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高効率/高集積そして高信頼性の電源を中心に、ビジネスのカバレッジを広げるインターシル 日本法人 社長 大久保喜司氏

インターシルは、日本国内でのビジネス領域を拡大させつつある。航空宇宙分野で培った高信頼技術などを駆使した電源ICを中心に、民生から産業、医療、通信、自動車など幅広い用途市場での拡販に取り組んでいる。「デザインイン数は着実に増えており、2016年は年率10%以上の売り上げ増を目指している」と語る同社日本法人社長の大久保喜司氏に聞いた。

» 2016年01月12日 00時00分 公開
[PR/EE Times]
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素早く競争力ある新製品を提供

――2015年4月に日本法人社長に就任されました。就任1年目となった2015年はいかがでしたか。

大久保氏 社長就任にあたり、日本におけるインターシルのカバレッジを広げたいと思い、2015年にさまざまな取り組みを実施してきた。

 1つはアカウント(顧客)別の営業体制を、プロダクト(製品)別に改めた。営業担当者の視野を広げつつ、それぞれの製品に応じた戦略を立案して、新たな顧客を獲得し、われわれのカバー範囲を広げることを狙った。特に、新製品については、発表前から販売戦略を練り上げ、発表と同時に顧客に対する本格提案ができるようプロモーションの迅速化を図り、より素早く競争力ある新製品を提供できる体制を目指した。

 同時に、販売代理店の担当者に対する製品/技術知識に関する教育、戦略の共有も従来以上に強化し、インターシルの社員同様の営業サポートを提供できるような仕組みを構築してきた。

 その他にも、カバレッジを広げるような販売活動を推進するキャンペーンや日本語プロモーション資料の拡充などを実施した。

 こうした取り組みの結果、2015年は、提案ベースの案件を大幅に増やすことに成功した。提案数を増やさない限り、デザインウィン、受注数も伸びない。既に2016〜2017年に向けた楽しみなデザインウィンも増えてきており、成長への手応えを感じているところだ。

成長著しい新興市場から刺激

――日本法人社長とともに、東南アジア/インド地区のカントリーマネージャーも兼務されています。

大久保氏 常にグローバルの視野を持ちたいという思いもあって兼務している。東南アジア/インド地区は、日本ほど、事業規模は大きくないが、成長が著しく、非常にアグレッシブだ。日本法人も、そういった刺激を常に受けて、積極的なビジネスを展開したいと考えている。

 今後は、日本、東南アジア、インドが連携し、シナジーを発揮できるようなことも検討していく。

電源分野への戦略的投資を継続

――2013年にNecip Sayiner氏がCEOに就任されて以来、電源分野への注力を強く打ち出されています。

大久保氏 当社は、電源以外にもToFセンサーやビデオ・シグナル・プロセッサ(VSP)などさまざまな半導体製品を展開している。そうした中で、売り上げのおおよそ6〜7割を占める主力である電源は、あらゆるアプリケーションで必要とされ、今後も需要は大きく拡大していく。そうした中でインターシルは、電源に最も注力し、電源に対し積極的な投資を継続して行い、革新的な技術/IPを生みだし続けるという姿勢を強く打ち出しているわけだ。

 ただ、電源以外の製品供給/製品開発をやめるというわけでは決してない。1960年代の創業以来、航空宇宙産業向けなどに代表される長期供給を要求される製品を供給し続けている半導体メーカーであり、ロングライフサポートを提供する。

――2016年ですが、どういった市場での成長を期待されていますか。

大久保氏 インターシル全社として、「インフラ/産業機器」「モバイル」「車載/航空宇宙」という市場に対し、それぞれのニーズに応じた電源製品を投入し、成長を実現することが基本コンセプトであり、2016年も変わらない。

電源IC事業で特に注力する3分野

 日本市場に限っては、既に実績あるコンピューティング、ディスプレイ、車載インフォテインメント、航空宇宙、ゲーム機分野を一層、強化する。それと並行して、新たに産業機器、通信インフラ機器、アミューズメント、OA機器、パワーモジュール、医療機器、計測機器への拡販を進めていく。

