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» 2022年07月13日 10時00分 公開

都市部のノイズを再現する試験環境&超小型DC-DCコンバータ…… 機器開発の課題を解決するTDKグループテクノフロンティア2022で最新ソリューションを披露

自動車を取り巻く電磁環境を再現する試験環境、1円玉にも乗る超小型の絶縁型DC-DCコンバータ……。TDKグループが電子機器の設計開発の課題解消に向けて開発した最新のテクノロジー/ソリューションを紹介していこう。

[PR/EE Times Japan]
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 あらゆる電子機器の高性能/高機能化の速度は速まるばかりだ。それに伴い電子機器の設計、開発にはさまざまな課題が山積する。サイズやコスト、消費電力の低減、熱やノイズ対策、そして開発リソース不足など、その課題を挙げればキリが無い。そうした電子機器の設計開発における課題を解消するさまざまなテクノロジー、ソリューションを提供し、電子機器の進化を下支えしている企業グループがTDKグループだ。

 そのTDKグループは、2022年7月20日開幕の展示会「テクノフロンティア 2022」(リアル展示会:7月20〜22日、東京ビッグサイト/オンライン展示会:7月25〜29日)で、電子機器の設計開発での課題を解消に向けた最新のテクノロジー、ソリューションを展示。

 そこで、さまざまなTDKグループの展示の中から特に注目されるテクノロジー/ソリューション2つ「リバブレーションチャンバー」「超小型の絶縁型DC-DCコンバータ」を紹介していこう。

自動車を取り巻く電磁環境を再現「リバブレーションチャンバー」

 先進運転支援システム(ADAS)の普及拡大、そして自動運転の実現に向けて、自動車の電子制御化が急速に進んでいる。自動車に搭載されるカメラをはじめとした各種センサー類は増え続け、センサーとECU(電子制御ユニット)を結ぶ車内ネットワークも大規模化、複雑化している。こうした「自動車の電子制御化」の進展で、リスクが高まっているのが、電磁妨害ノイズによる電子制御システムによる障害発生だ。

 自動車は、常にさまざまな外来ノイズにさらされている。特に人口が多く、建造物が密集した都市部では、さまざまな機器やシステムが電波/電磁ノイズを発し、それらが建物などに反射して、あらゆる方向から自動車を襲ってくる。搭載点数が増える車載センサーやECU、そして車載ネットワークの1つでも、これらの電磁ノイズの影響を受けて、誤動作/故障してしまえば、人命に関わりうる事故を引き起こすことになるわけだ。

近年の自動車と取り巻く環境[クリックで拡大] 出所:TDK

 こうした電磁ノイズに起因した障害を防ぐために、自動車や自動車に搭載される部品は、EMS/電磁妨害耐性(イミュニティ)試験が実施されている。ただ、自動車の電子制御化が進展し、また、都市部を中心にした電磁環境が悪化し、ノイズのリスクが増大している昨今では、従来の試験方法では不十分な部分が存在したため、新たなEMS試験が登場した。

 EMS試験といえば、電波暗室で行うイメージを持つ方が多いだろう。電波を遮断した暗室で、アンテナから特定の電波を発射し、機器への影響を試験する電波暗室法は、自動車、車載機器でも一般的に用いられてきたEMS試験方法だ。しかし、電波暗室法では、アンテナのある方向からの電波/ノイズのみでしか試験できず、上下左右あらゆる方向から電波が襲ってくるような、都市部の電磁環境を再現することは難しかった。

 そうした従来試験法である電波暗室法の弱点を克服し、都市部の電磁環境を再現した試験が行えるのが「リバブレーションチャンバー法」だ。

規格策定進むリバブレーションチャンバー法、近く必須の試験へ

 リバブレーションチャンバー法では、電波を反射する金属で壁面、天井、床を覆った部屋(シールドキャビティ)で実施するもの。電磁波スターラー(攪拌[かくはん]機)と呼ばれる回転する金属板を用いるのが特長で、アンテナから発射される電磁波を、シールドキャビティ内の共振現象で強電界にし、スターラーで均一に拡散させることで、高い電界強度の電磁波を試験対象物にあらゆる方向から照射することができる。いわゆるマルチパスのEMS試験が行えるわけだ。

リバブレーションチャンバーの構成[クリックで拡大] 出所:TDK

 下図は、リバブレーションチャンバー法と電波暗室法それぞれが、テスト対象物に与える電波の強度を可視化した図だ。リバブレーションチャンバー法はくまなく全般的に高い電界強度が保たれている。一方で、電波暗室法ではアンテナ側こそ、強い強度の電波を受信しているが、アンテナから遠い場所は電波強度が低くなっていることが分かるだろう。電波暗室法では、あらゆる方向からノイズを受ける都市部での電磁環境を再現できているとはいえないのだ。

