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サステナブルな成長に向けてソリューション提案強化で市場攻略STマイクロエレクトロニクス 日本担当 カントリーマネージャー 高桑浩一郎氏

マイコンからアナログIC、センサー、メモリまで幅広い製品ポートフォリオを持つSTマイクロエレクトロニクス。広範な製品群をベースに、ソリューションの提案に力を入れている。半導体に対する旺盛な需要が長期的に見込まれる中、同社はどのような戦略を取るのか。STマイクロエレクトロニクス 日本担当 カントリーマネージャーを務める高桑浩一郎氏に聞いた。

» 2023年03月09日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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オートモーティブとインダストリアルで強い需要

――2022年の業績についてお聞かせください。

STマイクロエレクトロニクス 日本担当 カントリーマネージャーを務める高桑浩一郎氏

高桑浩一郎氏 2022年第4四半期(10〜12月期)の売上高は44億2000万米ドルで、前年同期比で24.4%の成長を達成した。2022年通期の売上高は前年比26.4%増となる161億3000万米ドルで、大きな成長を遂げることができた。

――2023年の業績予測と市場の見通しについてはいかがでしょうか。

高桑氏 2023年第1四半期(1〜3月期)の売上高は、前年同期比18.5%増の42億米ドルを見込んでいる。2023年通期の売上高は、強い需要と生産能力の強化をベースに168億〜178億米ドルになると予想している。

 なお、2022年に開催した投資家向け説明会「Capital Markets Day 2022」では、2025年から2027年の間に売上高200億米ドル超を達成するという目標を発表した。

 オートモーティブの市況は、依然として一部の製品で供給難が続いているものの、スマートフォンなどのパーソナルエレクトロニクスを含むコンシューマー機器やコンピュータ関連では、2022年後半から市場の軟化が見え始めている。

マイコンと次世代パワー半導体が成長の鍵に

――2025年〜2027年の間に売上高200億米ドル超を達成するに当たり、鍵となる製品や技術は何でしょうか。

高桑氏 けん引役になるのは、高い市場成長が期待されるオートモーティブやインダストリアルなどの分野だ。

 オートモーティブでは、昨今は電動化と電子化がトレンドになっていて、特にSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の引き合いが強い。SiCパワー半導体は、EV(電気自動車)のモーター駆動をはじめ充電ステーションやOBC(オンボードチャージャー)でも採用が進んでいる。われわれは、耐圧650V〜1700VのSiC MOSFETおよび650V/1200VのSiCダイオードをそろえ、パッケージやモジュールで柔軟に対応できることが特長だ。SiC MOSFETは第3世代品を量産中で、第4世代品は評価中、第5世代品の研究開発も始まっている。SiC事業の2023年の売上高は10億米ドルを見込んでおり、そのうち75%をオートモーティブ向けが占めると予想している。

 電子化においては、SDV(Software Defined Vehicle)時代の到来を見据えて進化する自動車のE/E(電気/電子)アーキテクチャに向けた製品が鍵になる。特にゾーン型E/Eアーキテクチャ向けの製品として注力しているのが、PCM(相変化メモリ)を搭載した車載用32ビットマイコン「Stellar」だ。PCMの採用により、従来に比べ安価なマイコンで高速かつ高効率にOTA(Over the Air)アップデートできるようになる。2023年1月に都内で開催された「第15回 オートモーティブ ワールド」で、Stellarを用いてOTAアップデートを行うデモを展示したところ、多くの来場者の関心を集めた。

 これまでSTは車載用マイコンとして「SPC5」ファミリーを展開してきたが、今後はStellarへの移行を進めていく。Stellarの現在のラインアップとしては28nm FD-SOIプロセスを適用し、相変化メモリ(PCM)を内蔵したマイコンがある。将来的には7nm FinFETプロセスを採用したプロセッサも展開する計画だ。

PCMを搭載した車載用マイコン「Stellar」 提供:STマイクロエレクトロニクス PCMを搭載した車載用マイコン「Stellar」 提供:STマイクロエレクトロニクス

 その他、車室内モニタリングシステムに向けた車載用の5.1Mピクセルイメージセンサーの量産は2024年モデルの自動車のニーズに合わせて計画している。HDR(ハイダイナミックレンジ)のカラー画像と近赤外線画像を一つのセンサーで取得できる製品で、より高品質かつ小型なDMSの実現に貢献する。

――インダストリアル分野では、どのような製品に期待していますか。

高桑氏 インダストリアル分野では、Armコアを搭載した32ビット汎用(はんよう)マイコン & マイクロプロセッサ「STM32」ファミリーの拡充を進めていく。OmdiaとWSTS(世界半導体市場統計)の調査によると、STM32は2021年の汎用マイコンシェア(車載マイコンおよびセキュアMCUを除く)で23%を獲得して首位になった。STM32はコンシューマーからコンピュータ、通信、製造およびオートメーション、ホームコントロールまで、さまざまな分野で採用されている。

 今後は、ワイヤレス機能や組み込みAI(人工知能)機能を搭載したSTM32マイコンのラインアップと、STM32プロセッサファミリーを増やしていく。特にAIについては、顧客が組み込みAIを容易に実現できるエコシステムの構築を目指す。

 AI機能であるISPU(Intelligent Sensor Processing Unit)搭載のMEMSセンサーも重要な製品だ。AI処理を行うプロセッサをセンサー内に搭載することで、データをクラウドにアップロードすることなく、センサー側(エッジ側)で画像認識などの処理を高速にできるようになる。

