送でのFlashAirの使い方を簡単に紹介したい。

動画が取得できませんでした

 デジタルカメラのSDカードスロットにFlashAirを入れ、カメラの電源を入れる。次に、スマートフォンに「FlashAirアプリ」(無償)をダウンロードし、FlashAirアプリを起動する。接続可能なFlashAirのリストが表示されるので、接続するFlashAirを選択する。これで、デジタルカメラとスマートフォンがFlashAirの無線LAN機能を介して接続される。スマートフォンの画面には、FlashAirに保存された写真や動画が表示されるので、気に入った写真や動画をその場でスマートフォンにダウンロードできる。この仕組みを使えば、デジタルカメラで撮影した写真をインターネット回線を使わずに複数のスマートフォンで共有でき、写真を撮ったその場で「思い出をシェアする」楽しみ方ができるようになる。

FlashAirの一般的な使い方。アプリを使用した場合(左)とブラウザを使用した場合

 また、FlashAirアプリを使わなくても、ノートPC、タブレット端末、スマートフォンなどの機器をFlashAirの無線LANに接続し、ブラウザを立ち上げれば、FlashAirの無線機能を通して、デジタルカメラで撮影した写真をみることができる。

 FlashAirをはじめとした無線LAN機能内蔵型SDメモリカード製品のほとんどは、無線機能を持たないデジタルカメラに挿して、写真や動画をスマートフォンやクラウドサービスと共有する用途に主眼を置いている。読者の皆さんも、「無線LAN機能内蔵型SDメモリカード=写真共有」というイメージが強いだろう。

写真共有だけでは、もったいない!

 実はFlashAirは、「無線LAN機能」だけでなく、「Webサーバ機能」を持っている。つまり、FlashAirはSDカードサイズでありながら、「SDHCメモリカード」、「無線LAN」、「Webサーバ」の機能が凝縮されているのだ。これらの機能を、写真共有以外の別の用途に使うにはどうしたらよいのだろうか?

FlashAirはSDカードサイズでありながら、「SDHCメモリカード」、「無線LAN」、「Webサーバ」の機能が凝縮されている

 FlashAirは、外部機器から無線LAN経由でアクセスする方法と、SDカードスロットからアクセスする方法が、APIとして公開されている(ちなみに、他の無線LAN機能内蔵型メモリカードでは、APIが公開されているケースはほとんどない)。これらのAPIにより、FlashAirが持つ機能をフルに活用でき、いろいろな使い方ができるようになる。

 FlashAirのデフォルトの状態(FlashAirや機器の設定変更なし)では、外部の無線LAN機器へのデータ転送しかできないが、APIを利用して設定を変更することで、データ送受信の形態が一気に増え、外部無線LAN機器からFlashAir側へのデータ転送、無線LANアクセスポイント(AP)経由でのインターネット上のサーバへのデータアップ/ダウンロード、さらにはFlashAir同士の通信も行えるようになる。

公開されているAPIの概要(左)とFlashAirの使い方パターン

多彩なFlashAirの応用例

 既に、FlashAirの無線LAN機能やWebサーバ機能を活用したさまざまな製品やソリューションが登場しているので、それらの一部を紹介しよう。

 キングジムのデジタルメモ「ポメラ DM100」がその1つだ。FlashAirをSDカードスロットに挿すことで、ポメラで作成したテキストファイルを無線LANアクセスポイント経由でクラウドサービスである「Evernote」に保存する機能を実現している。

 JAFMATE社のドライブレコーダ「ドラドラ DD-04」は撮影動画をFlashAirに保存し、専用アプリでスマートフォンやタブレットで閲覧、ダウンロードできるようにしている。

 音響機器メーカーのズームは、ハンディタイプのリニアPCMレコーダー「H2n」「H6」などをFlashAirに対応させ、録音したMP3データなどを無線LANで共有できる機能を実現している。

 パナソニックの電子黒板でも読み取ったデータをシェアするためにFlashAirを活用している。

FlashAirの無線LAN機能やWebサーバ機能を活用したさまざまな製品例。左からキングジムのデジタルメモ「ポメラ DM100」、JAFMATE社のドライブレコーダ「ドラドラ DD-04」、ZOOMのリニアPCMレコーダー「H2n」、パナソニックの電子黒板「パナボードUB-5838C」
学会などの会議でのFlashAir応用例

