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独自プロセス/パッケージ技術で、自動車のエネルギー効率向上に貢献するインターナショナル・レクティファイアー 副社長 Henning Hauenstein氏

インターナショナル・レクティファイアー(IR)は、創業以来、「エネルギー効率の向上」に向けた独自技術を多く盛り込んだパワーデバイスの提供を続けてきた。2008年からは、車載製品事業部を立ち上げ、IRの独自パワーデバイス展開を自動車市場へも広げてきた。過去4年間で売り上げ規模が4倍になるなど急拡大するIRの車載製品事業を統括する副社長のHenning Hauenstein氏に、車載製品事業における技術/製品戦略や日本でのビジネス展開状況について聞いた。

» 2014年08月25日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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2008年に車載製品事業部を設立し、本格展開をスタート

――IRにおける車載向け事業は、非常に重要な位置付けにあると聞いています。

Hauenstein氏 Oleg Khaykinが2008年にCEOに就任した際、Khaykinは、IRは車載事業にはそれほど注力しておらず、専門の事業部もないことに気付きました。そこで、当社は2008年末に新しい事業部を立ち上げ、どのように車載事業を育てていくべきか、戦略を打ち出しました。特に、“0ppm”を実現する品質管理体制をはじめ、長期供給体制、そして自動車市場の要求に応えるためのロードマップの構築に重点を置いてきました。現在、車載製品事業部は、IRの売上高の14%以上を占めるまでに成長しました。車載製品事業部はIRにおいて最も急速に成長している事業部であり、当社にとっての重要性も高まっていると言えます。

――車載向け製品に対する開発投資は、どの程度ですか。

Hauenstein氏 各事業部に対する開発費/開発リソースの割り当ては公開していません。ただ、全社として、多額の開発費を、優秀な人材や最先端の半導体技術、パッケージング技術に投資しおり、われわれ車載製品事業部も、こうした全社共通の企業プラットフォームを活用しています。通常、車載製品事業部の研究開発チームは、この包括的なプラットフォームを用いて、そこから、信頼性を非常に高いレベルまで引き上げていく役割を果たしています。先述した通り、車載製品事業部は急速に成長しており、その成長に合わせて、車載向け技術に対する研究開発投資は拡大させていることも事実です。

自社で製造プロセスを持つからこそ

――IRの車載半導体の強みは、どの辺りにありますか?

 パワーマネジメント分野をけん引するIRの最も大きな強みは、独自の半導体製造プロセスにあります。アナログ/パワー分野では、製品向けに半導体プロセスを制御し、管理し、開発することが重要です。それに伴い、MOSFETなどのパワースイッチからIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、高電圧/高出力のアナログICに至るあらゆる車載製品も、当社独自のプロセスで製造されています。

 独自の自社プロセスを持つことで、かなり特殊な要求に対しても、パワーデバイスを調整し、作り変え、性能を向上させることができる訳で、われわれは非常に有利な立場にいると言えます。製品を最適化するために、かなり特別な半導体プロセスを深く考察していますので、特定の車載システム向けに、純粋なデバイス設計以外に、チップセットごと開発することも可能です。こうしたことは、非常に高い耐久性と堅ろう性を実現しつつ、車載市場において品質とコストターゲットを満たす先端技術を開発する上で、重要になっています。

――パッケージ開発にも注力されています。

「COOLiR2」の概要

Hauenstein氏 IR、とりわけ車載製品事業部は、パッケージ技術に重点を置いています。当社の半導体は最先端であり、従来のワイヤボンドのプラスチックパッケージを用いた場合、寄生インダクタンスと限られた放熱性によって、機能/性能を十分には発揮できなくなります。そこで、われわれは「DirectFET2」や「COOLiR2」といったワイヤボンドレスで両面放熱が可能な独自パッケージング技術に開発力を集中させています。両面放熱は、熱特性を向上させると同時に、寄生インダクタンスとそれに伴うノイズ、過電圧を大幅に低減します。両面をはんだ、または焼結するダイアタッチにより、信頼性と耐久性も向上します。ワイヤボンドレスによって、ワイヤボンドに起因する不具合を取り除くこともできます。

6年以内に自動車へもGaN投入へ

――次世代パワー半導体の1つであるGaN(窒化ガリウム)製品開発も積極的ですね。

Hauenstein氏 正直に言うと、市場に投入しているIRの全ての技術は、突出した省エネ性能を世界にもたらしていると思っています。アナログ・パワーから出発した当社は、パワーマネジメントスイッチ/ICにはとても強いでしょう。そして、当社は、恐らく最先端のGaNにおいても強いリーダーシップを発揮していると自負しています。ご存じのように、GaN on Siliconベースのパワー製品を提供しています。将来的にはシリコンを置き換えて、より効率的でパワー密度の高い製品を実現すると考えています。

 GaN-on-Silicon製品の車載市場への投入は今後5〜6年以内にはできると考えています。GaNデバイスは、未来のクルマの性能と設計に革命を起こし、車載半導体市場を大きく変えることになるはずです。

――プロセス、パッケージ技術以外での取り組みについても教えてください。

Hauenstein氏 先端の技術開発面では、最近、デジタルパワーマネジメントの分野で多くの実績を持つCHiLを買収しました。CHiLのデジタルパワーマネジメント技術は、突出した効率を当社のコントロール製品にもたらすでしょう。DC/ACコンバータおよびDC/DCコンバータにおける高効率のエネルギー変換は、現在の電気自動車/ハイブリッド車では重要な要素の1つで、急速に進化しているシステムでもあります。デジタルパワーマネジメント分野でも、優れた技術と製品を提供するための準備が整いました。

