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CASE時代の自動車開発、包括的な製品群で“全方位”に対応するNXP Semiconductors10年先を見据えたロードマップ

コネクテッド、自動化、電動化といった自動車業界のメガトレンドによって、次世代の自動車開発では、自動車システムアーキテクチャが大きく変わろうとしている。車載半導体のトップメーカーであるNXP Semiconductorsは、プロセッサからアナログ、インタフェース、セキュリティに至るまで広範な製品ポートフォリオを活用し、新しい自動車システムアーキテクチャに柔軟に対応できる包括的なソリューションの提案に力を入れている。

» 2020年08月31日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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 現在、「100年に一度」ともいわれる大変革期のさなかにある自動車業界。「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動化)」「Shared & Service(シェアリング&サービス)」「Electric(電動化)」という「CASE」のメガトレンドに向けた次世代自動車の開発は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術の進化や社会情勢の変化にも後押しされ、ますます加速している。

 CASE時代の自動車には、さまざまなセンサーや外部との無線通信機能など、これまでの自動車にはなかった新しい機能が次々に追加されるとともに、搭載されるECU(電子制御ユニット)の数は増加の一途をたどる。それに伴い、車載ソフトウェアのコード行数は、最新旅客機搭載ソフトやSNSのソースコードをはるかに上回っている。近代的な自動車においては優に1億行を超えるまでになっており、今後も指数関数的に増え続ける見込みだ。そのため自動車業界では、論理的、物理的な機能の統合や部品を接続する配線をよりシンプルにする新しい自動車アーキテクチャへの移行や、ソフトウェア資産の再利用が大きな課題となっている。

 こうした課題を見据えた製品ポートフォリオの拡張を積極的に進めているのが、NXP Semiconductorsだ。

広範なポートフォリオ

 車載半導体世界シェアで首位に立つNXPは、プロセッサ、マイコンから周辺のアナログ、インタフェース、センサーまで非常に広範なポートフォリオを持っている。2019年12月には米MarvellのWi-Fi/Bluetoothコネクティビティ資産を買収し、ワイヤレス分野の製品群がさらに強化された。

本社副社長 兼 NXPジャパン 第一事業本部 本部長の堤敏之氏

 本社副社長 兼 NXPジャパン 第一事業本部 本部長を務める堤敏之氏は、「CASE時代の自動車に必要な『SENSE(検知)』『THINK(判断)』『CONNECT(コネクティビティ)』『ACT(作動・駆動)』、これらのいずれにおいてもNXPが強みを持つ製品を展開していくのが大きな方針だ」と語る。

 例えば「SENSE」では、高いシェアを持つレーダーの他、モーションセンサーや磁気センサーもそろえている。「とりわけレーダーの研究開発にはしっかり投資をしている。トランシーバーからプロセッサまでを1チップに搭載した製品を計画中だ。」(堤氏)

 「THINK」では、2017年10月に刷新した車載用MCU/MPUのプラットフォーム「S32」や、車載インフォテインメント向けSoC(System on Chip)「i.MX」シリーズなど、ローエンドからハイエンドまでをカバーできる製品を提供する。

 「CONNECT」では、新たにWi-Fi/Bluetoothのポートフォリオを追加したことでコネクティビティ分野の製品群がさらに強化された。間もなく自動車にもWi-Fi 6の導入が始まるといわれる中、このワイヤレス資産を得た意味は大きい。さらに、次世代のスマートキーで注目されているUWB(Ultra-Wideband)向けのソリューションも持つ。また、日本ではまだそれほど採用が進んでいないV2X(Vehicle to everything)の分野でも、フォルクスワーゲンの第8世代「Golf」にNXPのV2X通信ソリューションが採用されるなど、市場での存在感を強めている。

 「ACT」では、小型モーター用ドライバーICからEV用インバーター、バッテリーマネジメントICまでそろえている。

「SENSE」「THINK」「CONNECT」「ACT」の全てにおいて広範なポートフォリオを有する

次世代以降の自動車アーキテクチャを見据えたプラットフォーム

 自動車業界では2020年代半ばにかけて、機能ごとに最適化されたECUが分散して配置されている現在のアーキテクチャから、類似する機能を「ドメイン(領域)」として分類し、それぞれのドメインごとにECUを束ねる「ドメイン・アーキテクチャ」へと移行しようとしている。ドメイン・アーキテクチャの採用によって、膨大な数のECUを接続するワイヤハーネスの本数は減少するが、それでもまだ複雑な配線が必要だ。

 そこで、次の段階のアーキテクチャとして登場するのが「ゾーン・アーキテクチャ」である。エンジンルームやトランクルームのように自動車を“ゾーン”に分けてゲートウェイを設置し、そのゾーン内でECUやセンサーを接続する。中央にはブレイン・コンピュータと呼ぶ高性能なコンピューティング能力を持つECUが配置され、これが負荷の高い情報処理や全体の制御を行う。ドメイン・アーキテクチャのように「機能」ではなく、自動車内の「物理的な位置」を考慮してECU/センサーをまとめるため、よりシンプルな接続を実現できるメリットがある。

自動車システムのアーキテクチャは、「ドメイン・アーキテクチャ」、そして「ゾーン・アーキテクチャ」へと移行しようとしている

 NXPのS32車載プラットフォームは、こうした次世代のアーキテクチャを見据えたプラットフォームだ。スケーラビリティを重視し、できる限りソフトウェアを再利用できるようにしている。ベースとなる共通ハードウェア・アーキテクチャに、各ドメインに必要な機能ブロックを統合してMCU/MPUを開発する。これによって同じドメイン内のMCU/MPUは、ソフトウェアの最大90%が再利用可能になる。

