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機器開発に新機軸をもたらす東芝の最新マイコン「TXZファミリー」に迫る優れたCPU/周辺回路は当たり前、問題はその先だ!

ユーザー目線にこだわった新しいマイコンが登場した。東芝の新マイコンファミリー「TXZファミリー」だ。その特長は、最先端技術を盛り込んだマイコンそのものにとどまらず、ユーザーの“やりたいこと”を具現化するためのソリューション/技術サポートでもこれまでのマイコンと一線を画す。あらゆる機器開発に新たな価値を提供するだろう「TXZファミリー」を紹介しよう。

» 2016年08月31日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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 電子機器の開発の在り方は大きく変わりつつある。

 IoT(モノのインターネット)化という流れの中で、これまで通信と縁遠かった多くの電子機器でも通信機能に対応し、多くのセンサーを搭載するなど多機能化が進んでいる。多機能化に対応すべくより高性能なコンピューティング能力も必要になる一方で、消費電力の低減も進めなければならない。電子機器の開発に求められる要件は増え続け、結果、複雑な開発を強いられている。

 電子機器開発現場ではこれまで、開発コンセプトを具現化するため、これまでゼロから部品を選定、回路設計するケースが多かった。だが、開発が複雑化した昨今では、コンセプトを実現するための手段を身に付けるのにも時間を要するため、外部からレファレンス回路/ソフトなど既にある程度仕上がったものを手に入れ、それを基に開発するケースが増えている。ただ、開発コンセプトに見合う“完全なレファレンス”を探し出すことは難しく、“レファレンス”をつなぎ合わせ開発、時には“レファレンス”に合わせて当初のコンセプトを仕方なく変更して開発するというケースもある。

 特に、多くの電子機器の中核を成すマイコンを手掛けるメーカーが提供するレファレンスの類いは、「このマイコンを使うには、こうした回路、ソフトウェアが推奨される」と、あくまで“マイコンが主役”のレファレンスとなっている場合がほとんど。ユーザーが「○○を開発してみたい」「△△機能を搭載した機器を実現したい」という観点で、マイコンメーカーのレファレンス類を探してみても、どのレファレンス、どのマイコンが最も適しているのか分かりにくかった。

やりたいことで選べる新マイコンファミリー登場

 この「○○を開発してみたい」「△△機能を搭載した機器を実現したい」というアプリケーションの観点で選びやすく、使いやすいという新機軸を打ち出したマイコンが2016年、登場した。東芝の「TXZファミリー」だ。

東芝の新マイコンファミリー「TXZファミリー」の概要 (クリックで拡大)

 東芝は、「ベクトルエンジン」などに代表される高速、高精度なモーター制御に適したペリフェラル豊富に持つマイコン「TXファミリー」を展開。そして、TXファミリーの特長が存分に生かせるモーターやインバーター制御が鍵になる産業機器や白物家電といったアプリケーションを中心に「○○を開発してみたい」「△△機能を搭載した機器を実現したい」の要望に応える各種レファレンスや開発環境の提供、さらには技術サポートを提供してきた。

 しかし、「産業機器や白物家電以外のアプリケーションに対しては、十分なサポートができていなかったのが実情だった」という。

 その上で、「今後、需要拡大が見込まれるセンサー端末やヘルスケア機器などIoT時代のあらゆる機器でも、産業機器や白物家電同様のユーザー視点でのレファレンス、開発環境、サポートが求められている。そうした要望に応えられるマイコンファミリーとしてTXファミリーの後継となるTXZファミリーを開発した」と説明する。

「TXファミリー」の優れたDNAを引き継ぐ「TXZファミリー」 (クリックで拡大)

TXファミリーが大きく進化し「TXZファミリー」に

 TXZファミリーは、マイコンとしては先端の微細半導体製造プロセス「65nm フラッシュ混載ロジックプロセス」を採用するなど、先端技術を駆使して作られる。だが「マイコン単体で他社の最新マイコン製品とスペックなどを比較しても、驚くような特別な性能、機能があるわけではない。それぞれの製品単体では、各機能やパフォーマンスを洗練し進化させてはいるが、至って普通の最新マイコン」と笑う。

