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充電電流5Aでも超小型! 技術力を集結した最新チャージャICがモバイル充電を進化させる「急速充電へのニーズ」は止まらない

バッテリー駆動のモバイルアプリケーションでは、より高速な充電と、充電器の小型化が求められるようになっている。こうしたニーズに応えるべく、MPS(Monolithic Power Systems)はチャージャICを幅広く手掛けている。中でも、2.5×3.5mmと小型のパッケージながら、5Aの充電電流を実現した降圧スイッチングチャージャICは、MPSの技術力を結集した製品になっている。

» 2022年11月07日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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充電の要、チャージャIC

 ノートPCからスマートフォン、スマートウォッチまで、今やモバイル機器は日常生活を支える物になっている。仕事でもプライベートでも、あらゆるモバイル機器が使用され、もはや“インフラ”の一部だといっても過言ではない。それに伴い、重要になっているのが充電技術だ。バッテリー駆動のモバイル機器は、必ず充電が必要になる。そのため充電では、より高速で高出力な充電と、充電器/充電システムの小型化が、特に求められるようになっている。

 モバイルバッテリーがその一例だろう。モバイル機器に搭載される半導体や部品の進化により、バッテリーの持ちは向上し続けているとはいえ、万が一の場合に備えてモバイルバッテリーを持ち歩く人は少なくない。多くの人が「スマートフォンでバッテリーが残り少なくなり、焦ってしまった」という経験をしているのではないだろうか。そのため、モバイルバッテリーでは、持ち歩きしやすいように小型化しつつ、短時間で充電できる急速充電へのニーズが高い。

 そうしたニーズに伴い、急速充電に対応する規格も増えている。中でも、近年デバイスへの搭載が進んでいるのが「USB PD(Power Delivery)」だ。スマートフォンだけでなく、ノートPCの充電も見据えて最大100W(20V/5A)の出力に対応する。Qualcommが開発した「Quick Charge」では、最大18Wの出力が可能なバージョンもある。その他、HuaweiやASUSなどのスマートフォンメーカーや、AnkerやBuffaloといった充電器メーカーが独自に高速充電規格を採用している場合もある。いずれも共通するのは、高出力を実現すべく、充電電流と電圧を高めている点だ。

 ワイヤレスイヤフォンやスマートウォッチなどのウェアラブル機器は、そもそも機器自体が小さいので、充電システムの小型化は必須になる。もちろん、ここでも高速な充電は求められる。さらに、小型な機器なので充電に伴う発熱をできるだけ抑えることも重要だ。

 このように、あらゆるモバイルアプリケーションにおいて、充電システムの小型化と急速充電が要求される中、鍵になるのがチャージャIC(バッテリー充電管理IC)である。チャージャICは、充電電流/電圧や温度を監視しつつ、最適な充電制御を行う。バッテリーにはさまざまな種類があり、充電方式も複数存在するので、複雑な充電制御が必要になる。チャージャICを用いることで制御が容易になり、バッテリーの種類や充電規格に合わせた適切な充電が可能になる。バッテリーを安全に充電し、USB PDなどの急速充電規格の性能を引き出すためにも、チャージャICは欠かせない部品なのだ。充電器の要ともいえるチャージャICを幅広く手掛けているのが、米国のアナログ半導体メーカー、MPS(Monolithic Power Systems)だ。

汎用性の高いチャージャICを中心に、幅広く展開

 MPSは、ファブレスでありながら前工程、後工程の製造プロセス技術を独自に開発するという、ユニークなメーカーである。“Monolithic”の名の通り、部品を高密度に集積する技術と、自社開発の高度な製造プロセス技術を生かしたアナログ電源ICを中核として、製品群を拡張し続けている。

 チャージャICでは、モバイルコンピューティングからモバイルバッテリー、ウェアラブル、コネクテッドデバイスまで多くのモバイルアプリケーション向けに、シングルセル/マルチセルの二次電池をサポートするスイッチングチャージャICおよびリニアチャージャICを手掛ける。

MPSは、バッテリーマネジメント製品の一部として、さまざまなモバイル機器向けにシングルセル/マルチセル対応のチャージャICを手掛けている 出所:MPSジャパン

 特に、広く普及しているシングルセル電池アプリケーションに向けたチャージャICでは、降圧、昇圧、昇降圧まで、幅広く製品をそろえている。その中でも、最も汎用性が高くシンプルなのが、降圧タイプのスイッチングチャージャICだ。主要な製品だけでも、動作入力電圧や充電電流、制御インタフェースが異なるシリーズを、数多く展開している。

MPSが提供する、シングルセル用の降圧スイッチングチャージャICの一例。この表には掲載していないが、昇圧、昇降圧のシングルセル用スイッチングチャージャICも数多くそろえている 出所:MPSジャパン

充電電流5Aながら、FETを内蔵した小型パッケージを実現

 シングルセル向け降圧チャージャICの最新製品の一つが「MP2722」だ。3個のFETを内蔵し、最大5Aの充電電流を実現しつつ、パッケージサイズを2.5×3.5mmと小型に抑えていることが大きな特長だ。

MPSジャパン シニアFAEマネージャーの岩本純一氏

 先述した通り、より高速な充電を実現すべく、充電電流は増加する傾向にある。MPSジャパン シニアFAEマネージャーの岩本純一氏は、「5Aの充電電流に対応したモバイルバッテリーやモバイル機器は、2023年以降に本格的に普及する見込みだ」と説明する。つまり、将来を見据え、市場のトレンドにいち早く応えられるチャージャICがMP2722だ。

