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「ノイズに強い車載半導体」にこだわり抜く、日清紡マイクロデバイスあらゆる車載半導体にノイズ対策を!

半導体/電子部品の誤動作を引き起こす電磁ノイズ。進化が目覚ましい自動車はより過酷なノイズ環境になって一層のノイズ対策が求められ、設計の複雑化やコスト増を招いている。こうした課題を解決するため車載用ノイズ対策アナログ半導体製品の開発に注力する日清紡マイクロデバイスの取り組みを紹介する。

» 2023年06月07日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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 自動車は、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字を取った「CASE」という言葉に代表されるように、さまざまな分野で急速に進化しつつある。それに伴い自動車に搭載される電子制御ユニット(ECU)の数は増え、電子部品の搭載点数も増加し続けている。

 自動運転に向けては、ドライバーの代わりに車の周囲を監視するセンサーが数多く取り付けられ、さまざまな先進運転支援システム(ADAS)が実用化されている。コネクテッドでは自動車に通信機能が搭載され、インターネットや他の自動車、搭乗者のスマートフォンなどと無線通信ができるようになっている。他にも、キーレスエントリーシステムやタイヤ空気圧監視システムなど、新たに自動車に搭載されるようになった機能を挙げれば切りがない。

 自動車が目覚ましく進化する一方で、より深刻化している課題が存在する。それが「ノイズ対策」だ。

重要性が増す自動車のノイズ対策

 ご存じの通り、電磁ノイズは電子部品の動作に悪影響を及ぼし、電子部品の誤動作や故障を招く。ノイズによる電子部品の誤動作が自動車で生じると致命的な事故を招く恐れがあるため、古くからノイズ対策が実施されてきた。だが、昨今の急激な自動車の進化に伴って旧来のノイズ対策では不十分になり、より高度で徹底したノイズ対策が必要になった。実際に、ノイズ起因の不具合発生は後を絶たない。ADASのように人の生命に直結する自動車の走行をECUが制御するようになった昨今の自動車開発において「ノイズ対策」は重要な課題なのだ。

自動車の周囲にはさまざまな電磁波が存在し、ノイズ環境は過酷になっている[クリックで拡大]提供:日清紡マイクロデバイス

 自動車における従来のノイズはラジオやテレビといった放送波によるものが主だった。そのため、放送波で使用される数百キロヘルツから、せいぜい数百メガヘルツ程度の周波数の電磁波対策をすれば事足りた。しかし昨今は、放送波だけでなくBluetoothなどで使用される2.4GHz帯やGPSで使用される1.5GHz帯など、さまざまな周波数の電磁波が車内に存在する。ADASで用いるミリ波レーダーは24GHz帯や76GHz帯を使用し、キーレスエントリーでは125kHz帯の無線が使われる。放送波よりも電磁波の強度も高くなっている。幅広い周波数帯域のノイズに強固な対策を講じなければならないのだ。しかも、ECU、電子部品の搭載点数の増加に伴いノイズが入りこむ余地も増えており、漏れなくノイズ対策を徹底することも求められる。

自動車開発現場の大きな負担になっているノイズ対策

 ノイズ対策の重要性が増すと同時により過酷なノイズ環境にさらされる自動車。その開発現場にとって、ノイズ対策の負荷は大きい。ノイズを常に意識した設計を迫られる上に、ノイズ耐性の評価は車両やECUがほぼ完成した最終段階にしか実施できない場合が多い。開発の最終段階のノイズ耐性評価で問題が発生すれば、原因解析からECUの設計変更、さらには搭載部品の選定段階まで手戻りが発生する。大きな手間と時間を要する上に、1日数十万円という利用料がかかるノイズ評価施設を借りて再評価試験も実施しなければならない。再評価でも問題が判明すると、再びコストと時間を浪費することになる。

 こうした状況を受けて、自動車業界や車載用電子部品業界は自動車のノイズ対策を徹底できるさまざまな標準規格を策定するなど、課題解決のための取り組みを進めている。

 半導体のEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)性能評価試験に関する規格(以下、EMC規格)もその一つだ。半導体など電子部品のノイズ耐性の評価基準を業界で統一することで電子部品単体のノイズ耐性を担保し、ECU設計時のノイズ対策負荷を軽減してノイズ耐性評価による手戻りをなくすことを目的にしている。こうした規格は、特に電子部品を置き換える場合に効果を発揮する。同じ評価基準で評価された部品同士の置き換えであれば、確実に大きな費用が発生するノイズ耐性評価による手戻りを防げるためだ。

 EMC規格は2020年前後から策定され、多くの車載半導体/電子部品メーカーが規格にのっとった製品の開発を進めている。日清紡マイクロデバイスもその一社で、EMC規格策定に参画してノイズ対策車載半導体製品を積極的に展開している。

積極的にノイズ対策に乗り出す日清紡マイクロデバイス

 日清紡マイクロデバイスは、2022年1月に新日本無線とリコー電子デバイスが経営統合して誕生した日清紡グループ傘下の半導体メーカーだ。新日本無線が得意としたオペアンプで世界5位、国内2位、リコー電子デバイスが得意としたLDOレギュレータでは世界4位、国内首位のシェアを有し、信号系、電源系の双方を備える総合アナログ半導体メーカーとして事業強化を進めている。車載用アナログ半導体の強化にも積極的に取り組んでおり、ASILなどに代表される機能安全に対応したADAS向け車載カメラ用複合電源IC(PMIC)「RN5T5611シリーズ」や、車両のxEV化に伴うパワーコントロールユニットインバータ周りの電圧をモニターする高電圧モニターIC「NJU7890」、レゾルバ励磁アンプ「NJU7870」といった昨今のニーズに応えた尖(とが)った製品をリリースしている一方で、長らく使われてきているLDOやオペアンプといった車載汎用(はんよう)製品においても「高EMC性能」という切り口でノイズ対策製品のラインアップ強化を図っている。