 1つ1つは“普通の最新マイコン”ながら、その集合体である“TXZファミリー”として見ると、普通ではなくなる。あらゆる要望に応えられる、あらゆる製品がくまなくそろうためだ。

 TXZファミリーは、TXファミリー同様、マイコンのデファクトスタンダードCPUコア「ARM Cortex-Mシリーズ」を採用するARMマイコン。Cortex-M0、同M3、同M4Fのコア別シリーズを展開し、Cortex-Mシリーズの主要3コアを全て網羅する。そして、各コアシリーズでも、ターゲットアプリケーション別に製品グループを形成し、そのグループで幅広いパッケージ、内蔵メモリ容量の品種を展開する。

「TXZファミリー」の製品グループ展開 (クリックで拡大)
「TXZ3シリーズ/M3Hグループ」のメモリ容量/パッケージ展開 (クリックで拡大)

 例えば、Cortex-M3コアを搭載する「TXZ3シリーズ」の民生機器/産業機器向けスタンダード製品グループ「M3Hグループ」で展開される製品のバリエーションは、パッケージピン数で32ピンから176ピン。内蔵RAM容量では6KBから128KBであり、一般的なマイコン製品ではほとんど見かけないパッケージ/メモリ展開を行う。この製品展開を持って多彩なアプリケーションに対する組み込み方であったり、ソリューションを拡充していくことになるため、従来80品種程度で展開されていたTXファミリーとそこから提案されるソリューションの種類を考えると、いかにTXZファミリーのバリエーションが豊富かということが分かるだろう。

性能、機能もニーズをくまなくカバー

 性能、機能面でも、あらゆるニーズに応えるべく、これからのマイコンに求められる要素は網羅する。

「TXZファミリー」の特長 (クリックで拡大)

 動作周波数は、汎用マイコンとしては最速クラスの最大200MHzを誇る。基本動作時の消費電流は1MHz当たり100μA、スタンバイ消費電流(リアルタイムクロックのみ動作するSTOP3モード時)も0.5μAと低消費電流。内蔵発振器は10MHz±1%の精度であり、最新マイコンにふさわしい基本性能を備える。なお、動作電圧は、TXZファミリーとして1.62Vから5.5Vまでであり、1.8V系、3.3V系、5V系といずれの電源系統にも対応できるようになっている

 ペリフェラルとしては、外付けのE2PROMやデータ保持用バッテリーを削減できる書き換え回数10万回を誇る大容量データフラッシュを全製品で搭載する他、TXファミリーで実績ある高速A-Dコンバーター(12ビット分解能で最小変換時間0.5マイクロ秒)など「TXファミリーのペリフェラルIPを刷新したり、追加したりし、現状のマイコンで当たり前といえるペリフェラルを網羅した」と言い切る。加えて、ベクトルエンジンなど東芝として“当たり前”である独自ペリフェラルも進化したものが搭載される他、新規の独自ペリフェラルを搭載した製品もラインアップされる。

東芝独自ペリフェラルも充実

 例えば、TXファミリーでは、一部のカスタム製品にのみ適用していたという「プログラマブル サーボ・シーケンサー コントローラー」(PSC)を搭載した汎用品展開が行われる。PSCは、サーボやシーケンサーを制御する際に不可欠な位置情報などのフィードバックデータ専用の処理回路で、CPUとは別個に独立して並列処理が行える。レンズ位置を制御するカメラ用途やアクチュエーター制御用途で、CPU能力以上の性能を発揮できるようになるペリフェラルであり、注目される。

 安全機能も十分に備える。2007年に欧州の家電機器を対象に義務化された欧州家電安全規格「IEC 60730」への対応はもちろんのこと、さまざまな安全規格に対応できるよう自己診断機能の搭載や耐ノイズ性能の強化を図った。「安全機能は、ハードウェアで実施すること、ソフトウェアで実施することの2種あり、どちらで行うかは、規格やユーザーの考え方によって変わってくる。TXZファミリーでは、さまざまなハードウェア安全機能を用意し、ユーザーが自由に組み合わせられるライブラリをそろえ、各種要望に応える」という。