 また、学会などの会議でFlashAirが意外に好評だという。学会などの会議の多くは、大量の資料を配布するため、資料の電子化が進められている。当然であるが、資料は出席者のみに配るのが原則である。電子資料を配布する場合、資料ダウンロード用のサーバを用意して、参加者にダウンロードしてもらえばよいわけだが、たった数日の会議でも、サーバを用意して設定を行ったり、事前に会場のインターネット環境をチェックしたりと、意外と面倒な作業が必要である。しかし、FlashAirがあれば、USB給電対応ACアダプタとUSBのSDカードリーダーを用意するだけで、どこでもダウンロードサーバを構築できる。FlashAirのWebサーバ機能は電源さえ供給されれば自動でサービスされる。この特長に着目した一部の学会では、FlashAirに電子化された資料を格納し、会場内でのみ利用可能な「オンサイトダウンロードサービス」を実施している。FlashAirがあれば、手軽に安くダウンロードサーバを構築できるので、学会主催者から評価されている。

写真活用でも広がる用途

 FlashAirの主要な用途である写真共有でも、パソコンでの利用や業務ソリューションの開発が広がってきている。

 富士通は自社製パソコン「FMV」にプリインストールしているF-LINK(SD)で、デジタルカメラやデジタルムービーにFlashAirを挿したまま、無線LAN経由で写真や動画を自動でパソコンに取り込めるようにしている。2012年のFlashAir発売当初から対応済みだ。

 東芝製パソコン「dynabook」にプリインストールされている写真管理ソフト「思い出フォトビューア」もFlashAirに連携している。デジタルカメラに挿したFlashAirから、ワイヤレスで写真をパソコンにダウンロードできる。

 小売業や建設業、病院などでの写真を利用する業務用アプリやシステムへのFlashAir活用も進みつつある。FlashAirで写真を効率よく業務に利用する仕組みが開発されている。

充実の開発者向けサイト

開発者向けサイト「FlashAir Developers」の概要

 いろいろな使い方ができるFlashAirだが、いざ開発しようとすると、分からないことも多いだろう。東芝では、開発者向けサイト「FlashAir Developers」(運営:フィックスターズ)を通じて、FlashAirを応用したアプリ開発に役立つさまざまな情報を提供している。FlashAir Developersには、APIはもちろん、APIの解説ドキュメントや、さまざまなOS、ブラウザに応じたサンプルコードや、実際の応用事例といった情報が日本語と英語で提供されている。開発者同士がコミュニケーションする場も設けられ、疑問点なども開発者同士で解決できる環境が整っている。

 例えば、先に挙げた会議での資料配布用サービスを簡単に準備できるように、トップページ画面の作成ツールがFlashAir Developers内で公開されている。その他にも、ArduinoやRaspberry Pi、SAKURA BoardなどのマイコンボードでFlashAirを活用するためのサンプルコードなど、各種情報も順次公開されていく予定だ。「FlashAirで、こんなことをしたい」と思ったら、ぜひFlashAir Developersをのぞいてほしい。無料で、誰でも自由に閲覧できる。

OEM版などビジネス向けサポートも

ハードウェア構成がFlashAirと同等で、表面が自由にデザインできる無線LAN搭載SDHCメモリカード

 東芝は、家電量販店での一般消費者向け販売と並行して、ビジネス用途向けでのFlashAir販売も積極的に行っていく方針だ。さらに、自社ブランドで商品を出したい法人向けに、ハードウェア構成がFlashAirと同等の無線LAN搭載SDHCメモリカードを供給できる体制を整えている。表面は自由にデザインできるようにラベルは貼られていない。もちろん本製品も、日本や欧米などで各国無線認証を得ているので、すぐに使用できる状態で提供される。

 大日本印刷(DNP)は、本製品をカスタマイズしてデジタルサイネージ用コンテンツ配信管理システムを開発し、既にサービスを開始している。これは、店頭で商品の販促用途に使われる電子POPなどの小型デジタルサイネージ端末に対し、無線LAN経由でコンテンツ配信ができるようにしたもので、これまでSDカードを差し替えて行っていたコンテンツ更新を、無線LAN経由で遠隔からも行えるようになっている。

 無線LAN機能を自ら組み込んだ場合、設計の手間だけでなく、無線認証を取得する手間も大きい。FlashAirなら、SDカードスロットさえあれば、既存の機器に無線LAN機能を付加することも容易だ。コストやサイズといった視点から見ても利点は多いだろう。

展示会にも出展

 東芝では、FlashAir Developersでの情報提供とともに、「第17回組み込み開発技術展(ESEC)」(2014年5月14〜16日、東京ビッグサイト)や「ワイヤレスジャパン2014」(同年5月28〜30日、東京ビッグサイト)といった展示会にFlashAirを出品し、ビジネス用途でのFlashAirの利用方法を紹介する。FlashAirのさまざまな可能性を体感できる絶好の機会であり、ぜひ東芝ブースをのぞいてみてほしい。

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提供:株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月30日

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