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パラダイムシフトに対応、キーワードはAIの進化ADLINKジャパン 社長 服部幹雄氏

新たな応用市場の開拓に取り組むADLINK。ロボティクスやスマートシティ関連市場で、同社のインダストリアルIoTプラットフォームが注目を集める。ほぼリアルタイムでデータ伝送が可能なDDS技術などが強みとなる。ADLINKジャパンの社長を務める服部幹雄氏が、今後の事業戦略などについて語った。

» 2018年01月16日 10時00分 公開
[PR/EE Times]
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工場のIoT化で2018年も続伸へ

――2017年の事業概要はいかがでしたか。

服部幹雄氏 ADLINKは、さらなる事業拡大を目指して、新たな応用市場の開拓に取り組んできた。2017年はそれまでに提案してきたソリューションが顧客から評価され、業績に表れた。全社的には2016年に比べて二桁台の伸びを見込んでいる。日本市場では25%程度の増加となりそうで、全社の伸びを大幅に上回る可能性が高い。全社的にもそうだが、ロボティクス向けが好調に推移している。これが成長軸の1つとなっている。

 これまで当社は、組み込み型コンピュータを軸に事業を展開してきた。これを技術基盤として、新たな成長の軸となるビジネスが具体的な成果につながってきた。受注した中には当社が計画していた案件だけでなく、当初想定していなかった事案も含まれている。

――新たな応用市場として注力している分野を教えてください。

服部氏 まだ売り上げには貢献していないが、例えばスマートシティ関連の市場がある。当社の技術資産を活用できる領域だと考えている。コンビニエンスチェーンのIoT(モノのインターネット)化などで、当社のソリューションが高く評価されている。また、自動運転関連の中核技術など、当社で十分に掌握しきれていないような用途にも製品が活用されているようだ。

 これまで注力してきたインダストリアルIoT(IIoT)の領域では、ロボティクスを中心とした故障予知による予防保全に対する需要が、新たに立ち上がってきた。工場内に設置された装置の80〜90%は、まだネットワーク化されていないのが現状である。これを簡単にIoT化できるようにするのも当社の役割だと考えている。

既存の工場内では装置のネットワーク化率はまだ低い

――ADLINKが提供する、予防保全に向けたソリューションの特長を教えてください。

服部氏 Intel製プロセッサをベースとしたCOM(コンピュータオンモジュール)製品を中心に、センサーからゲートウェイ装置、クラウドシステムまで、パートナー企業と連携しながらトータルソリューションを提供している。システムアーキテクチャが柔軟であり、顧客ごとの最適化などにも容易に対応することができる。

 製造装置の故障予知による予防保全への取り組みについては、当社よりもむしろ、顧客がその必要性/重要性を感じているようだ。機械の振動や異常音などをセンサー素子で検知、リアルタイムにそのデータを収集/処理して、故障を予知する「コンディショニングモニター」を発表している。顧客からの問い合わせを聞いていると、その内容はかなりポジティブであることが分かった。

 製造現場の無人化などが進めば、これまで以上に装置のモニタリングシステムは重要となる。電気やガスなど社会インフラシステムでは、故障予知を行うことでダウンタイムを最小限に抑えることも可能となる。

リアルタイムでデータ伝送を可能にするDDS技術

――ADLINK製品が高く評価されているのはなぜですか。

服部氏 1つはDDS(Data Distribution Service)技術である。DDSを用いると送信の遅延時間が極めて小さく、ほぼリアルタイムでデータを伝送することができる。DDSは宇宙航空システム、スマートシティなど高い信頼性が要求される用途で多くの採用実績を持つ。

 DDS技術は、ロボット用アプリケーションフレームワーク「ROS(Robot Operating System)/ROS 2」の通信ミドルウェアとしても採用されている。特に、ROS搭載のIoT端末は、クラウド側で制御していたが、最新のROS 2を搭載したIoT端末は、エッジ側で制御することが可能になる。