 GaN(窒化ガリウム) パワー半導体も、電源システムの小型化と高効率化を実現する技術として重視している。当社はGaN MOSFETとドライバを統合した「VIPerGaN」ファミリーを展開している。高効率のフライバックコンバーターで、出力は50W、65W、100Wのラインアップがある。従来よりもさらに高電力を実現した製品として期待しており、今後も拡充を図っていく。

2025年までに300mmウエハー生産能力を倍増

――ここ数年間は半導体不足がさまざまな業界に大きな影響を与えています。生産能力の増強が重要になってきますが、どのような増産計画を立てていますか。

高桑氏 設備投資を積極的に行っており、2022年の投資額は35億2000万米ドルだった。2023年は、300mmウエハーとSiCの生産増強を中心に約40億米ドルを投じる計画だ。

 具体的には、2025年までに300mmウエハーの生産能力を倍増する。フランス・クロルではGlobalFoundriesと共同運営する300mmウエハー新工場を建設する予定で、2026年までにフル稼働させることを目指している。同工場の生産能力は最大で年間62万枚になる予定だ。イタリア・アグラテでは工場が完成し、2023年前半にも量産を開始する計画になっている。

フランス・クロルに建設中の新工場 提供:STマイクロエレクトロニクス フランス・クロルに建設中の新工場 提供:STマイクロエレクトロニクス

 SiCでは、統合型のSiCウエハー工場をイタリア・カターニャに新設し、2023年内に生産を開始する。2019年に買収したSiCウエハーメーカーのNorstel(スウェーデン)の技術も活用して、SiCウエハーの内製化率を2024年までに40%まで高める計画だ。SiCの需要が高まる中、ウエハー調達まで自社でコントロールすることで、高品質のSiCパワーデバイスを安定供給できる体制を構築することが狙いだ。

 GaNについては、フランス・トゥールに200mmウエハーを活用したパワー製品の工場において、認定作業が完了した後、2023年内にも量産を開始する。カターニャには150mmのRF製品工場もある。さらに、新しいGaNパワーデバイスの開発も進めている。

サステナビリティー経営に向けた3つの施策

――2023年以降はどのような取り組みを強化していきますか。

高桑氏 製品開発と生産能力の増強に加え、サステナビリティー経営にも力を入れている。具体的に3つの施策を進めており、2027年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。太陽光発電やグリーン電力購入契約、グリーン電力証書などを活用し、再生可能エネルギーの使用率を100%にする。

 当社が世界各地に持つ工場でも、この目標に向けた施策が進んでいる。モロッコ・ブスクラ工場では、再生可能エネルギー使用率を50%まで引き上げることを目標としている。2019年には、2400枚の太陽光発電パネルを備えた250台分の駐車場を設置した。これにより、年間1GWh以上の太陽光エネルギーが生成されている。シンガポール工場でも、新しいヒーティングシステムを導入することで電力使用量を削減した。

 2つ目の施策が、持続可能な社会のために技術力で貢献することだ。電力損失が少ない高効率の製品や低消費電力の製品を開発するだけでなく、製造工程においても環境に配慮した材料や部材を採用する取り組みを行っている。こうした技術開発に向けて当社はR&Dへの投資を強化しており、2022年には売上高の11.8%に相当する約19億米ドルを投資した。

 3つ目が人材への投資だ。人材が不足する中で、労働環境を整えることや人材の多様化を進めることは急務になっている。雇用のみならず、人材育成/教育環境の強化や整備も進めている。

広範な製品群を生かしたソリューション提案を強化

――高い市場成長が期待されるオートモーティブとインダストリアル分野における、日本向けの戦略についてお聞かせください。

高桑氏 日本法人に限らず、STマイクロエレクトロニクス全体の戦略として幅広い製品群を生かしたソリューション提案を強化している。

 マイコンやプロセッサからパワー半導体、アナログIC、センサー、EEPROMなどのメモリまで、当社は極めて広範な製品ポートフォリオを持っている。これらを組み合わせ、ソリューションとして提案し、量産に至るまでシステムレベルでの技術サポートを提案できることが大きな強みだ。

 また、トップシェアを誇るSTM32マイコンを持っていることも大きい。STM32は産業機器や民生機器、ホームアプライアンスといったシステムのブレーンとなる箇所に採用されている。つまり、STM32を中核として、その周辺部品であるアナログICやセンサーなどを組み合わせてソリューションとして提案できるのだ。汎用マイコンで強みを持っていることは極めて有利だと考えている。

――日本市場への期待値についてはいかがでしょうか。

高桑氏 エンドカスタマーという点では、大手自動車メーカーが複数存在する自動車分野に対する期待値がやはり高い。自動車の電動化については、日本は他国/地域に比べるとやや後れを取っているケースもあるが、その分成長の余地がある。産業機器についても、大手メーカーが多数存在するので成長拡大の見込みが大きい。

 顧客の要求はさまざまだが、広範な製品ポートフォリオを持つ当社であれば要求仕様に合わせたソリューションを提案しやすい。電子機器の半導体搭載量が増える中、顧客との活発なディスカッションを通じてニーズを確実に取り込み、新しい製品開発につなげていきたい。

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提供:STマイクロエレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年3月27日

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