――2026年4月からは新たな「中期経営計画2030」が開始しました。戦略をお聞かせください。
佐瀬氏 太陽誘電としては企業価値を上げて、電子部品メーカーとして存在意義のあるポジションまでもっていくことが大きな目標だ。中心となるのはMLCCとインダクターの2つだ。中期経営計画2025では通信用デバイスも主力製品だったが、中国のスマートフォンメーカーが主な顧客で、かつ太陽誘電はハイエンド向け高付加価値品を強みとする。そのため、中国ハイエンドスマホ市場の停滞によって売り上げも減少した。
MLCCとインダクターは、AIサーバや自動車分野での売り上げ増加が見込めるうえ、自動車分野ではハイブリッドコンデンサーの伸びも期待できる。これらをもって、今までは「MLCCのメーカー」だと思われていたところを「インダクターなど含む電子部品メーカー」という認識へと変えていきたい。
――太陽誘電が強みとする「ハイエンド向け高付加価値品」について、詳しくお聞かせください。
佐瀬氏 コンデンサーの開発から始まった会社として、積み重ねてきた技術力を最も生かして高付加価値を生み出せるのが、ハイエンドの領域だ。ここで言うハイエンドは、今ならAIサーバなどの最先端分野に向けた部品を指す。中期経営計画2030では、全社のQCD(開発力/収益力/供給力)強化に注力する。技術力は2025年までに十分強化したため、次は開発力を高めて提供につなげていきたい。
――柱とするMLCC、インダクターそれぞれの市場動向について教えていただけますか?
佐瀬氏 MLCCの進化は、その時代においてどんな電子機器がどう進化するかによって大きく左右される。かつてはスマホに最先端部品が投入されてきたが、それが電気自動車(EV)へと変わり、今はAIサーバに移りつつある。AIサーバでは積層数1000層、容量100μ〜220μFなど、過去最高に難易度が高いMLCCが要求されているが、技術力を生かし、機会を逃さずそこに特化していく。
インダクターは、コンデンサーが10個あれば必ず3個は必要になるような部品で、その関係性は昔から変わらないが、どんなインダクターをどう使うかは時代によって変わる。2021〜2025年はスマホやスマートウォッチ、イヤフォンなど小型機器向けの小型メタル系インダクターが大きく伸びた。
現状、コンデンサーが全市場でバランスよくシェアを獲得できているのに対し、インダクターは通信機器や情報機器などに偏っていて、車載、AIサーバなどの市場にあまり入れていない。しかし車載やAIサーバの市場は、これから電源構成が激変していくなかで、太陽誘電が開発する小型のメタル系インダクターでないと対応が難しくなっていくと考えている。そういうこともあり、中期経営計画2030ではインダクターの売り上げ伸び率を最も高く設定した。
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