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IoT機器開発の必需品“μAレベルの電流変動計測器”オシロやマルチメーターで“何となく測る時代”はもう終わった!

低消費電力化が不可欠なIoTデバイスだが、消費電力を大きく左右する消費電流については、あまり正確に測定されていなかった。というのも、これまで1mAを下回る微小電流を含めて定量的に電流を測定できるツールがなかったためだ。しかし、昨今、1mA以下の電流変動でさえも手軽に、かつ、正確に測定できる計測ソリューションが登場。IoTデバイス開発現場でも徐々に、消費電流を正確に把握し機器の低消費電力化を図る開発手法が浸透しつつあるのだ。

» 2016年10月25日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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IoTデバイス普及の鍵は「消費電力の低減」

 世の中のあらゆるモノにセンサーが装着され、インターネットにつながるIoT(モノのインターネット)の時代が到来しつつある。こうしたセンサーを持ち、インターネットにつながる「IoTデバイス」は、人や社会に安心、安全、快適をもたらすべく、身の回りの至る所に取り付けられる見込みで、その数は全世界で、数百億個とも、1兆個にも及ぶとされる。

 こうした途方もない数の設置が予見されるため、IoTデバイスは、さまざまな要件をクリアする必要がある。小型化、低コスト化といったクリアしなければならない要件がある中で、最も重要な要件が「IoTデバイスの低消費電力化」だ。消費電力を抑えることができれば、小型化や低コスト化といった要件もクリアしやすくなるためだ。

 IoTデバイスのほとんどは、電池/バッテリーで駆動することになる。仮に消費電力が大きければ、1つの電池、1回の充電バッテリーでIoTデバイスが動作できる時間は短くなる。そうなれば、高頻度で電池交換や充電を行う必要が生じ、保守メンテナンスに掛かるコストは増大する。逆に、IoTデバイスの消費電力を低減できれば、1つの電池、1回の充電で長時間の駆動を確保でき、保守メンテナンスのコストを低減できる。そして、十分な駆動時間を確保できれば、IoTデバイスに搭載する電池やバッテリーの容量を小さくすることが可能になり、IoTデバイス自体の小型化が図れるわけだ。

 小型化、低コスト化にも通じる消費電力化以外にもIoTデバイスで実現する必要がある要件は多くある。その1つが「安定した動作」の実現だ。インフラ監視など生命に関わるような分野でのIoTデバイスは、微小な事象を正確にセンシングすることが求められる。検知漏れや誤検知を起こさない安定した動作が不可欠だ。

 このようにIoTによる安心で安全、快適な社会を作るには、“低消費電力で安定した動作するIoTデバイス”を実現しなければならない。では、“低消費電力で安定した動作するIoTデバイス”を開発するには、どうしたら良いのだろうか。

 その鍵を握るキーワードがある。それは「電流変動測定」だ。

電流変動をちゃんと測れていますか?

 電子機器開発において電流は、基本的な測定対象であるにもかかわらず、実は正確に測れていないのが実情なのだ。

 現状、電流を測定する代表的な方法の1つがマルチメーターでの測定だろう。マルチメーターは、微小な電流も含め正確な電流値を取得できるが瞬時の電流値だけであり、電流変動をもれなく検出するなど連続的な電流の測定には向かない。

現状のバッテリー駆動型IoT機器開発現場における代表的な電流測定方法のイメージ

 連続的に電流を測定する方法としては、オシロスコープに電流プローブ(ないし、シャント抵抗)を組み合わせた測定が一般的だ。下図に、オシロスコープと電流プローブを使用して、Bluetooth通信モジュールの消費電流を測定した場合の測定波形イメージを示す。

Bluetooth通信モジュールの消費電流を最新の12ビット分解能オシロスコープと電流プローブを使って測定した際の波形イメージ

 この波形を見る限り、連続的に電流波形を取得できているように見える。特に、消費電流が多いピーク時の電流はノイズが小さく、電流波形を取得できているようにも見える。なので、「消費電力が大きいモジュールの通信動作時の消費電流が測定できているので、電流プローブとオシロスコープで十分、事足りる」とも思うかもしれないが、実はIoTデバイスの消費電力を抑制するには全く不十分なのだ。

