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「インダストリ4.0」に不可欠な産業Ethernet、複数規格に対応可能なプロセッサで普及を後押し産業用インタフェース

「インダストリ4.0」などネットワークにつながる工場の実現に向けて、必要不可欠な技術が「産業Ethernet」だ。しかし、産業Ethernetは多種多様な規格が存在し普及の妨げになっている。そうした中で、複数の規格、仕様に対応し、産業Ethernetの普及を後押ししそうなプロセッサが登場した。

» 2018年01月26日 11時30分 公開
[PR/EE Times]
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 「ものづくり」をさらに進化させる取り組みが世界中で活発化している。代表的なのは、ドイツの「Industrie 4.0」や、米IIC(Industrial Internet Consortium)、中国の「中国製造2025」、日本の「Connected Industries」などの取り組みだ。

 いずれも基本的なコンセプトは一致している。ものづくりを実践する工場の内部に配置した制御/製造装置や仕掛かり品などをネットワークに接続して、さまざまな情報を集めてビッグデータとし、生産効率向上や制御/製造装置の故障防止、生産管理などを実現する。さらに将来的には、ユーザー動向や物流状態など、工場外部のデータもリンクさせて、開発や製造、在庫管理といったプロセスを最適化することも狙う。

 こうした「青写真」を現実のものとするために必要不可欠なのが2つの「つながる」を実現することだ(図1)。1つ目の「つながる」は、各工場内において、制御/製造装置や仕掛かり品の状況を検出するためのセンサーなどを1つのネットワークに接続すること。2つ目の「つながる」は、こうした工場内のネットワークと、その上位層に当たる情報系ネットワーク(クラウド・ネットワーク)と接続することである。

図1 図1:産業ネットワーク

多種多様な規格が存在する産業Ethernet

 世界の工場に制御/製造装置などを販売する産業機器メーカーにとって、この2つの「つながる」を実現することは決して簡単なことでない。特に難しいのは、1つ目の「つながる」を達成することだ。なぜならば、世界には数多くの産業ネットワーク向け通信プロトコルが存在するからである。

 現在、産業ネットワーク市場では、Ethernetをベースとした方式が躍進中だ。いわゆる「産業Ethernet」である。CANやRS-485をベースとした既存のフィールドバスと比較するとデータ伝送速度が10〜100倍と高い上に、上位層の情報系ネットワークと接続するにはEthernetへの対応が必須だからである。2021年には、産業Ethernetの接続ノード数がフィールドバスのそれを追い抜くという市場予測もある。

 この産業Ethernetには、さまざまな通信プロトコル規格/仕様が乱立している。「PROFINET」「EtherNet/IP」「EtherCAT」「Modbus TCP/IP」「CC-Link IE Feild」「POWERLINK」「Sercos III」など枚挙にいとまがない。それぞれ規格/仕様は、必要とするソフトウェアが異なる上に、通信プロトコルによっては専用ハードウェアを必要とするものもある(図2)。産業機器メーカーが全ての通信プロトコルに対応するには極めて大きな労力が必要になる。このため、「実現が難しい」と言わざるを得ないわけだ。

図2 図2:産業Ethernetに必要なハード/ソフト

 2つ目の「つながる」を実現することは、1つ目に比べれば大きな問題にはならないだろう。情報系ネットワークとの接続に関しては、「OPC UA」というデータ交換用標準規格が存在するからだ。ドイツのIndustrie 4.0の他、産業ネットワークの普及推進団体である米IIC(Industrial Internet Consortium)がOPC UAを採用する。現時点では、規格が乱立しているわけではない。しかし、OPC UAに対応したソフトウエアを実装する作業は必要となるだろう。これは「つながる」だけではなく、産業用制御装置に付加価値を加える「つなげる」を提供するものであるためだ。

