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安全運転を支える“小さな光源” ドライバー監視システムの高性能化に貢献するスタンレーの赤外LED/VCSEL配光・光出力で幅広い選択肢を用意

自動車の安全性を高めるために、ドライバー・乗員・車室内をモニタリングするシステムの開発や自動車への搭載が進んでいる。これらのシステムではより高性能なセンシングが必要になるため、センサーに用いる光源にも進化が求められている。こうした要求に応えるべく、車載用の赤外VCSELの市場投入と赤外LEDのラインアップ拡充にいち早く取り組んでいるのがスタンレー電気だ。

» 2023年08月28日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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新たな車載アプリケーションで求められる「光源」の進化

 自動車の安全性と快適さを高めるために、さまざまな車載アプリケーションの開発や搭載が進んでいる。ADAS(先進運転支援システム)はその一例だ。ADASやAD(自動運転)では車体周辺にカメラ、レーダー、LiDAR、超音波センサーなど複数のセンサーを駆使して歩行者や走行環境といった自動車の周囲の状況を把握し、ドライバーへの警告や運転の制御を行う。

 ADASの一つとして、自動車の周囲だけでなく車室内もモニタリングして安全運転につなげる技術開発も加速している。その一つが、ドライバーの顔をカメラで撮影して居眠りやよそ見を検知するDMS(Driver Monitoring System:運転者監視システム)だ。DMSの採用は中国や欧州の自動車メーカーが先行していて、EUでは、2026年までに欧州で販売される全ての新車へのDMS搭載の義務化が決まっている。DMS市場は2023〜2024年に本格的に立ち上がり、今後急速に伸びていくとみられている。矢野経済研究所が2022年11月に発表した予測によると、DMSを搭載した自動車の世界販売台数は2022年の858万台から、2035年までに6574万台に拡大する見込みだ。

 従来の2D(2次元)のみでなく、車室内をくまなく3D(3次元)でセンシングして乗員や物をモニタリングし、安全性の向上やエンターテインメントの多様化/個別化につなげるOMS(Occupant Monitoring System:同乗者監視システム)の開発も進んでいる。

 DMSやOMSでは、対象物を最適な範囲と精度でセンシングすることが重要になる。そのため、カメラモジュールや画像を処理するソフトウェア(アルゴリズム)などの高性能化が求められている。カメラモジュールでイメージセンサーとともに使われる赤外光源も、新たなニーズが生まれているデバイスの一つだ。

 イメージセンサーの光源には、主に赤外LEDが使われている。だがDMS/OMSの高性能化のニーズが高まるにつれ、既存の赤外LEDでは対応しにくい新たな要求が出てきた。DMSはカメラを取り付ける位置がハンドルやピラー、センターコンソールなど車種によって異なる場合が多いことから、カメラの視野(FoV:Field of View)に適した配光制御ができる赤外光源が求められている。OMSは車室内全体をモニタリングするために、より高い出力を持つ赤外光源やより高精度に人や物を検知するセンサー用の赤外光源のニーズが高い。

 DMSとOMSでは、光源から運転者/乗員に赤外線が照射され、CMOSカメラで画像を記録。記録された画像でドライバーの視線やまぶたの動きなどを分析し、ドライバーの注意力や疲労レベルを判断、結果に応じてドライバーへ警告する。また、後部席の忘れ物や置き去りなども検知し、ドライバーのスマートフォンに警告を出す、といったシステムの構築も可能だ。カメラとVCSELなどの赤外光源で構成される3D ToF(Time of flight)技術は、高解像度の画像分析を可能にし、これらのDMS/OMSアプリケーション機能の高性能化を実現していく。

 こうしたニーズに応えるべく、赤外光源のラインアップを拡充しているのがスタンレー電気だ。同社は1970年代から赤外LEDを開発、製品化し、既に多くの市場実績を持っている。近年は車載用の赤外VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器型面発光レーザー)の開発にも力を入れている。赤外VCSELと赤外LEDそれぞれの特徴を生かし、DMSやOMSのセンサー用光源として使いやすい仕様を持つ品種のラインアップを拡充している。

DMS/OMSのセンサー用光源に適した赤外VCSEL/赤外LEDのラインアップの例 提供:スタンレー電気

“繊細な”センシングを可能にする赤外VCSEL

 赤外VCSELは半導体レーザーの一種で、文字通り基板に対して垂直方向にレーザー光を出射する素子だ。高い指向性を持ち、温度条件や駆動条件(大電流による点灯)による影響が少なく、安定した性能を得られる。赤外LEDよりも発光スペクトルが非常に狭いので、バンドパスフィルターの通過帯域を狭くでき、太陽光(外乱光)の影響を抑えられることも特徴だ。

 LEDと特に異なるのが、照射パターンと応答特性だ。

 LEDの照射パターンは、中心の光が最も強く円形に広がるように発光する。赤外VCSELは、ディフューザーにより素子から放射されたレーザー光を散乱させ、広角・面内均一な照射を実現し、同時に、局所的な集光を防ぐことで人の眼の安全性を確保している。LEDが、「レンズと組み合わせて光を集光・拡散し、空間を広く照らす」のに対し、赤外VCSELは「ディフューザーで光を拡散し、長方形の面を均一に照らす」というイメージだ。この「長方形に均一に照らす」という赤外VCSELの特徴によってカメラのFoVを均一に照らすことで、DMS/OMSによる繊細なセンシングが実現する。

