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世界トップシェア獲得へ、5G普及を支える日本のニッチ企業「アルチザネットワークス」の挑戦超ハイスペック基地局負荷試験機で躍進中!

3Gから4G/LTE、そして5Gと技術革新を繰り返し、いまや社会インフラとして欠かせない携帯電話無線通信網。この社会インフラの技術進化、普及を支えてきた1社の日本企業がある。アルチザネットワークスだ。世界で数社しか手掛けていない基地局負荷試験機を主力にするニッチ企業で、「早期の世界トップシェア獲得」を掲げ、圧倒的なスペックを誇る5G対応基地局負荷試験機、そして新たなビジネスモデルの事業を立ち上げ、世界に攻勢を掛けている。アルチザネットワークスとはどのような企業なのか、同社のこれまでに触れながら、未来像を探っていく。

» 2022年05月10日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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 デジタル化が急速に進む社会において、移動体通信はインフラとしての重要性がより高まっている。とりわけ第5世代移動体通信(5G)は、「超高速/大容量」「多数同時接続」「超低遅延」といった特長を備える最新移動体通信規格であり、社会のデジタル化を後押しする存在になっている。

 そうした5Gなどの移動体通信の進化、普及に欠かすことのできないテクノロジーを有する企業が存在する。それが、アルチザネットワークスだ。世界でたった数社しか存在しない基地局負荷試験機ベンダーの1社として、移動体通信の普及を支えてきた。そして5Gの本格普及が始まった今、「基地局負荷試験機で世界トップシェアを早期に実現する」との目標を掲げ、大幅な事業拡大を図ろうとしている。業績目標数値は、2025年度に売上高80億円、営業利益13億円。2020年7月期業績は売上高32億円、営業利益4億円であり、たった数年で、売上高で2.2倍、営業利益で3.2倍に引き上げる計画だ。果たして、このような大幅な業績成長、そして、世界トップシェアの早期獲得は可能なのだろうか。アルチザネットワークスのこれまでに触れながら、未来像を探っていこう。

技術で激烈な競争を生き抜いた基地局負荷試験機メーカー

 アルチザネットワークスが主力として手掛ける基地局負荷試験機は、その名の通り、基地局に負荷を与えて、基地局をテストする装置だ。基地局に接続される携帯端末側を模す装置(以下、端末装置)と、「コアネットワーク」「バックボーン」と呼ばれる基幹通信網側を模擬する装置(以下、コア装置)で構成される。端末装置とコア装置で、基地局を取り巻く環境を疑似的に用意し、さまざまなシチュエーションでの基地局の動作をテスト、確認でき、基地局の開発やネットワークの敷設に欠かすことができないテストシステムだ。

執行役員 モバイルプロダクト事業部本部長兼サービス事業部本部長兼品質管理本部長
永井英樹氏

 1990年の創業から有線通信用計測器を手掛けてきたアルチザネットワークスは、3Gの普及が始まった約20年前に、無線基地局負荷試験機に参入。国内大手携帯電話通信キャリアや国内外の基地局メーカーとともに歩みを進め、事業規模を拡大してきた。「参入当時は国内外に多くの競合が存在したが、現在では、国内に競合は存在せず、グローバルでも2社しか競争相手が存在しない」(アルチザネットワークス 執行役員 永井英樹氏)と激烈な市場競争を勝ち抜いてきた。勝ち抜き、生き残った大きな要因の1つが、技術力だ。

 携帯電話通信は、ご存じの通り、3Gから4G/LTEへ、4G/LTEから5Gへ、とおおよそ10年ごとに大きな技術転換期を迎えてきた。そうした大きな技術転換のたびに多くの競争相手が姿を消してきた一方で、アルチザネットワークスは技術課題を克服、乗り越えてきた。直近の4G/LTEから5Gへの技術転換においても、5G対応の基地局負荷試験機「DuoSIM-5G」を2019年にリリースするなど、いち早い技術/製品開発で市場をリードしている。

同時接続端末数は数万台! 圧倒的ハイスペックの5G対応試験機

 5Gの普及とともに主力製品へと成長したDuoSIM-5Gは、単に5G対応の負荷試験機という特長だけでなく、アルチザネットワークスが3G、4G/LTEで培ってきた独自技術を継承し「圧倒的なハイスペックを実現している」と永井氏は胸を張る。

