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» 2023年03月27日 10時00分 公開

次世代のUSB PDポート設計に柔軟性をもたらす、専用マイコン搭載のコントローラーソフト開発の工数も削減

USB Type-Cの充電拡張規格であるUSB PD(Power Delivery)。最新の規格では最大240Wまでの給電が可能になることから、幅広いアプリケーションでの採用が予測されている。一方で、USB PD対応ポートの搭載数が増えると発熱などの課題が生じてくる。それを解決すべく、MPSはマイコンを搭載したUSB PDコントローラーを開発した。

[PR/EE Times Japan]
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最大240Wの給電が可能なUSB PD

 USBの次世代コネクター規格として、確実に市場に浸透しているUSB Type-C。2018年にはAppleがUSB Type-Cポートを搭載した「MacBook Air」を発売し、大きな話題となった。以来、ノートPCやAndroidスマートフォンでもUSB Type-C搭載機種が次々に発売されている。さらにEUでは、EU圏内で発売されるスマートフォンやタブレットなどの電子機器の充電規格としてUSB Type-Cの採用を義務付ける法案が可決した。こうした動きが追い風となり、USB Type-Cの世界市場は大きな成長が見込まれている。Future Market Insightsの調査によれば、同市場は2022年の159億米ドルから年平均成長率(CAGR)29.7%で成長し、2030年には1272億米ドルに達するという。

 USB Type-Cの特長の一つが、充電の拡張規格USB PD(Power Delivery)だ。USB PDはUSB Type-Cに対応した給電規格で、USB Type-Cの標準的な充電規格が供給する7.5Wや15Wよりも大きな電力で給電できる。このUSB PD対応をうたうUSB Type-C充電器も増えてきている。

 現在、販売されているUSB PD対応充電器は最大100Wの給電が可能な「USB PD 3.0」に準拠しているものがほとんどだが、2021年に発表された最新規格「USB PD 3.1」では最大で240Wの給電が可能になっている。これによって従来よりも大電力が必要な機器への給電が可能になるので、アプリケーションはさらに広がっていくとみられている。

 その一つが自動車だ。自動車ではUSBポートがほぼ標準搭載になっていて、近年はUSB Type-AからType-Cに移行する動きが始まっている。日本の自動車メーカーが2022年に発売した新型車種の中にはUSB Type-Cポートが標準装備になっているものもある。今後はUSB PD対応のType-Cポートの搭載も増加すると予測されている。Market Research Futureが2023年1月に発表した調査結果によれば、車載向けのUSB PD世界市場は2022年から2030年にかけて年平均成長率18.30%で成長するという。

 こうした市場の成長を見据え、USB PDコントローラーの製品ラインアップの拡充を図っているのがMPS(Monolithic Power Systems)だ。

コア技術の電源IC+USBコントローラーを提供

 ファブレスのアナログ半導体メーカーであるMPSは、昇降圧型DC/DCコンバーターをはじめ、充実した電源ICの製品群を持っている。それらの電源ICとハードウェアベースのUSB PDコントローラーを組み合わせ、民生機器や車載用のUSB PDポート設計向けソリューションとして以前から提供してきた。電源ICとUSBコントローラーを統合したオールインワンソリューションもそろえている。これらのラインアップに、マイコンベースのUSB PDコントローラーが新たに加わることになる。

MPSのUSB PDポート向け製品群 MPSのUSB PDポート向け製品群。DC/DCコンバーターとハードウェアベースのUSB PDコントローラー、それらを統合したオールインワンソリューションで構成されている。図の右から2枠目「USBコントローラー(マイコンベース)」が新製品 提供:MPSジャパン
MPSジャパン シニアFAE 蜷川顕二氏 MPSジャパン シニアFAE 蜷川顕二氏

 MPSジャパンでシニアFAEを務める蜷川顕二氏は「MPSは、100Wまでの給電に十分対応できるハードウェアソリューションを一通り持っている」と語る。特に、オールインワンソリューションは設計が簡素なことから引き合いが強い。周辺回路を構成するだけで容易にUSBポートを設計できるからだ。ただし、それはシングルポートの機器の場合だ。一つの筐体に搭載するポート数が増えてくると、設計上の課題が出てくる。

 蜷川氏は「USB PD 3.1によって最大240Wの給電が可能になる中、USBポートが2つ、3つと増えてくると電力のやりとりをハードウェアだけではやりにくくなっているのが現状だ」と話す。

 「ポート数が増えると発熱の問題が出てくる。最近の自動車は、USBポートを複数搭載するようになってきているが、一つの筐体に2つのポートが搭載されているので、発熱して温度管理が難しくなるという課題がある。発熱を抑えるためには、アプリケーションに合わせて電力制限を変更する必要がある。だが、設計の柔軟性がないオールインワンソリューションやハードウェアベースのUSBコントローラーでは対応が難しい」(同氏)

マイコン内蔵のUSB PDコントローラー

 そこでMPSが新たに開発したのが、マイコンを搭載したUSB PDコントローラー「MPF5200X」シリーズだ。「USB PDに対応した機器同士が接続されたときに、プロトコルを用いてネゴシエーションを行うというUSB PDコントローラーとしての基本的な機能に加え、機能の拡張性や設計の柔軟性を持たせるためにソフトウェアで機能を書き換えられるマイコンがどうしても必要になる」と蜷川氏は強調する。