 下図は、IoTデバイスの消費電流イメージだ。

一般的なIoTデバイスの電流プロファイルイメージ

 IoTデバイスは、電力をより多く消費する通信などの動作を行っている時間は短い。逆を言えば、動作頻度にもよるが、スタンバイ/スリープモードで大半の時間を過ごす。スタンバイ/スリープモードと言えど、消費電流はゼロではなく、マイクロアンペアレベルの電流を消費し続ける。マイクロアンペアレベルの微小な消費電流であるものの長時間にわたり消費が続くため、IoTデバイスの寿命全体で消費する電流の大半は、スタンバイ/スリープモードが占めることになる。すなわち、このスタンバイ/スリープモードでの消費電流を下げない限り、IoTデバイスの低消費電力化は達成されることはない。

従来計測では太刀打ちできない“待機電流”

 ここでもう一度、オシロスコープで取得した電流波形をみてほしい。

オシロスコープと電流プローブを使って測定した際の波形イメージ。ピーク時以外の部分ではノイズ影響が強く正確な数値、波形が全く分からない

 ピーク時ではない、スタンバイ/スリープモード時と思われる部分の波形は完全にノイズに埋もれ正確な電流値は取得できていない。これでは、スタンバイ/スリープモード時にどういった事象が起こっているかは分からず、低消費電力化に向けた対策を見いだすための材料には全くならない。

 また仮にノイズが全くない状況だとしても、オシロスコープではダイナミックレンジが足りず、スタンバイ/スリープモード時の消費電流を把握できない。例えば、一般的な8ビット分解能のオシロスコープで、ピーク時100mAを消費するモジュールの電流を測る場合、最低測定単位は100mA÷28=約390μAであり、実質的にミリアンペア以下の測定に適さないことが分かる。もちろん、測定範囲をミリアンペア以下などに絞れば、局所的に正確な測定が行えるかもしれないが、さまざまな事象が生じるスタンバイモードから動作時へのモード遷移時の測定は行えない。

一般的な分解能8ビット程度のオシロスコープではダイナミックレンジが足りず、ピーク電流に測定レンジを合せれば、待機時の電流波形は完全に崩れてしまう

 実際のところ、IoTデバイスのスタンバイ/スリープ時での消費電流は、マルチメーターを使用したTypical値(典型値)をベースにした大まかな把握にとどまり、定量的な消費電流測定は行われていない。これでは、IoTデバイスの低消費電力化は、すぐに限界を迎えるだろう。

 では、どうやって、高ダイナミックレンジでかつマイクロアンペアオーダーでの正確な電流測定を行えばよいのか――。

携帯電話機業界では当たり前の“手軽な電流波形測定法”

 実は、1つの答えがある。長く待機電力の低減に向けた努力を重ねてきた携帯電話機をはじめとしたバッテリー駆動のモバイル機器開発現場で広く用いられてきたDC電源アナライザー「N6705B」(キーサイト・テクノロジー製)を使う方法だ。

DC電源アナライザー「N6705B」を使用した電流測定方法のイメージ。バッテリーの接続端子につなぐだけで、手軽に消費電流測定が行える

 このN6705Bは、DC電源、オシロスコープ、データロガー、任意波形発生機能が1つの筐体に収まった測定器で、測定対象に電源を供給しながら、消費される電流を波形として表示できるのだ。電流プローブやシャント抵抗が不要なため、ノイズ影響を受けにくく、100μA単位という高精度での電流測定が可能だ。N6705Bの電流測定波形をみると一目瞭然だが、「電流プローブ+オシロスコープ」ではほとんど見えなかった1mA以下の電流波形がハッキリと見えるのが分かるだろう。

「N6705B」の電流波形

測定レンジを自動で調整しダイナミックな波形を表示

 また、N6705Bは、その波形をみても分かる通り、広範囲で波形が取得されている。ピーク時も、スタンバイ時も、きっちりと波形を取得できている。この広いレンジでの波形表示は「シームレス・レンジ電流測定機能」というN6705B独自の機能で実現されている。この機能は、電流値に合わせて測定レンジを自動的に切り替えるもので、一切の操作なく、マイクロアンペアオーダーからアンペアオーダーまでダイナミックに測定し、波形生成できるのだ。