 一般的に充電電流の増加と、チャージャICの小型化および低コスト化は、トレードオフの関係にある。

 チャージャICでは、充電電流が3Aを超えてくると、高電流FETを使用する必要があるので、コストや熱設計の課題から、FETを外付けする場合が多い。FETを内蔵すれば実装面積は小さくなり、変換効率も高くなるというメリットを得られるが、製造プロセスの関係で一気にコストが高くなる。そのため、「3A以下ではFETを内蔵し、3A以上ではチャージャICはコントローラーICとして構成しFETは外付けするというのが、一般的な傾向だ」と岩本氏は説明する。それに比べ、MP2722は、5Aの充電電流を実現しつつ3個のFETを内蔵している。MPSが集積技術に強く、前工程、後工程ともに独自のプロセスを自社で開発しているからだ。

 当然ながらFETを内蔵することは、低コスト化につながる。例えばMP2722と同等のチャージャICを外付けFETで構成する場合、抵抗7個、ダイオード4個、セラミックコンデンサ1個、3個のFETドライバを追加する必要がある。これだけ部品点数が増えてしまうのだ。サプライチェーンへの懸念が高まる中、部品点数やBOM(Bill of Materials)コストを抑えられるのは、設計者にとって大きな利点だろう。

 さらに、FETのオン抵抗も重要になる。FETのオン抵抗が高いと発熱してしまうからだ。「MP2722の仕様から考えれば、一般的なオン抵抗を持つFETを内蔵してしまえば、2.5×3.5mmのパッケージでは耐えられなくなる。おそらく2.5×3.5mmの2倍のパッケージサイズが必要だろう」(岩本氏)

 発熱は、設計者にとって課題の一つである。特にモバイルアプリケーションは小型な場合が多く、熱設計のところでつまずきがちだ。「充電をしていると、まずバッテリー自体が熱くなる。それを受けてチャージャICも熱くなる。そこにチャージャIC自体の温度上昇が加わってしまう」(岩本氏)

 最大5Aの充電電流を実現しつつ、低オン抵抗のFETを内蔵し、2.5×3.5mmのパッケージに収める――。いずれも、MPSの電源技術とプロセス技術があればこそ、実現できる要素だ。MP2722は、MPSの高い技術力を集結したチャージャICともいえるだろう。

MP2722のブロック図と、主要な機能。標準評価ボードにおいて、入力電圧9V/充電電流5A時に、ボードの温度上昇を40℃に抑えられる点に注目したい。需要の多いUSB Type-Cに準拠し、電力を受け取るTry.SNKモード、電力を供給するTry.SRCモードをサポートする。タイマーなどの機能は、レジスタに書き込むことで搭載できる。2つ備えているNTCモニタは、バッテリー監視やコネクターの発熱監視など、自由に使える 出所:MPSジャパン

汎用性の高さを生かし、カスタマイズのニーズに応える

 降圧スイッチングチャージャICの新製品では、充電電流が増加している他、電流値や電圧値、サーマルシャットダウンのしきい値などの各パラメーターをレジスタに書き込めるOTP(One-Time Program)のインタフェースに対応しているのが特長だ。OTPインタフェースだと、カスタマイズ性が高くなるという利点がある。岩本氏は、「カスタマイズのニーズは高い」と話す。「さまざまな種類のバッテリーがあるので、固定できないパラメーターも多い。仕様を細かく変更して品種を増やすよりも、汎用性の高いチャージャICを基本シリーズとして展開し、顧客のニーズに合わせてカスタマイズする方が理にかなっている」(岩本氏)。他社製品では、顧客自身あるいはサードパーティーがパラメーターをOTPに書き込むのが一般的だ。一方でMPSでは、量産規模にもよるが、工場出荷時に書き込むことも可能だ。

 OTPの利点は他にもある。従来のスタンドアロン型アナログ制御インタフェースだと、電流/電圧/温度などの各種パラメーターを設定、変更するには外部に多くの抵抗を接続する必要がある。「部品点数が増え、コストも設計も複雑になってしまう」(岩本氏)

 さらに、抵抗の数が増えると、パッケージの端子数が多くなる。こうなると、MPSが独自に開発する、放熱性が高い最先端のパッケージ技術を生かせない。コストや設計、パッケージの点で、やはりOTPが適していると岩本氏は語る。

 カスタマイズだけでなく、充実したサポート体制を整えているのもMPSの強みだ。サポート専用のサイト「MPS Now」では、アプリケーションに適した製品の仕様や基板設計などについて、MPSのエンジニアと直接対話しながら日本語でサポートを受けられる。

充電電流10A品も開発中

 さらにMPSは、今後の急速充電の要求に応えるべく、動作電圧を20〜21V、充電電流を10Aにまで高めたチャージャICも開発中だ。USB PDでは、最大供充電力を100Wから240W(48V/5A)に引き上げた「USB PD EPR(Extended Power Range)」も新たに策定され、対応製品も市場に登場し始めている。岩本氏は「充電器は小型化しつつ、充電電流は大電流化するというトレンドは今後も続くだろう。MPSはそうしたニーズに応えるチャージャICの開発と製品群の拡充に注力していく」と強調した。

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提供:MPSジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月13日

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