2021年における世界のオペアンプ、コンパレータ、LDOレギュレータの販売金額シェア 出典:マーケティング・アイの調査結果[クリックで拡大]提供:日清紡マイクロデバイス

 日清紡マイクロデバイスが高EMC性能を特に急いでいるのが汎用製品だ。同社営業企画課専門課長の梶谷繁樹氏は「汎用製品は多くの車種、ECUに搭載されている。部品の共通化が進む昨今はその傾向が顕著だ。そうした汎用品に問題が生じるとその影響範囲は広く、甚大な被害が発生する」と説明する。

 「新たに採用する半導体製品だけでノイズ対策を施しては不十分。古くから採用している汎用製品など搭載する半導体製品、特に信号ラインと電源ラインのノイズ耐性を高くしていかないと、自動車の開発現場の課題は解決できない」(梶谷氏)とし、従来製品にノイズ対策を施した改良版製品の展開にも注力している。

ノイズに強い汎用オペアンプ

 2022年には、代表的な汎用オペアンプである「NJM2904」「NJM2902」のノイズ対策強化版「NJM2904B」「NJM2902B」の量産を開始した。

汎用オペアンプ「NJM2904B」「NJM2902B」の概要[クリックで拡大]提供:日清紡マイクロデバイス

 オペアンプにおけるノイズ対策は従来、信号入力段にノイズフィルターなどの対策回路を設けてきた。ただ「ノイズの侵入経路や回路動作への影響、誤動作に至るメカニズムを徹底的に解析した結果、信号入力段だけでなく電源入力部や増幅段、出力段にも対策が必要だと分かった」(梶谷氏)という。そこで、電源入力部や増幅段、出力段にも対策回路を実装したNJM2904B/同02Bを開発した。

 「一定条件(IEC 62132-4/ED-5008準拠の評価下)での耐ノイズ性能評価において、NJM2904B/同02Bは幅広い周波数帯域で優れた性能を発揮している。今後、自動車のノイズ環境がさらに悪化していくことが見込まれるが、そうした将来にも十分対応できるオペアンプになった」(梶谷氏)とする。

「NJM2904B」「NJM2902B」の紹介ビデオ

ノイズに強い汎用電源IC

 電源ICにおいても、自動車用途で汎用的に使われるボルテージレギュレータ「R1525シリーズ」「R1526シリーズ」やボルテージトラッカ「R1540シリーズ」で必要とされる低消費性能や高速応答性能といった基本的な電気的特性だけでなく、高い耐ノイズ性能を誇る製品の量産を開始している。

ボルテージレギュレータ「R1525シリーズ」「R1526シリーズ」および、ボルテージトラッカ「R1540シリーズ」の概要[クリックで拡大]提供:日清紡マイクロデバイス

 これらの電源ICも、IC内のさまざまな部分にノイズ対策回路を挿入して徹底してノイズの影響を除去した。R1540シリーズは、2Wという大きなノイズ(=DC〜1GHz)を印加しても出力はほぼ変化せず、一定の出力電圧を供給できる。「電源ICの場合、ノイズの影響で誤動作を起こして出力電圧が変動してしまうと、(電源ICから電源の供給を受ける)マイコンなどの動作が停止してECUや車両自体を止めてしまう。電源ICの耐ノイズ性能はECUや車両の性能に直結する。電源ICでも耐ノイズ性能に優れた製品を順次投入していく」(梶谷氏)とする。

「R1525/同26シリーズ」紹介ビデオ
「R1540シリーズ」紹介ビデオ

総合力とノウハウを生かしノイズに強い車載用アナログ半導体を提供

日清紡マイクロデバイス 電子デバイス事業統括本部 営業本部 営業統括部 営業企画課 車載領域 専門課長 梶谷繁樹氏

 日清紡マイクロデバイスが耐ノイズ性能に優れるアナログICを相次いで製品化している背景について、梶谷氏は「半導体のノイズ対策は、回路技術の他にもチップレイアウト技術やパッケージング技術など総合的な力が問われる。日清紡マイクロデバイスは前工程から後工程までの一貫した自社生産体制があり、さまざまな技術を複合させて耐ノイズ性能を高められるという強みがある。高度なノイズ対策が要求されるオーディオ向け製品で長く培ってきた技術ノウハウがあることも、ノイズに強い製品を開発できる理由の一つに挙げられる」とする。

 梶谷氏は「耐ノイズ性能は数値、スペックとして表しにくく、軽視されることも多い。ただ、車両/ECU開発においてはとても重要でコストにも大きな影響を及ぼす。今後も徹底したノイズ対策製品を提供する」と語る。日清紡マイクロデバイスは、今後発売する車載用製品で同様の対策を施していく予定である。NJM2904/同02のように既に車載用途で実績がある既存製品のノイズ対策強化版のラインアップも拡充する方針だ。ノイズ対策技術や製品情報は、同社の会員制Webサイト「myNISD」などを通じて公開していく。

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提供:日清紡マイクロデバイス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年7月6日

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