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需要が拡大する業務用空調システムのキーデバイスを網羅するインフィニオンパワー半導体を中心に積極投資を実施

エネルギー価格の上昇と環境保護意識の高まりを受け、業務用空調システムの需要が拡大している。パワー半導体など業務用空調システムのキーデバイスの供給不足が懸念される中で、インフィニオン テクノロジーズは業務用空調システム用デバイスの開発、増産投資を強化している。

» 2023年02月15日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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需要が急拡大する業務用空調システム

 今、業務用空調/C-HVACシステムの需要が世界的に急拡大している。特に欧州での拡大が顕著だ。

*)C-HVAC:Commercial Heating Ventilation and Air Conditioning

 欧州は夏場の気温が上昇傾向にあり、冷房機能が付いた業務用空調システムの導入が徐々に進みつつあった。そこに2021年ごろからウクライナ情勢に伴う欧州への天然ガス供給制限を受けてガス価格が急騰。冬季の暖房システムとして主流だったガスボイラーから、ヒートポンプ式の業務用冷暖房空調システムへの置き換えが急速に進展している。

 欧州以外でも、世界的な化石燃料価格の上昇や地球環境保全意識の高まりなどを受け、インバーターを搭載するヒートポンプ式などの省エネ型空調システムの需要が拡大している。日本国内ではインバーター搭載エアコンが広く普及しているが、米国やアジアなど海外市場のほとんどはインバーター非搭載エアコンが主流でインバーター搭載機への置き換えが進んでいる最中だ。

 ヒートポンプ/インバーターを搭載する省エネ型空調システムの需要が急拡大する中で注目されるのが、空調システムを構成する「キーデバイス」だ。

 長期の需要拡大が見込まれる中、空調システムメーカーが増産投資を進めている一方で、パワー半導体やマイコンといったキーデバイスの供給が追い付かず、空調システムの納期遅延が発生している。世界的な半導体不足は一段落しつつあるものの、空調システムの今後の需要拡大を考えると、空調システム向けデバイスの供給不足が長期化したり悪化したりすることが懸念される。

 さらに、欧州を中心に環境保護意識が高まっており、空調システムの省エネ化へのニーズは強まっている。すなわち、空調システムの省エネ性能を左右する大きな要素であるパワー半導体をはじめとしたキーデバイスに一層の進化が求められることになる。

 空調システムの需要拡大、ひいては地球環境保全を実現する上で、キーデバイスの安定供給そして進化が不可欠になっているのだ。

 こうした状況で、空調システム向けのキーデバイスへの投資を積極化している半導体メーカーがある。インフィニオン テクノロジーズだ。

業務用空調システムのキーデバイスを網羅

 インフィニオンは、空調システムのキーデバイスを網羅する数少ない半導体メーカーの一社だ。空調システムのキーデバイスは、ファンやコンプレッサーを駆動するインバーターを構成するパワーMOSFET/IGBTといったパワー半導体をはじめ、パワー半導体を駆動/制御するゲートドライバマイコンがある。さらに、インバーターの状態を監視する電流センサーや空調システムのスマート化に欠かせない無線通信用デバイス、二酸化炭素(CO2)濃度などを検知する各種センサーもある。インフィニオンはこれら空調システムのキーデバイスを全て開発、製造している。しかも「最も空調システムの省エネ性能に直結するパワー半導体を中心に、家庭用から大型の業務用まであらゆる空調システムに対応できる製品をそろえている」(インフィニオン テクノロジーズ ジャパン 藤森正然氏)という。

業務用空調システムのキーデバイス 業務用空調システムのキーデバイス[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

 ファンの駆動に使用されるIPM(Intelligent Power Module)は、40V耐圧製品から1200V耐圧製品までをそろえる。パワーMOSFETやIGBTなどのスイッチングデバイスやダイオードとともにゲートドライバなど駆動回路を1パッケージに集積するIPMは、耐圧に応じて搭載するスイッチング素子の特性が大きく異なる。そのため、多くの半導体メーカーは耐圧600V程度を境にして低耐圧品ないし高耐圧品のいずれかのみをそろえるケースがほとんどだ。実際、インフィニオンも以前は耐圧600Vを上回る高耐圧のIPMを中心に製品展開してきた。ただ、低耐圧IPMを得意とする半導体メーカーであるインターナショナル・レクティファイアーを2015年に買収したことで、総合的なIPM製品ラインアップを手に入れた。

 藤森氏は「IPMベンダーには、スイッチング素子など一部のチップを外部調達して製造するところも多いが、インフィニオンは全てのチップを自社で開発・製造している。そのため、常に最先端の技術を駆使したチップをIPMに搭載でき、性能面で優位性を発揮できている」とする。

インフィニオンのIPM製品群 低耐圧から高耐圧までをカバーするインフィニオンのIPM製品群[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料

 さらに「チップやパッケージの開発には、多額の投資が必要になる。(2022会計年度売上高142億ユーロと)事業規模が大きいインフィニオンだからこそ自社開発を実現できている。この点は大きな強みであり、今後も最先端のチップを開発してIPMに展開する」(藤森氏)とする。「CIPO Nano」など低耐圧製品で実現しているIPMに制御エンジンを搭載したスマートIPMを中高耐圧品にも展開する方針で「高集積化でもリードしていく」と述べる。

他社も追従するPIM「Easyファミリー」

 コンプレッサーや大型ファンの駆動用パワーモジュール/PIM(Power Integrated Module)でも、豊富な製品ラインアップを構築するとともに先端技術を駆使した新製品投入を進めている。