「N6705B」が搭載する「シームレス・レンジ電流測定機能」の概要 (クリックで拡大)

 このようにN6705Bは、バッテリー代わりに接続するだけで動作時から1mA以下のスタンバイ/スリープ時まで正確に電流が測定できるソリューションとして、モバイル機器開発現場に広く普及したのだ。モバイル機器同様、スタンバイ/スリープ時の消費電流を抑えなければならないIoTデバイスの開発現場でも広く活用される電流測定ソリューションになることは間違いないだろう。

 N6705Bを展開するキーサイト・テクノロジーでは「N6705Bは、手軽に、広いレンジでかつ、微小電流まで測定でき、電池/バッテリー駆動するあらゆる機器やモジュールの開発に欠かせない基本測定器として、引き合いが拡大している。ただ、より微小な電流を、より正確に測定したいというニーズは、日々、増しており、そうした声に応える最新の電流測定ソリューションも用意している」とする。

 その最新電流測定ソリューションが、デバイス電流波形アナライザー「CX3300シリーズ」だ。

ナノアンペア以下にも対応! 電流測定を極めた新・計測器が登場

 CX3300シリーズは、キーサイト・テクノロジーが半導体チップ製造用テスター開発で蓄積してきた超微小電流測定技術をベースに開発した、電流測定に特化した新コンセプト計測器だ。CX3300シリーズ専用に開発された超低ノイズ電流センサーを組み合わせて使用することで、最高150pAの超微小電流を測定できる能力を持つ[電流センサー「CX1103A」使用時]。汎用的な電流センサー「CX1101A」使用時でも40nAから10Aまでの広いダイナミックレンジで電流測定可能だ。

デバイス電流波形アナライザー「CX3300シリーズ」の製品構成。オプションとして複数の超低ノイズ電流センサーが用意され、用途、測定対象に応じて選択できる

見えなかった瞬時のスパイク電流が、見える!

 さらに、サンプリングレートは、分解能16ビット動作時で75Mサンプル/秒、分解能14ビット動作時で1Gサンプル/秒。N6705Bのサンプリングレートは最大200kサンプル/秒であり、まさに桁違いの高速性を備える。

 この高速性により、N6705Bでは捉えることが難しかった瞬時の電流スパイクをCX3300シリーズでは、確実に補足できるようになる。電流スパイクはノイズ源であり、「これまで不明だったセンサーの誤動作の原因がCX3300シリーズで解明した!!」といったことも大いにあり得るだろう。

デバイス電流波形アナライザー「CX3300シリーズ」の波形と、最新の12ビット分解能オシロスコープ+電流プローブで測定した波形との比較。従来では全く見えていなかったスパイクもクッキリと表示される

充実の解析機能で、IoT機器の進化を支援

 CX3300シリーズは単純な波形表示機能だけでなく、任意の波形を拡大表示する「どこでもズーム機能」を搭載。さらに、プロファイル解析やスペクトラム解析、CCDF(Complementary Cumulative Distribution Function)解析などの解析機能を備えており、さまざまな角度からIoTデバイスの動作の安定化を図るための指標を得ることができるようになっている。なお、メモリ容量は100Mサンプル。大容量メモリの搭載に加え、10サンプルの平均値を1サンプルとして保存したり、10サンプルの最小値と最大値を2サンプル分として保存したりするメモリ保存機能も備え、長時間にわたるデバッグも行いやすいといった特長を持つ。

CX3300シリーズが搭載する主な機能[左=どこでもズーム機能/右=各種解析機能例] (クリックで拡大)

 「N6705Bでおおよその電流測定は行えるが、実電池を使用した時の電流や、チップ単体の電流測定は、不向きであり、スパイク電流の検出も難しかった。CX3300シリーズは、そういったN6705Bで残った課題を全て解消したソリューション。日頃はN6705Bを使いつつ、ここぞで消費電流低減を極めたい時などは、CX3300シリーズを使用するといった使い方をオススメしたい」としている。


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提供:キーサイト・テクノロジー合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年11月24日

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