5G対応基地局負荷試験機「DuoSIM-5G」 出所:アルチザネットワークス

 DuoSIM-5Gのハイスペックさを最も顕著に表すのが、対応する同時接続基地局数の多さだ。一般に、1台の負荷試験機でテストできる基地局数(セル数)は1セルなのだが、DuoSIM-5Gは、1システムで数十セルをテストできる。そして、それら数十セルの各セルに対し、数千台の端末が同時接続される状況のシミュレーションテストが行えるのだ。

モバイルプロダクト事業本部 モバイル製品企画部長
川瀬典宏氏

 製品開発を担当するモバイル製品企画部長の川瀬氏は「人口密度の高い日本は3Gの時代から世界のどの国よりも、基地局当たりの同時接続可能端末数の多さが求められてきた。当然、多数の端末が同時接続される環境でのテストが必要になる。そうしたニーズに応えるために、同時に接続できるセル数、そして端末シミュレーション数を増やしてきた」と、モンスタースペックの負荷試験機を開発するに至った背景を語る。

 「当社は、顧客からの要望に対し“それはできません”と断ることなく、あらゆる可能性を探って、とにかくチャレンジを続けるという企業文化が浸透している。そして、あらゆる可能性を探る中で、プロセッサー、FPGAなど試験機を構成するデバイスで最新製品を積極的に取り入れるなど、開発投資を惜しまずに実施してきたことで、ハイスペックな試験機を実現できている」と分析する。

「DuoSIM-5G」の概要[クリックで拡大] 出所:アルチザネットワークス

 DuoSIM-5Gの特長は、同時接続セル数、端末数だけにとどまらない。柔軟性の高さも大きな強みになっている。シミュレートする数万端末は細かに動作状態を設定でき、「過去に通信トラブルが生じた花火大会などのイベント会場と同じ状況を再現するといったことが行える」(川瀬氏)という。

 こうした細かなテストシナリオ、試験条件の設定は、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)ベースのツールで、手軽に行える環境が整うが「徐々に高度化していることは事実で、人的サポートを強化している」(永井氏)とし、コンサルティングサービスの提供や、サポート人員の派遣を実施。さらに、DuoSIM-5Gなどハードウェアの機能をサブスクリプション型のサービスとして提供する新たな事業をスタートさせた。

新たなビジネスモデル「サブスクリプション型サービス」をスタート

 開発力強化を目的に2018年に建設した拠点「滝沢デベロップメントセンター」(TDC)(岩手県滝沢市)の隣接地に2021年、「滝沢テレコムテストセンター」(T3C)を設立。T3C内に、DuoSIM-5Gなど最新鋭のハードウェア機器をそろえたラボを用意し、そのラボをサブスクリプション型サービスとして提供を始めた。もちろん、ラボでのテストは、アルチザネットワークスのエンジニアがサポートし「テスト自体を受託するケースも多い」(永井氏)という。

滝沢デベロップメントセンターに併設された「滝沢テレコムテストセンター」(T3C)

 T3Cの開設からまだ1年程度だが「すでに用意したラボにゆとりがほとんどない状況」(永井氏)と想定以上の好調ぶりだ。無線通信技術の進化に伴い、試験機の価格もおのずと高額になる中で、初期導入費用を抑えながら最先端のテストを実施できるサブスクリプション型サービスが受け入れられた格好だ。

 永井氏は「現状、サブスクリプション型サービスの利用は、通信キャリアや基地局メーカーといった従来顧客が中心だが、今後、ローカル5Gの利用が拡大してくれば、基地局のテスト需要は、一般企業や自治体にも広がっていく。そうした企業/自治体は、特に初期コストを抑える必要があり、頻繁な機器の更新も難しく、サブスクリプション型サービスがより合致するのでは、と期待している」とし、さらなるサブスクリプション型サービスの需要増を見込んで、T3Cの拡張を検討し始めたという。