 もう1つは、車載関連事業でこれまで多くの導入実績があることだ。これにより、車載用途におけるシステムの構築方法や、さまざまなノウハウを蓄積することができた。食品物流においても、輸送時のセンサーデータモニタリングなど、IoT化によるメリットは大きい。さらに、堅固な設計に対応できるハードウェアとソフトウェアを一体にして、ソリューションの形で顧客に提供できることも強みである。

2019〜2020年を想定し、経営資源を集中

――2018年の事業計画、見通しはいかがですか。

服部氏 2017年に開発着手した案件が、2018年の売り上げに計上されることから、2018年も2017年実績とほぼ同等レベルの成長率を達成できる見通しだ。2018年の事業活動としては、2019〜2020年を想定しながら、限られた経営資源で最大の成果を生み出せるよう、注力するターゲットなどを絞り込んでいく。

 2020年に向けては、これまでの延長線上にない、さまざまなブレークスルーが起こる可能性が高い。5G(第5世代移動通信)への移行など、通信インフラもその1つである。パラダイムシフトに対して、いかに先手を打って対応するかが大切になる。自動運転を支える関連システムについても、当社の技術/製品を用いたソリューションが注目されているようだ。

 医療機器分野も徐々にではあるが、これからIoT化が進むことになろう。当社の製品は、堅固さや安全規格への対応などが業界で認知されている。2019年以降にも医療機器向けビジネスが拡大することに期待している。

――IoTは人工知能(AI)との関わりも強くなっています。

服部氏 ADLINKでもディープラーニング(深層学習)や、さらに進化したAIなどに対する研究、開発に取り組んでいる。エッジ側コンピュータにAI機能を持たせるという、市場からのニーズが高まっているからだ。これらを実現するためには、パートナー企業との連携なども視野に入れている。いずれにしても、AI技術への取り組みと、それをどう進化させていくのかが、これからのビジネスにおいて大きなターニングポイントになるだろう。

IoTソリューションビジネスを本格展開

――IoTビジネスの拡大に向けて、新たな取り組みはありますか。

服部氏 当社はこれまで、ハードウェアを中心に事業を展開してきた。これからはハードウェアビジネスに加え、クラウドサービスを含めたテクノロジーも提供し、一貫したIoTソリューションをサポートすることになるだろう。提供する形態についてはまだ検討中で、詳細を明らかにすることはできないが、2018年1月には新たな事業部門を設け、全世界で活動を始める予定だ。

 新設する事業部門では、顧客の要求に基づくハードウェア/ソフトウェア構成や、ビッグデータの活用方法などを含めて顧客に提案したい。センサー関連など、どちらかといえば当社があまり得意ではない領域、技術に関しては、パートナー企業と連携して高度なソリューションを提供できる体制を整えていく。

――2017年10月には、名古屋地区に西日本支社を設立されました。

服部氏 現時点でも日本における売上高の3分の1は、名古屋や関西地区を中心に中部地域以西が占めている。顧客に近い場所へオフィスを構えることで、これまで以上にきめの細かいサービスを行うことが可能となる。西日本支社内にはセミナールームも設置した。レベルの高い技術セミナーや実機を用いたアプリケーションのデモなどを、高い頻度で実施できる環境を整備することができた。これからも引き続き、日本におけるサポート体制を強化したい。

――IIoT市場に向けて提供している製品群やその特長などを教えてください。

服部氏 ADLINKは、センサーモジュールやCOM製品、パネルコンピュータなどのエッジデバイスから、ゲートウェイ装置やエッジサーバ装置、さらには解析やセキュリティ向けのクラウド用ソフトウェアなどを用意している。

IIoTによるスマートファクトリーのイメージ

 また、Prism Tech(2015年12月にADLINKが買収)が開発したDDS技術「VORTEX」も、IPとしてIoTプラットフォームに組み込まれて供給されている。このため、ユーザーは即時にシステム開発を行うことができる。DDS技術を搭載することで、例えばセンサーモジュールなどのIoT端末とサーバが同一のネットワーク上にあれば、最大数十マイクロ秒レベルの信号遅延で、ほぼリアルタイムにデータ伝送を行うことが可能となる。


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提供:ADLINKジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年2月15日

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