リバブレーションチャンバー法(左)と電波暗室法の受信電界強度分布比較。電波暗室法では電界強度が低下する部分が存在するが、リバブレーションチャンバー法では、より均一に高い受信電界強度が分布していることが分かる[クリックで拡大] 出所:TDK

 実際、自動車業界では自動車が走る都市部と同じ電磁環境での試験が必要との認識が広がり、リバブレーションチャンバー法を用いたEMS試験の標準規格化が進んでいる。既に、車載部品レベルのリバブレーションチャンバー法による試験は「ISO 11452-11」で規格化され、一部、自動車メーカーやティア1メーカーで、同規格の試験を採用する動きが出ている。さらに現在、実車レベルのリバブレーションチャンバー法による試験規格「ISO 11451-5」の策定が進められており、同規格が策定されるとさらに、自動車メーカーやティア1メーカーでのリバブレーションチャンバー法の採用が加速する見込みだ。

唯一の純国産リバブレーションチャンバー

 自動車に搭載する部品には、リバブレーションチャンバー法によるEMS試験が必要という時代が目の前に迫りつつある中で、ノイズフィルターなどの部品から電波暗室に至るまで総合的なノイズ対策ソリューションを持つTDKでは、いち早く、リバブレーションチャンバーソリューションの提供を開始している。2020年からリバブレーションチャンバーの納入をはじめ、現在、4機目のリバブレーションチャンバーの設置を行っている最中だ。

 TDKのリバブレーションチャンバーは、性能を大きく左右する電磁波スターラーに特長がある。「フラクタル形状」と呼ぶ特許出願中の独自スターラー形状により、他のリバブレーションチャンバーのスターラーよりも、小型、軽量を実現している。そのため、より小さなリバブレーションチャンバーでも、より大きな対象物を測定できる。また、軽量なために、設置コストを抑えられたり、スターラーの回転をより高精度に盛業しやすく試験精度を上げやすかったりといった長所も備わる。

緑雅貴氏

 さらに「国内唯一のリバブレーションチャンバーメーカーであり、導入から保守・メンテナンスまでのサポート体制についても、好評をいただいている」(TDK 電子部品ビジネスカンパニー 技術開発グループ EMCソリューション開発部 緑雅貴氏)という。

 現状、納入しているリバブレーションチャンバーは車載部品評価用のチャンバーだが、緑氏は「現在、実車を試験できるリバブレーションチャンバーの提供に向けた準備を進めており、近く提供体制が整う予定」とし、自動車向けリバブレーションチャンバーとしてフルラインアップがそろう予定だ。

提供準備を進めている実車のEMC試験に対応するリバブレーションチャンバーのイメージ[クリックで拡大] 出所:TDK

 テクノフロンティア 2022/EMC・ノイズ対策技術展では、独自形状のスターラーのミニチュアモデルや、リバブレーションチャンバーのジオラマなどを展示しリバブレーションチャンバー法の仕組みを詳しく紹介する予定。「確度の高いEMS試験を行うには、電磁環境を忠実に再現できるリバブレーションチャンバーが不可欠になる。今後、自動運転へ向けて電子制御化が加速していけば、さらにその重要性は増すことになる。ノイズ展をはじめ、さまざまな機会を通じ、リバブレーションチャンバーの周知を図るとともに、自動車のEMS対策において貢献していく」(緑氏)としている。

1円玉に乗る超小型DC-DCコンバータの決定版「CCG(1.5W・3W)」

 あらゆる機器開発に共通して普遍的に求められる要件の1つに「小型化」がある。高い信頼性が最も重視される産業機器分野においても、小型化へのニーズは高まるばかりだ。昨今では、バッテリ駆動でポータビリティを特長にする産業機器も珍しくなく、信頼性とともに小型化を両立することが重要になっている。

 当然、こうした小型化ニーズは産業機器に不可欠な電源にも押し寄せている。バッテリ駆動型のポータブル機器のみならず、バッテリ非搭載の機器でもより小さな電源が求められるようになっている。なぜなら、1台の機器当たりに必要な電源の数が増えているためだ。

 産業機器の高性能化に伴い、3.3V動作など、より低電圧で高速動作するマイコン/MPUの搭載が当たり前になっている。また、センサーをはじめとしてさまざまな電子デバイスの搭載数が増え、それら電子デバイスの動作電圧はマチマチだ。そのため、3.3Vなどの単出力、±12Vなどの二出力のように多様な電圧を複数供給する必要があるため、DC-DCコンバータもより多く搭載しなければならず、DC-DCコンバータの小型化が不可欠になっている。

1円玉よりもフットプリントが小さい絶縁型DC-DCコンバータ「CCG(1.5W・3W)」(写真は3Wモデル)[クリックで拡大]

