オンライン通販型電子部品ディストリビュータの世界的大手であるDigi-Key Electronics(以下、Digi-Key)は2016年、エレクトロニクス業界の成長率を3倍ほど上回る勢いで事業を拡大させた。同社President/COO(社長兼最高執行責任者)のデーブ・ドハティ氏は「幅広い製品を取り扱い、豊富な在庫量を確保し、いち早く製品を届けるというビジネスモデルが支持された」と振り返る。ドハティ氏に、Digi-Keyの現状と2017年以降の事業戦略を聞いた。
――簡単に、Digi-Keyの事業内容を教えてください。
デーブ・ドハティ氏 Digi-Keyは、プロトタイプ(試作)設計段階から量産段階まで電子機器のあらゆる設計、製造プロセスに対し、電子部品とそれに付帯するサービスを供給するグローバルなディストリビューターだ。現在、650社を超えるメーカーの製品を450万点以上、取り扱っている。常時、倉庫には130万個以上の部品をストックしており、充実したWebサイトも持っている。当社は、業界の中でも最も幅広い電子部品の在庫をそろえ、それらを即座に出荷できる体制を整えるなどベストなサービスを顧客に提供していると自負している。
――品ぞろえを拡充される上で、心掛けていることはありますか。
ドハティ氏 プロトタイプから量産レベルまでの部品を必要としているニッチなアプリケーションを含めたあらゆる開発、製造現場の要求に対応するためには、新しいサプライヤーや新製品を常にそろえていくことが重要だと考えている。
われわれは、顧客に最新のテクノロジーを紹介することが使命の1つだ。幸い、われわれの顧客は、当社を信頼できる供給源として頼ってくれており、われわれは、そうしたディストリビューターとしての責任を重く考えている。今後も、より多くのエンジニアに対し、次の設計に安心して採用できる電子部品を取り扱っているディストリビューターだと知ってもらえるように努力を続けていく。
――顧客との接点としては、オンライン、Webサイトの重要性が増しています。
ドハティ氏 エンジニアや、部品調達に携わる人々は、365日24時間のサービスと、即日出荷を望んでいる。そうした中で、Digi-Keyはeコマースのビジネスモデルに尽力し、Webサイトをより使いやすくし、顧客とやり取りするための新しい方法(APIコネクションを介するなど)に投資している。今後も、サードパーティーや、Scheme-itやPCBWebといった社内で設計されたツールを提供することで、エンジニアの設計サイクルや、エンジニア同士がコラボレーションする力を加速させていくことを目指す。
――2016年のビジネスを振り返ってください。
ドハティ氏 2016年はDigi-Keyにとって、成長を強く感じる1年となった。Webトラフィックや顧客数の増加、売上高で過去最高を記録した。
――日本でのビジネスの状況はいかがですか。
ドハティ氏 まだ、正確な集計を終えていないが、日本での売上高は2015年比で23%増、顧客数が15%増になった模様だ。
日本市場は、Digi-Keyのグローバル戦略において極めて重要な市場だ。日本は、Digi-Keyにとって、本社を置く米国を除く海外ビジネス市場としては、カナダに次いで2番目の市場である。なお、カナダは本社から70マイル(約110km)の位置にある隣国で、最も古くから進出しており、実質的には、日本が最大の海外市場といえるだろう。
――日本でのビジネスを拡大できた要因はどういった点にありますか。
ドハティ氏 世界的に有名な日本のサプライヤーの多くと、すぐにパートナーシップを締結することができた。こうした日本企業とのパートナーシップによって、われわれは、当社が持つ豊富な品ぞろえとハイレベルのサービスモデルは日本のエンジニアにも通用すると確信した。日本の顧客からの要求はハイレベルだが、私たちにとって、それはありがたいことだ。そうした高い水準を満たせるような事業体制を作り上げていった。パナソニックやローム、TDKやその他のメーカーといった日本のパートナーとの提携関係は、当社の考え方(=ビジネスの仕方)に大きな影響を与えている。当社が、一般的な米国企業よりも長いスパンでビジネス戦略を立てているのは、日本のパートナーとの連携が、当社が長期にわたる事業戦略を進めていく上で支えてくれていると考えているからだ。
――2017年の見通しをお聞かせください。
ドハティ氏 過去10年間、エレクトロニクス市場は、GDP(国内総生産)のグローバル総計と強い相関関係があり、エレクトロニクス業界の成長率は1桁パーセント台と、緩やかにしか成長していない。
そのような中で、Digi-Keyは業界の2倍の成長率で伸びている。2016年は3倍近い成長率になる見込みだ。2017年も、IoT(モノのインターネット)やコネクティビティ関連の製品の売り上げが伸びるだろう。
――2017年に計画している事業施策を教えてください。
ドハティ氏 個別部品および、ボードレベルのソリューションの両方を、積極的に追加していく予定だ。
なお、Digi-Keyのビジネス領域はグローバルである。本社こそ米国の地方部にあるが、米国の内外で提供するサービスは実質的に同じである。サプライヤーと提携し、エンドアプリケーションに向けて設計された製品を世界中に提供していく姿勢に変わりはない。地域によって、販売が伸びる製品が異なる場合もある。当社は毎年180カ国以上の国々に製品を出荷しているが、それぞれの国でのニーズに沿ったサービスを展開していくことを目指している。
——日本の顧客に対してメッセージをお願いします。
ドハティ氏 革新的な製品開発に取り組む日本の顧客は、われわれの成長をも後押ししてくれている。こうした日本の顧客による大きなチャレンジを尊重し、技術革新の実現を支援することが、Digi-Keyの役割だと考えている。Digi-Keyは、日本の顧客のニーズを満たすべく最も豊富な品ぞろえと、最もハイレベルなサービスを提供できるディストリビューターであると自負している。
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提供:Digi-Key Corporation.
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月15日