 MPF5200XはArmのCPUコア「Cortex-M0」を採用し、128KBのフラッシュメモリと12KBのSRAMを搭載している。ポート数とDRP(Dual Role Port)設定の有無により、4つの品種を用意した。最もシンプルなシングルポートの「MPF52001」、デュアルポートの「MPF52000」、シングルポートかつDRP対応の「MPF52002」、そしてトリプルポートの「MPF52003」だ。このうちMPF52001、MPF52000、MPF52003は、車載向け電子部品規格のAEC-Qにも対応している。

 MPSの既存のUSBコントローラーのように、用途に合わせ、DC/DCコンバーターと組み合わせて回路を構成する。電力供給のみ(ソースのみ)で最大供給電力が240Wなら、MPSの降圧コンバーター「MP8880」とMPF52001を組み合わせる。DRPを設定して100Wを供給するのであれば、降圧コンバーター「MP2491C」および昇降圧コンバーター「MP4248」とMPF52002を組み合わせるといった具合だ。「MPF5200Xで60W、100W、240Wなどあらゆる供給電力の設計をサポートできる」と蜷川氏は話す。

「MPF5200X」とDC/DCコンバーターの組み合わせの一例 「MPF5200X」とDC/DCコンバーターの組み合わせの一例。USB PDで規定されているさまざまな電力レベルに対応できる 提供:MPSジャパン

きめ細かい電力配分が可能に

 MPF5200Xが最も性能を発揮するのは、複数のUSBポートを備える基板や機器を設計する場合だ。小型の筐体の中で発熱を抑えるためには、各ポートへの供給電力の配分をいかにコントロールするかが重要になる。「どのポートに何ボルトで、何アンペアを供給するのか。マイコンを搭載したMPF5200Xシリーズであれば、その配分をきめ細かく設定できるようになる。最大供給電力が100Wであれば、その100Wという制限の中でポートごとにどのように電力を割り振るかを設計しやすい」と蜷川氏は説明する。

MPF5200Xの主な仕様と、回路構成の例。この図はトリプルポート設計時の構成を示している MPF5200Xの主な仕様と、回路構成の例。この図はトリプルポート設計時の構成を示している 提供:MPSジャパン

USB PDに特化したマイコン搭載で設計工数を削減

 マイコンを内蔵したUSB PDコントローラーは他社も市場に投入している。ただ、これらの既存の製品が内蔵しているのは汎用(はんよう)マイコンなので、ファームウェアをゼロから記述する必要がある。そのため設計の負担が大きくなってしまう。それに対し、MPF5200XはUSB PDポート設計に特化したマイコンを搭載していることが特長だ。「USB PDの機能を実現するために必要なファームウェアは既に構築されているので、USBポートの追加など、必要な機能の部分だけを記述するだけで済む。汎用ではなく専用マイコンにすることで、開発工数の大幅な削減につながる」(蜷川氏)

 これは、特に車載用USBポートの設計者にとって大きな利点になると蜷川氏は話す。この分野の設計はハードウェアが中心であり、ソフトウェアのノウハウをそこまで必要としないのが一般的だ。そもそも、ソフトウェア開発を担当するメンバーが設計チームにいないことさえある。「ソフトウェアの知識がそれほどなかったり、ソフトウェアの開発工数が少なくリソースをかけられなかったりする場合に、MPF5200Xが貢献できるのではないか」(蜷川氏)

 自動車以外では、ポータブル電源やACアダプター、ディスプレイ、ドッキングステーション、ロボット掃除機、Bluetoothスピーカーなどがターゲット用途として挙げられる。いずれもポート数が多く、ポータブル電源のように最大供給電力が決められているものもある。これらのアプリケーションでは、電力供給の割り振りを細かく制御できるMPF5200Xを使うことで設計の柔軟性が上がる。

 さらに、DisplayPortのチップセットを使用すればUSB Type-Cのオルタネートモードに対応することも可能だ。「当社の既存のUSBコントローラーでは、『DisplayPortの信号が伝送されてくる』というネゴシエーションができなかった。MPF5200Xのマイコンには、DisplayPortの信号を判別する機能がファームウェアとしてあらかじめ構築されているので、DisplayPortの信号を適切なポートに割り振ることも容易にできる。この機能をファームウェアとしてイチから記述するとなると、かなり手間がかかる」(蜷川氏)

MPF5200Xのターゲットアプリケーションの例 MPF5200Xのターゲットアプリケーションの例 提供:MPSジャパン

 最大240Wを供給できるUSB PD 3.1は新しい規格であり、自動車への搭載もこれからだ。蜷川氏は「自動車の電動化が進みバッテリーしか電力源がない中、USBポートへの電力供給を適切に制御することはますます重要になる。発熱の問題もあるが、貴重な電力をUSB PDだけで消費するわけにはいかないからだ」と強調する。「そのため、EV(電気自動車)の普及が進めば、シングルポートでもマイコン搭載のUSB PDコントローラーできめ細かく電力配分したいというニーズが高まる可能性はある」(同氏)

 自動車以外でも、ポータブル電源など電力量に制限がある機器は多い。どのアプリケーションでも、USBの各ポートへの電力配分を最適化して電力消費の無駄を省き、発熱を抑えることは極めて重要だ。USB PDに特化したマイコンを搭載したMPF5200Xを使うことでソフトウェア開発の負荷を低減しつつ、USB PDポートの設計の自由度も向上させられる。MPF5200Xは4品種とも現在サンプル出荷中だ。

 MPSは、製品仕様や基板設計について、MPSのエンジニアと日本語で直接対話してサポートを受けられる専用サイト「MPS Now」も用意している。同サイトも活用しつつ、MPF5200Xが次世代のUBSポート設計にもたらす柔軟性をぜひ試してみてほしい。

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提供:MPSジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年4月12日

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