赤外LEDと赤外VCSELのデバイスの構造および配光の違い 提供:スタンレー電気

 赤外VCSELの応答速度は、LEDよりもかなり速い。パルスの立ち上がり/立ち下がり時間はLEDの10〜15ナノ秒に対して赤外VCSELは1ナノ秒と、単純計算でも10倍以上高速だ。ToFセンサーの光源に使用すると、LEDを光源とした場合よりもToF画像の高解像度化や広角化、リアルタイム化(低遅延化)を実現できる。こうした特徴から、赤外VCSELはOMS用の3Dセンシングや、ドライバーの非常に複雑な動きやジェスチャーを3次元で認識し、コントロールするなどの用途に適している。

赤外VCSELとLEDの応答速度の比較。応答速度が高速な赤外VCSELをToFセンサーの光源に用いた方が、ToF画像が鮮明になる 提供:スタンレー電気

 スタンレー電気は、光出力が2.1Wの「UDN1ZE65」と、2.8Wの「UEN1ZA9」を量産中だ。波長はいずれも940nmだ。車載用部品の品質規格であるAEC-Q102に準拠していて、アイセーフではレーザー製品の国際規格「IEC 60825-1」と米国規格「CFR Part 1040.10」の「クラス1(設計上、本質的に安全である)」を達成している。

 パッケージに銀を使っていないことも特徴だ。電子デバイスのパッケージや電極などに銀が使われていると、硫黄を含む雰囲気中では銀が硫化して硫化銀が生成されてしまい、素子や部品の不良につながる。そのため車載用部品では銀を使わないことが基本になっていて、スタンレー電気の赤外VCSELも徹底した硫化対策が施されている。

 ディフューザーの散乱光を受光するPD(フォトダイオード)をパッケージに搭載したバージョンもラインアップしている。ディフューザーが外れるとPDが反射光を受光しなくなるので、それを「異常」として検知する仕組みだ。スタンレー電気は、今後の開発製品全てにPD搭載パッケージ品を用意する計画だ。

赤外VCSELのデバイス構造と、配向制御による光り方の違い 提供:スタンレー電気

 さらに、出力が9.2Wの赤外VCSELも開発中だ。DMS搭載の義務化が進む欧州などで車室内全体も見たいというニーズの高まりに応え、既存の2品種よりも出力を大幅に高めた製品になる。9.2W品は現在、エンジニアリングサンプルを出荷していて、2023年内にリリースされる予定だ。

ハイパワーから広配光まで、バリエーションが豊富な赤外LED

 ToFセンサーやジェスチャーコントロールなど、高速応答性を持つ赤外VCSELが適している用途もあるが、市場実績が多くて赤外VCSELと比較して低コストな赤外LEDの需要はまだまだ大きい。

 スタンレー電気は、長年手掛けてきた赤外LEDでもDMSやOMS向けに車載仕様の「Vシリーズ」を拡充し、波長や出力、指向特性でバリエーションを増やしている。いずれもAEC-Q102に準拠している。

放射強度が強いハイパワー赤外LEDのラインアップを強化している 提供:スタンレー電気

 ドライバーの顔回りが見られれば十分なDMS用には、指向特性が60°あるいは45°の狭配光タイプのラインアップを拡充。従来手掛けてきた波長945nm品の他、855nmの「VMGN1107MS」も追加した。945nmは外乱光の影響を受けにくい波長だが、DMS/OMSによってカメラの搭載数が増えてくると、光源から照射された光が干渉し合う。そのため、ノイズ影響を受けにくいVMGN1107MSを開発した。945nm品については、放射強度(1A時)が従来品よりも高い1160mW/srで指向特性が45°の「VMNN110CMS」を追加した他、1050mW/srで60°の製品も開発中だ。

 狭配光かつハイパワーなので、アウターレンズを小型化できる、もしくはアウターレンズを不要(アウターレンズレス)にできるといったメリットもある。これはそのまま光学ユニットの小型化につながる。

 車室内全体を見ることが必要になるOMSでは、より広い角度で照射できる広配光タイプの品種を増やしている。既存品は指向特性が120°だが、150°品を開発中だ。120°品でも、放射強度を高めた新製品の開発が進んでいる。

 このように赤外LEDで配光や出力が異なる品種を増やすことは、光学設計の削減にもつながる。前述したように、DMS/OMS用のカメラは取り付け位置が異なるのでカメラの画角に必要な配光や照射距離も違ってくる。赤外LEDの選択肢が少ないと、光学部品/システムの追加が必要になるケースもあり、設計工数もコストも増加してしまう。

 顔認証による支払いや生体認証によるセキュリティ解除といった将来の車載アプリケーションを見据えた赤外LEDも開発中だ。波長は虹彩(こうさい)認証に適した810nmで、指向特性は50°、放射強度は600mW/srという仕様になっている。

中国での採用が進む

 赤外VCSELの量産化とハイパワー赤外LEDの製品群拡充により、スタンレー電気ではDMS/OMSのセンシングのニーズに応えられるラインアップが出そろった。

 赤外VCSELと赤外LEDのデザインウィンの獲得数は、自動車メーカーで既に26社、プラットフォームで30種類に上る。その他、提案中や評価中の案件も20件を超える。特に採用が進んでいるのが中国だ。DMS搭載の義務化によって市場拡大が見込まれている欧州に対し、中国は法制化とは関係なく最新機能を新車に搭載する傾向が強い。そのためDMSやOMSの採用に積極的な自動車メーカーが多く、スタンレー電気の赤外VCSELも既に中国メーカーの自動車に採用されている。

 DMS搭載で先行する日本や採用に積極的な中国、搭載の義務化が始まっている欧州などの市場に後押しされ、DMS/OMSの搭載数は今後も確実に増加するだろう。それに伴い、センサーの光源として必要な仕様も細分化していく可能性がある。そんなとき、赤外VCSELと赤外LEDの2種類の赤外光源を持ち、それぞれで製品ラインアップの拡充を続けるスタンレー電気は、DMS/OMSの設計者にとって心強い味方になるはずだ。

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提供:スタンレー電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年9月13日

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