より多くの顧客と密接な関係作り

――いわば全方位、あらゆる用途分野で拡販を進めるということですね。

大久保氏 どこでも拡販するという意味合いではなく、各分野のトップメーカーや、今後トップメーカーになるであろうメーカーを重視し、そうしたメーカーと緊密な関係構築を図っていく。顧客と弊社の幹部間でもホットラインができ、互いに開発ロードマップを共有するような協業関係を構築することが、成長のカギの1つだと考えている。

――顧客との協業関係構築以外に向け、成長のカギとなる要素はありますか。

大久保氏 注力する用途市場のほとんどが、製品寿命の長いロングライフサポートが要求される分野だ。先ほども話した通り、インターシルには、ロングライフサポートを提供するという文化が定着し、強みになっている。ただ、そうしたロングライフサポートの提供は、航空宇宙分野を中心に、それぞれの顧客の要望に応じたカスタムサービスのような形で提供してきたものだ。今後、カバレッジを広げていく上では、あらゆる顧客に対し、分かりやすい形でロングライフサポートを提供できる体制が必要だと感じている。2016年は、より多くの顧客に対し、当社の強みであるロングライフサポートを提供できる仕組みを実現したいと考えている。

高効率、高集積、高信頼性を追求した電源IC群

――2016年の注力製品を教えてください。

同期整流コントローラ「ISL8117」のイメージ

大久保氏 1つは、2015年に発売した4.5〜60Vという広い入力電圧範囲を持つ同期整流コントローラ「ISL8117」だ。産業機器などで利用される48V系電源を、中間電圧を経ずに直接1Vを出力できるICであり、効率面、コスト面、サイズ面で優位性がある。既に、産業機器、医療機器などで多くの採用が決まり、2016年も積極的に提案を進めたい製品だ。

 また2016年は新世代のデジタル電源IC(デジタルマルチフェーズコントローラ)を投入することが決まっており、そちらにも期待している。

――新世代のデジタル電源ICとはどのような製品ですか。

大久保氏 当社にとって第5世代目に当たるフルデジタルの電源ICで、大電流が必要なサーバや通信ネットワーク機器、POL用電源に最適なICとして進化した製品となる。詳細については、2016年3月ごろの発売時を待ってほしい。

 新世代のIC以外にも、デジタル電源ICを用いたモジュール製品の拡販も注力したい。特に80Aの大電流を1パッケージで供給できるデジタル電源モジュール最上位機種「ISL8273M」は、通信インフラ機器向けに最適な製品であり、期待している。

 当社は、2008年にZilker Labsを吸収合併して以来、フルデジタル、アナログと掛け合わせたハイブリッド電源などをラインアップし、デジタル電源で圧倒的なリーダーの位置にある。欧米では、サーバ/通信機器を中心にデジタル電源の普及が進んできた。しかし、日本での普及は遅れ気味であり、デジタル電源のリーダーとして2016年は、積極的にセミナーを開催するなどし、デジタル電源普及に向けた啓もう活動を行う予定だ。

ドローンやロボットへも

――電源以外での注目製品を教えてください。

光学式距離センサー「ISL29501」のイメージ

大久保氏 1つは、距離センサーの「ISL29501」がある。「Time of Flight(ToF)」という当社独自の光センシング技術を使ったセンサーで、0〜2mの範囲で、±2cm程度の精度で距離を図ることができるセンサーだ。ドローンやロボット掃除機など成長が期待できる用途に応用できるという点でも、大いに期待しているところだ。

 加えて、車載向けビデオ・シグナル・プロセッサ(VSP)「TW8836」も引き合いが増えている製品だ。TW8836は、リアビュー車載カメラ映像用のVSPなのだが、万一、SoCがフリーズ(停止)した場合でも、カメラ映像を途絶えさせることなく、出力/表示できるフリーズ・ディテクション機能を搭載している展が特長で、フェイルセーフの観点から、注目を集めている。

――2016年の目標をお聞かせください。

大久保氏 2015年比10%以上の売り上げ成長とともに、2017年以降も年率10%の成長を継続できるよう、多くのデザインインの獲得を目指して行きたい。そのために、繰り返しになるが、より多くの顧客への提案活動を、スピード感を持って実施していく。


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提供:インターシル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2012年2月11日

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