1チップで産業Ethernetに対応し、ハードもソフトも用意

 産業Ethernetに求められる2つの「つながる」に関する問題に向けたルネサス エレクトロニクスの解決策がマイクロプロセッサ「RZ/Nシリーズ」である。最大の特長は、産業Ethernetやフィールドバスのさまざまな通信プロトコル規格に1つのチップで対応できることだ。

 EtherMAC層回路は、ハードウェアで集積しており、さらにSercos III規格やEtherCAT規格に対応した各スレーブ・コントローラ回路もハードウェアで内蔵した。ソフトウェアについては、ルネサス エレクトロニクスが提供する他、同社のサードパーティ企業から入手できる。したがって、RZ/Nシリーズを採用すれば、「産業機器メーカーは、通信プロトコル規格の違いに悩まされることなく簡単に対応できるようになる。このため、競合他社と差別化に必要な制御/製造装置の性能向上や独自機能の開発に注力できるようになる」(同社)。

 一方で、1チップで複数の通信プロトコル規格に対応した場合、使用しない通信プロトコル規格のための回路、機能は無駄になり、過剰スペックとなる懸念があるだろう。「多様な規格が存在している現状を考えると、将来的に対応する規格の変更や追加を迫られる可能性は高いはず。複数の規格に対応していれば、そうした対応規格の変更、追加を迫られた場合にもすぐに対処でき、結果的に開発費などを含めたトータルコストを低減できる」(同社)とする。

 なお、上位層の情報系ネットワークとの接続は、ソフトウェアPLC(Programmable Logic Controller)である「CODESYS」が使えるので、「OPC UA」を簡単に実装できる。さらに、ネットワークの冗長性を高めるプロトコルに対応することも可能だ。「強くつながるという3つ目の『つながる』を実現できる」(同社)。具体的には、ネットワークの二重化を実現する「PRP(Parallel Redundancy Protocol)」や、ループ構造を実現する「HSR(High-Availability Seamless Redundancy)」、ループ・フリー構造を実現する「RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)」をサポートする。

 RZ/Nシリーズは、複数の通信プロトコル規格対応とともに、もう1つ大きな特長を備える。それが、「ハードウェアRTOS(HW-RTOS)」を備えている点だ。

 HW-RTOSとは、文字通り、「ハードウェア化したリアルタイムOS(RTOS)」であり、一般的なソフトウェアのRTOSに比べてオーバーヘッドの少ない高いリアルタイム性能を発揮できる。セマフォ、イベントフラグなど標準的なシステムコールを約30種類サポートしており、高速でバラつきの少ない実行時間や割り込み応答が行え、最悪実行時間を規定できるようになる。これまで、リアルタイム性の課題からソフトウェアRTOSを導入できず、大規模なソフトウェア開発を強いられた開発現場は、HW-RTOSにより大幅に開発負担を軽減できるようになるだろう。

RZ/Nシリーズの製品ラインアップ

 RZ/Nシリーズは、集積するプロセッサ・コアの違いで3製品を用意した。「RZ/N1D」は、通信プロトコルの処理に向けた「Cortex-M3」と、アプリケーションの処理に向けたデュアルコア構成の「Cortex-A7」を搭載する(図3)。プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)などの産業用制御装置に向ける。

図3 図3:「RZ/N1D」の内部構成

 「RZ/N1S」は、通信プロトコルの処理に向けた「Cortex-M3」と、アプリケーションの処理に向けた「Cortex-A7」をそれぞれ1コアずつ搭載した。イーサ・スイッチやセンサー・ハブ、ゲートウェイ装置などに向ける。「RZ/N1L」は通信プロトコルの処理に向けた「Cortex-M3」のみを搭載した製品だ。アプリケーションの処理に向けた「Cortex-A7」は搭載しない。リモート入出力(I/O)装置などに向ける。

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提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月2日

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ルネサス エレクトロニクスは2017年10月27日、子会社であるIntersil(インターシル)の社名を2018年1月1日付で「Renesas Electronics America」に変更すると発表した。

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