 自動車市場は、最新技術や製品ロードマップの長期的な視野が常に必要です。ある製品をリリースする時には、既に次の3〜5年先のための技術開発に取り組んでいる訳です。同時に、エレクトロニクス技術に対する信頼性と耐久性のニーズによって、ISO 26262のような新たな安全基準は増えていくと考えています。これらは、新製品の開発に大きな影響を与えます。特定のシステムが絶対に不具合を起こさないと保証する機能安全を実装することは、重要な課題になっていて、大きな差別化価値になりつつあるでしょう。当社は、「safeIRpowIR」戦略にかなりの重きを置いています。これは、ISO 26262に準拠した最先端の製品を開発するためのプロジェクトです。例えば、当社の最新のモーター駆動ICの試作品は、インバータのパワースイッチが故障しても、モーター(パワーステアリングモーターなど)を駆動し続けられます。2014年内には、これまでにない優れた性能を備えた新製品を発表できるでしょう。

EV/HEV向けでも「良い立ち位置」

――電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HEV)の普及が始まっていますが、IRとしてどのような技術、製品展開を行われていますか?

IRの自動車向け製品の主なラインアップ

Hauenstein氏 IRのミッションは、Eric Lidowが1947年にIRを創設したときから変わっていません。そのミッションとは「エネルギー効率の向上」です。輸送分野は、世界で最もエネルギーを消費する分野であり、IRと当社の車載製品事業部にとって、グリーンでエコフレンドリーな製品/技術の提供に貢献できる、最適な分野です。われわれの製品はEV/HEV向けのアプリケーション全体を網羅していることから、当社は良い立ち位置にいるでしょう。当社のチップセットは基本的に、“メインの電気モーターを駆動する低出力から高出力までのインバータ”から、“オンボードのDC/DCコンバータやバッテリーチャージャ、その他の周辺負荷やエネルギーを消費するものなど向けの高効率のエネルギーコンバータ”まで、パワートレイン全体をサポートしています。当社の技術は、損失とリークを最小限に抑えて、バッテリー駆動のクルマの走行距離を伸ばします。われわれは、これまでにない統合と最高の電力密度を実現する先端の製品と技術によって、HEVロードマップをサポートしていきます。最近でも、非常に小型で100kWのパワートレインインバータを発表しました。このインバータは、女性のハンドバッグに収まるほどの小型サイズです。個人的には、COOLiR2プラットフォーム技術が、EV/HEVシステムの主要なブレークスルー要素として、今後3〜5年以内に市場に浸透していくと考えています。

IRの品質の高さを証明したアプローチ

――IRの車載製品事業にとって、日本市場の位置付けはどのようなものですか。

Hauenstein氏 日本は欧州と並んで自動車の進化をリードする市場と考えています。そうした日本の車載市場は、IRにとって2つの重要な意味合いを持ちます。1つは、自動車業界のトレンドと要求を学べる市場であること。もう1つは、当社の製品を使う主要なエンドユーザー市場であることです。日本の自動車メーカーとサプライヤは、高品質の製品を開発する方法や、信頼性を向上させる方法、これらを支える実装プロセスなどを学ぶことができる重要なパートナーです。

 さらに日本市場を重要視していることとして、IRは米国の施設に加えて川崎市にも品質評価ラボラトリがあることが挙げられます。品質問題に関しても日本の市場のすぐ近くで迅速な対応が可能となっています。

――日本でのビジネスの状況はいかがですか?

Hauenstein氏 以前は、成功しているとは言えない状況でしたが、2008年に車載製品事業部を立ち上げて、高品質の製品を提供するという戦略を打ち出してから、日本でも非常に成功するようになりました。車載製品事業部の売り上げのうち10%は日本での売り上げが占めるようになっています。

 われわれは、日本でかなり強い車載市場に対するデザインインのパイプラインを持っています。このことは、日本市場に対する当社のアプローチが正しかったことを示しているといえるでしょう。

 日本市場へのアプローチとして、まずMOSFETのような、よりベーシックな製品を提供するところからスタートしました。こうした製品は、品質、信頼性、堅ろう性がより高いということが分かっていたからです。このようなアプローチで、“IRが高品質の製品のサプライヤであること”を日本市場で証明していき、その後、徐々に、当社のより革新的な製品に対する認知度と採用数が高まっていきました。最終的には、当社が大きな強みを持つ高電圧ポートフォリオで、最先端のCOOLiR IGBTとそれに伴う先端のパッケージが、日本の自動車に搭載する電気パワートレインを進化させる上で、高い関心を集めていきました。他にも、パワーステアリングやブレーキなど、安全面で非常に重要な用途に使うパワーMOSFETなどでも成功を収めています。

シェア増やし続ける

――最後に、車載事業における目標を教えてください?

Hauenstein氏 これまでの4年間の素晴らしい成功を持続させ、シェアを増やすことで成長し続けることです。ここまで、年成長率は2桁を維持しており、直近では25%近くあります。これだけの成長を維持するには、熱意と、優れた品質/性能を持つ製品と、用途に適していることが必要です。当社は、パワートレインの電子化が進む傾向にある中で、自動車業界においてさらに重要なプレイヤーを目指せる非常に良いポジションにいると確信しています。過去100年間、自動車は、主に機械的な要素とエンジンの進歩によって、進化してきました。現在の自動車は、エレクトロニクスによって進化する時代になっているのは間違いありません。当社は、キープレイヤーとなって高いシェアを獲得し、優れた製品で世界的な省エネ化に貢献していきます。


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提供:インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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