海外展開が課題

 圧倒的なスペックで競争力のある製品、そして業界に先がけて開始したサブスクリプション型サービスという新たなビジネスで、順調に事業規模を拡大しているアルチザネットワークスだが、本格的なグローバル展開を進めることで、その成長速度を加速させようとしている。

 同社の海外売り上げ比率は現状、1割にも満たない。無線通信の市場は日本よりも海外の方がはるかに大きいことを考えると、その売り上げ比率は小さい。競争力のある製品を持ちながら、なぜ、海外売り上げ比率がこの程度にとどまってしまっているのだろうか。

 基地局のインタフェース仕様は基地局メーカーごとに異なるため、基地局負荷試験機もテストする基地局に応じてカスタマイズが必要になる。そうしたカスタマイズ作業には当然ながら限度があり、日本市場で求められる基地局への対応を優先してきた結果、本格的な海外進出が難しかったわけだ。

 しかし、こうした海外進出が難しいという状況は、一変しつつある。5Gの時代に入り、「無線ネットワークのオープン化」が始まったからだ。

オープン化を追い風に、いよいよ本格的に海外へ

 無線ネットワークのオープン化とは、平たく言ってしまえば、基地局インタフェース仕様を共通化するもの。通信キャリアや基地局メーカーが参加する業界団体「O-RAN(Open Radio Access Network)アライアンス」が設立され、基地局インタフェース仕様の標準化が進められている。

O-RANアライアンスの概要 出所:アルチザネットワークス

 基地局のインタフェースが共通化されれば、異なるメーカーの基地局同士でも相互接続できるようになり、通信キャリアは採用する基地局をマルチベンダー化しやすくなるメリットがある。基地局メーカーにとっても、さまざまな通信キャリアに採用される機会が増える。そして、基地局負荷試験機も、基地局に応じたカスタマイズがより小規模になる。すなわち、アルチザネットワークスの海外進出の足かせだった、カスタマイズ作業が大幅に軽減されることになるわけだ。

 無線ネットワークのオープン化はアルチザネットワークスにとって海外進出が容易になる半面、海外の競合メーカーにとっては日本市場への参入が容易になるとも言える。だが、永井氏は「チャンスと捉えて積極的に海外へ進出し、基地局負荷試験機で世界トップシェアを狙う」と意気込む。日本市場で培われたアルチザネットワークスの強みを、海外へと展開することでシェアを奪う方針だ。

人員を1.5倍に! 積極投資で世界トップシェア獲得へ

 アルチザネットワークスはO-RANアライアンスに参加し、試験仕様の策定に参画するとともに、製品のO-RAN仕様対応をいち早く進めており、製品/技術面での準備は整っている。

 「無線通信の普及によってどの国でもより多くの同時接続可能端末数を求める傾向にある。特に人口の多いアジア各地でその傾向は顕著であり、DuoSIM-5Gの強みを十分に生かせる。また当社は、技術サポートを充実させることで日本市場での支持を得てきた。コロナ禍の影響で遅れているが、海外にもサポート拠点を設置し、日本市場と同様のサポートを提供できる体制を構築し、シェアを拡大させていく」(永井氏)との方針。海外のサポート拠点では、T3C同様のサブスクリプション型サービスの提供も検討しているという。

 サブスクリプション型サービスという新ビジネス、そして、海外市場への本格参入で2025年度の売上高80億円達成、そして、世界トップシェアの獲得へ向けて視界は良好に見える状況だ。ただ永井氏は「唯一、課題を挙げるならば、エンジニアの確保。技術サポートの強化や、O-RANの新仕様対応、さらにはBeyond5G/6G対応に向けた新技術開発に向けて、エンジニアの確保が急務になっている」と打ち明ける。アルチザネットワークスでは、現状160人ほどのグループ人員数を、2025年度までに1.5倍程度までに増やす計画で、採用活動を進めている。

 同社は、2022年3月に、サポート/サービスの強化を目的に、情報通信システム/ネットワークにおける保守・運用・監視サービスを手掛けるシー・ツー・エム(C2M)のグループ化を発表。M&Aも含めた積極投資を今後も継続し、事業拡大を一層、加速させようとしている。

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提供:株式会社アルチザネットワークス
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年6月9日

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