スケーラビリティとソフトウェア資産の再利用を実現する「S32」プラットフォーム

 S32プラットフォームが、ゾーン・アーキテクチャまで見据えていることがよく分かる製品がある。2020年1月に発表し、現在サンプル出荷中の車載ネットワークプロセッサ「S32G」だ。

 S32Gプロセッサは、共通ハードウェア・アーキテクチャに加えて、ハードウェア・アクセラレーターとして、CANに対応する車載ネットワーク・アクセラレーターと、車載イーサネット・パケット・アクセラレーターを搭載する。データ送信の際のプロトコル変換を担うことで、セントラルプロセッサの負荷を下げ、他の処理に割り当てられるようにする。

 S32G製品は、ドメイン・アーキテクチャにおけるゲートウェイ(自動車とクラウド間を接続)に向けたプロセッサだが、「末端のECU/センサー間の接続で使用されるプロトコルと、セントラルコンピュータとの接続で使用されるプロトコルが異なる」という点は、ゾーン・アーキテクチャも同様なので、S32G製品は将来のゾーン・アーキテクチャ向けにも応用できることになる。

 このように、S32プラットフォームは、共通ハードウェア・アーキテクチャに、用途に応じた専用のIP(Intellectual Property)を追加していくことで、ドメイン・アーキテクチャ、そしてゾーン・アーキテクチャにも柔軟に対応できるようになっている。

TSMCの5nmプロセス採用へ

 さらに2020年6月には、注目すべき発表があった。NXPが、TSMCの最先端プロセスである5nmプロセスをいち早く採用することを発表したのだ。スマートフォンやハイエンドコンピューティングではなく、車載プロセッサで最先端プロセスを採用するというのは珍しい。しかも、2021年にはサンプル出荷を開始できる予定だ。「TSMCの5nmプロセスは、S32ファミリやi.MXファミリに適用していく。具体的な開発ロードマップもできていて、既に開発もスタートしている。5nmプロセスを採用する最初の製品は、間もなく発表できるだろう」(堤氏)

NXPジャパン 第一事業本部 マーケティング統括部 統括部長 園田慎介氏

 S32プラットフォームが発表された当時は、40nmプロセスと16nmプロセスを適用するとしていたが、これに5nmプロセスが加わることになる。

 NXPジャパン 第一事業本部 マーケティング統括部 統括部長を務める園田慎介氏は「ドメイン・アーキテクチャ、ゾーン・アーキテクチャで求められるであろうプロセッサの処理能力を、現状のプロセスでは実現できないことは、われわれとしても見えている。より最先端のプロセスへの適用性を高めていくことが、顧客への貢献につながると考えている」と述べる。

 NXPジャパン 第一事業本部 アプリケーション技術統括部 統括部長の安田浩明氏は、「ゾーン・アーキテクチャや自動運転において、中央にコンピュータが配置されるようになるのに伴い、自動車メーカーやティア1サプライヤーからの、コンピューティングレベルに対する要求のレベルも高くなる。5nmプロセスに関する発表は、その要求にいち早く応えたいというNXPの意欲を表している」と強調した。

豊富な知見を持つセキュリティ技術

 CASE時代の自動車で最も重要な要素の一つがセキュリティだ。膨大な数のECUやセンサーが安全に接続されてこそ、自動車システムアーキテクチャは完成する。

 NXPは長年、デジタルガバメント(電子政府)やキャッシュカード、スマートカード、モバイル機器/IoT機器などの分野にセキュリティ技術を提供してきた。堤氏は、「蓄積されたセキュリティ技術を生かし、ICレベルでのセキュリティと、アーキテクチャレベルでのセキュリティを組み合わせ、システム全体のセキュリティを実現していく」と述べる。

車載半導体で「提供できない物はない」メーカーを目指す

NXPジャパン 第一事業本部 アプリケーション技術統括部 統括部長 安田浩明氏

 CASEの実現とともに、次世代の自動車システムアーキテクチャへの移行が進む自動車業界だが、そのアプローチは、自動車メーカー/ティア1サプライヤーによって異なる。安田氏は、「NXPは、多岐にわたるポートフォリオを活用して、それぞれの自動車メーカー、ティア1サプライヤーの視野に合ったソリューションを提案できる」と述べる。

 園田氏は、「われわれには、ブレイン(頭脳)となるセントラルプロセッサだけでなく、手足となるアナログ系の製品もある。コアとなるプロセッサやアナログ製品、その周辺を構成するコンポーネント、そして、それらを安全に接続するインタフェース技術とセキュリティ技術も持っている。こうした広範なポートフォリオを統合して提案できることが、NXPの最大の強みである。車載半導体に対して『提供できないものは無い』というサプライヤーを目指したい」と付け加える。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や米中貿易摩擦による大きな打撃を受けて自動車市場は一時的に落ち込んだが、2020年後半から21年に向けて回復基調にある。堤氏は、「NXPは、年間売上高の10%台後半をR&D(車載向け以外も含め)に投入しているが、自動車向け技術に対する投資は怠らないという姿勢の表れでもある」と強調した。

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提供:NXPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月30日

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