アプリケーション目線のソリューション&技術サポート

 このようにTXZファミリーは、これからのマイコンに必要な性能、機能を持ち、その上でどのようなアプリケーションにも対応できる豊富なラインアップを備えるという点で、他のマイコン製品と一線を画したマイコンといえる。その上で、東芝では、「○○を開発してみたい」「△△機能を搭載した機器を実現したい」という声に応えるアプリケーション目線での各種ソリューションに“TXZファミリーの最大の特長”を持たせようとしている。

「TXZファミリー」の提供とともに強化した技術サポートの主なメニュー (クリックで拡大)

 まず、具体的にアプリケーションの実現手段を記載した「アプリケーション・ノート」の拡充だ。次世代型リモコンなどユニークな付加機能を盛り込んだアプリケーション・ノートを1製品グループ当たり数十種という数をボードパートナーと組んでそろえていくという。「無線LAN機能付きSDカード『FlashAir』と組み合わせたアプリケーション・ノートも企画中だ。面白みのあるアプリケーション・ノートで、他のマイコン製品とは違った提案を行っていく」と語る。

 レファレンスボード/開発用ボードも協力企業と連携し提供する。「Arduino互換」や「mbed」など汎用性の高いボードの展開の他、アプリケーション特化型の開発ボードを順次、拡充していく。「まずは、インバーター/モーター制御向けボードからの拡充となるが、その後、センシング用途向けボードなどをボードパートナーと組んでそろえていく方針」という。

 開発環境については、豊富なARMマイコン用ツール、ソフトウェアが使用できるだけでなく、独自ツールの提供も実施していく。「モーター制御用途向けに、単にソフトウェア開発だけでなく、マイコン周辺回路のレファレンスやメカニカル部品の最適化を、一元的に行えるツールなど高度なノウハウが要求される領域の開発負荷を大きく軽減するツールの提供を検討中」。最新のサードパーティーツールとの連携も図り、インバーター/モーター制御向けの一部製品グループでは、車載用途などで信頼性を確保するために使用されている動的RAM検証ツール「RAMScope」(横河ディジタルコンピュータ製)に対応するなどしている。

 豊富で、ユニークなアプリケーション・ノート/開発環境をそろえていく方針だが、「あらゆるニーズに応えるには、十分とは言い難い」という。そこで「TXZファミリーの提供に合わせ、マイコン技術サポート体制を強化し、国内外で開発をサポートできる体制を整えた。TXZファミリーのラインアップは豊富であり、技術サポート担当者に要望を伝えてもらえれば、解決策を提示できる」と語る。

モーター制御やセンシング市場に応えるソリューションを拡充

 TXZファミリーは、2016年5月に「TXZ3シリーズ」の民生機器/産業機器向けスタンダード製品グループ「M3Hグループ」の第1製品群のサンプル出荷が始まった。

「TXZ3シリーズ/M3Hグループ」の概要 (クリックで拡大)

 そして2016年10月には、Cortex-M4Fコア搭載の「TXZ4シリーズ」の低中速モーター/インバーター制御用途向け製品グループ「M4Kグループ」の第1製品群のサンプル出荷が始まる。なお、M4Kグループには、さらに進化したベクトルエンジン「アドバンスドベクトルエンジンプラス(A-VE+)」を搭載する。

「TXZ4シリーズ/M4Kグループ」の概要 (クリックで拡大)

 その後も2016年末から2017年前半にかけて、M3Hグループの第2、第3製品群のサンプル出荷が行われる他、通信機器やOA機器向けの通信制御用製品グループや、低消費電力を特長にするセンサー制御用製品グループなどのサンプル出荷も始まる見込み。

「TXZファミリー」の開発ロードマップ (クリックで拡大)

 「モーター制御やセンシング市場に応えるソリューションを拡充する多彩な製品ラインアップとなるよう開発を進めている」という。電子機器開発に新機軸をもたらす東芝の最新マイコン「TXZファミリー」の今後に注目だ。


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提供:株式会社東芝 ストレージ&デバイスソリューション社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月30日

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