 そうした中で、究極の小型サイズを実現した絶縁型DC-DCコンバータが登場した。それがTDKラムダの「CCG(1.5W・3W)」だ。最大出力電力3Wモデルのサイズは幅15.7mm×奥行き10.4mm×高さ11.5mm。その実装面積はわずか164mm2で、従来品に比べ57%も縮小した*1)。直径20mmの1円玉の上に乗ってしまうほどの超が付く小型の絶縁型DC-DCコンバータだ。

*1)「CC-Eシリーズ」3Wモデルとの比較。

 そして、本製品はただ単に小さいだけではない。高温環境下に強く、入力電圧範囲が広いといった多くの特長も併せ持つ。

超小型DC-DCコンバータ「CCG(1.5W・3W)」のブランディングムービー
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高温環境下に強く、入力電圧範囲も広い!

 部品サイズが小さくなれば、当然、実装密度は高くなる。部品同士の間隔を狭めずに実装すれば、部品を小型化した意味がないからだ。しかし、部品を高密度で実装すれば、システムサイズは小さくなるものの、熱の問題が浮上する。熱を発する部品が高密度に集まるためだ。超小型サイズを実現した本製品も、その小型サイズゆえに発熱部品と近づいて実装されるケースが増える。

 こうした傾向を見据え、本製品は−40℃から最大+100℃までの動作周囲温度範囲に対応している。一般的なDC-DCコンバータの動作周囲温度範囲は−40℃から+60℃程度であることを考えると、いかに広いかが分かるだろう。小型という特長を生かした高密度実装時でも、高い信頼性を発揮することができるのだ。

 変換効率についても従来品から4%程度向上*2)。自己発熱も抑えられ、熱設計負担を軽減できるDC-DCコンバータになっている。

*2)CCGシリーズ3WモデルとCC-Eシリーズ3Wモデル(従来品)の代表モデルにおける比較。

 もう1つの大きな特長が、広い入力電圧範囲だ。従来、1Wから10Wクラスの絶縁型DC-DCコンバータの入力電圧範囲は、4.5〜9V、9〜18V、18〜36V、36〜76Vが一般的だが、本製品は4.5〜18V、9〜36V、18〜76Vと4:1の入力電圧比を実現しており、かなり広い。

 「入力電圧の変動が大きいバッテリ駆動機器に対応し、バッテリ駆動範囲の拡大に貢献できる。また、これまでは4.5〜9V品、9〜18V品と2種の製品を調達していたところを、共通化でき、調達するアイテム数を削減できるというメリットも提供する」(TDKラムダ 営業統括部 プロダクトマネージメント部 ユニット・パワーモジュールグループ エキスパート 白石健一氏)

絶縁型DC-DCコンバータ「CCG(1.5W・3W)」の主な特長[クリックで拡大] 出所:TDKラムダ

 出力電圧は、3.3V、5V、12V、15Vの4種の単出力および、±12V、±15Vの2種の二出力から選択できる。

 端子形状は、DIPタイプと「生産自働化、省人化の観点から要望が多く寄せられている」(白石氏)というSMD(表面実装)タイプの2種がある。白石氏は「 SMDタイプは、パッケージ内を樹脂モールドしておらず、リフロー工程に適した構造をしており、信頼性の高い製品と言える」とする。

「CCG(1.5W・3W)」の端子形状はDIPタイプとSMDタイプの2種がある[クリックで拡大] 出所:TDKラムダ

6Wモデル、10Wモデルも発売へ、充実のフラッグシップDC-DCコンバータ

白石健一氏

 新製品CCGは、最大出力電力1.5Wの「CCG1R5」と同3Wの「CCG3」が2022年3月から発売されている。また、テクノフロンティア 2022/電源システム展のTDKブースでは、2022年秋ごろ発売予定の同6Wの「CCG6」、同10Wの「CCG10」の参考展示を実施。「6Wモデル、10Wモデルでも、従来品に比べ実装面積を最大70%低減できる見通しであり、機器の小型化、高密度実装化に貢献する製品になるだろう」(白石氏)とする。

 「本製品は、トランス設計や機構、構造設計を最適化し、最新の部品を選定し、性能、特性を向上させながら、実装面積を可能な限り縮小した。装置の基板占有面積を縮小したいというニーズに応える製品で、あらゆる産業機器に最適な製品であり、フラッグシップモデルの絶縁型DC-DCコンバータとして広く提案していく」(白石氏)という方針。なお、低背の電源が求められる用途には、高さ8.5mmという低背形状を実現した「CC-Eシリーズ」をラインアップしており、新製品CCGと並行して展開していく。

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提供:TDK株式会社/TDKラムダ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年8月12日

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