藤森正然氏 インフィニオン テクノロジーズ ジャパン インダストリアルパワーコントロール事業本部 マーケティング部 部長 藤森正然氏

 特に近年、採用件数を大きく伸ばしているのが「Easyファミリー」だ。Easyファミリーの最大の特長はフレキシビリティーだ。ピン配置が固定的だった従来のPIMに対し、Easyファミリーのパッケージにはピン用の穴がパッケージ上面を埋め尽くすように用意されている。これにより、パッケージ内部のチップ配置やピン配置を手軽に変更できる。

 藤森氏は「ピン配置を変える場合、これまでのパッケージではチップとのピンの位置関係等制約があったため、大きな変更は難しかった。Easyファミリーはチップ配置の制約がほとんどなく、ピン配置を手軽に変更できる。そのためシステムに応じたピン配置を実現しやすい。システムの小型化や性能向上に貢献するパッケージとして、Easyファミリーはドライブ機器や空調機器市場や再生可能エネルギー、EVチャージャー等車載機器市場などで広く受け入れられ、5000万個以上の出荷実績がある」とする。

Easyファミリーの外観とパッケージ内部。同じパッケージでも内部のチップ構成・配置を高い自由度で変更できる。左の写真は最もサイズが小さい「Easy 1B」で、右の写真は最も大きな「Easy 3B」。Easy 3Bは中サイズの「Easy 2B」とベースプレートが共通化され、Easy 2Bのベースプレートを2枚搭載できるようになっている[クリックで拡大]

 チップ/ピン配置の自由度の高さから、Easyファミリーは新世代パワー半導体であるSiC(炭化ケイ素)デバイスに適したパッケージでもある。SiCは従来のSi(シリコン)よりも高速スイッチングを実現できるが、その高速性から寄生インダクタンスの影響を受けやすい。そのため寄生インダクタンスを低減する必要がある。Easyファミリーは、チップのすぐそばにピンを配置できるため配線長に比例して増加する寄生インダクタンスを低減することが可能だ。「パッケージ内の各SiCデバイスの寄生インダクタンス、すなわちピンとの配線長をそろえることも重要だ。チップ/ピン配置の自由度が高いEasyファミリーならば容易にそれを実現できる」(藤森氏)。既にインフィニオンはSiC-MOSFETを搭載したEasyファミリー製品を量産している。

 なお、Easyファミリーのパッケージは他のパワー半導体メーカーからも提供されており、互換製品も手に入る。「今後も業界標準になる新たなパッケージ技術を開発する」(藤森氏)とパッケージ技術についても積極的に開発していく方針だ。

 独自パッケージ技術としてはこのほど、硫化水素対策パッケージ技術を構築した。工場などで使用される硫化水素は、パッケージ内部に入り込むと配線に使用する銅や銀を腐食させ、不良を発生させる。そのため、硫化水素が発生する可能性のある工場などで使用する空調システムなどの機器ではパワーモジュールを密閉するような対策が必要だった。これに対し、インフィニオンは50ppmという硫化水素濃度の環境でも20年間にわたって動作するパッケージ技術を開発。Easyファミリーをはじめとした各パワー半導体に適用できる技術として、空調システムを含め幅広い市場に展開している。

需要拡大を見据え積極的に増産投資

 パワー半導体は、空調システムだけでなく電気自動車や再生可能エネルギー発電システムなど、環境保全を背景に需要拡大が予想されるシステムにおいてもキーデバイスになっている。そのため、中長期的に供給不足が懸念される半導体製品の一つとされる。インフィニオンは長期的なパワー半導体の安定供給に向け、ドイツ・ドレスデン、オーストリア・フィラッハで300mmウエハー対応工場を既に稼働させた。さらに50億ユーロを費やしてドレスデンに新たな300mmウエハー対応工場を建設し、2026年に稼働させる計画を発表している。藤森氏は「製品性能はもとより、長期にわたり安定供給を実現できる半導体メーカーとして強みを発揮していきたい」とする。

ゲートドライバ、マイコン、センサー含めたシステム提案

 インフィニオンはパワー半導体以外にも、ゲートドライバやマイコンなど周辺デバイスも取りそろえる。ゲートドライバは非絶縁型品の他、コアレストランスフォーマーによる絶縁ゲートドライバやレベルシフトゲートドライバをラインアップ。マイコンでは、2022年に動作周波数最大350MHzを誇る高性能品を追加したモーター/インバーター制御向け製品群「XMC」などを展開している(関連記事:6年ぶりの新製品! 飛躍的に進化したモーター/パワー制御に強いマイコン「XMC」

インフィニオンのゲートドライバ製品 インフィニオンのゲートドライバ製品[クリックで拡大] 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン提供資料
大川雅貴氏 インフィニオン テクノロジーズ ジャパン インダストリアルパワーコントロール事業本部 リージョナルマーケティング 大川雅貴氏

 インフィニオン テクノロジーズ ジャパンの大川雅貴氏は「空調システムはクラウド連携機能なども当たり前になり、Wi-FiやBluetoothといったワイヤレス通信機能の搭載が標準になりつつある。室内のさまざまな状況を検知することで、より快適な室内環境をつくる高付加価値機能を搭載する動きも活発化している。インフィニオンはWi-Fi/Bluetooth用ICやCO2センサーといった各種センサーなども提供でき、空調システムに対してシステムレベル提案を実施できる」とする。インフィニオンはシステムレベル提案の一環として、同社Webサイトで業務用空調システム向けの製品/技術情報を集約したページを公開し、活用を呼び掛けている。

 藤森氏は「日本はインバーター空調システムが最も普及する市場であり、日本国内の空調システムメーカーが世界をリードしている。パワー半導体、空調システム向け半導体に注力するインフィニオンにとって日本は重要な市場であり、体制を継続して強化し、充実したサポートを提供していく」としている。

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提供:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年3月14日

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