Applied Materialsは50億米ドルを投じて、研究開発施設「Equipment and Process Innovation and Commercialization Center」を開設した。半導体チップの開発サイクルが短くなる中、ファブレスから装置メーカーまでを集結させ、半導体の研究開発および商業化を加速させることを狙う。
Applied Materials(以下、Applied)のCEOであるGary Dickerson氏は、半導体イノベーションにおいて、技術そのものと同じくらい、実現のスピードも重視されるようになりつつあると考えている。AIは、より高速なトランジスタや、広帯域メモリ(HBM)、半導体チップ間接続のさらなる高効率化などの需要をけん引している。このような性能向上を実現するためには、複数の製造プロセスをまたぐ進展が必要であり、それは、デバイスが生産段階に入る前から取り組むことになる場合が多い。
Appliedは、業界のより多くの研究開発活動を集約することで、このような競争において勝利を収められると確信し、50億米ドルを投じるという。
Appliedは2026年10月12日(米国時間)、米国カリフォルニア州シリコンバレーの同社敷地内にある研究開発(R&D)施設「Equipment and Process Innovation and Commercialization Center」(以下、EPICセンター)を正式に開設した。このEPICセンターは、Appliedのエンジニアと、半導体メーカーや大学、他の装置サプライヤーなどの研究者/エンジニアとが連携し、未来の半導体技術を開発することを目指すという。
この投資は、Appliedの研究開発インフラ拡充の範囲を超える。同社の半導体業界との関係性が、顧客と共同開発したプロセス向けに装置を供給する立場から、未来の半導体チップを定義する材料やアーキテクチャ、製造方法に関する意思決定に早い段階から参加する立場へと変化しつつあることを示している。
Dickerson氏は、今回の開設に先立って行われた米国EE Timesのインタビューの中で、「われわれは、4世代先取りして取り組みを進めている。このようなイノベーションをいち早く市場にもたらす者が勝利を獲得するのだ」と述べている。
異なるアプローチが求められる要因の一つに、半導体製品開発のペースと、新しい製造技術の導入に必要な時間との間でミスマッチが拡大しているという点がある。AIプロセッサは1年周期で開発されるようになったが、その一方で、新しい半導体材料は従来、研究段階から生産段階への移行に8〜12年間を要してきた。
HyperFRAME ResearchでDeep-Tech Practice Leadを務めるStephen Sopko氏は最近、Appliedから委託された半導体研究開発に関するホワイトペーパーを書いている。同氏は、AIプロセッサの迅速な開発サイクルに対し、新しい半導体材料/製造プロセスの生産段階への移行には非常に長い時間を要するため、その間でミスマッチが拡大しつつあると考えている。
Sopko氏はEE Timesに対し、「現在は、こうした時間のズレが存在するという点に注目が集まっているようだ。問題は、単に新しい材料を発見するのが難しいという点ではなく、半導体研究開発の構成の仕方そのものにある」と主張する。
研究は、大学や政府の研究施設から始まり、装置メーカーでのプロセス開発へと移行し、最終的に半導体メーカーへ進んで製造段階へと統合される場合が多い。各組織の目的や予算、成功基準などは、それぞれ異なっている。
このような移行により、遅延が生じる可能性がある。それが特に顕著になるのは、研究者が開発を手掛ける材料やプロセスが、後に大規模生産は実現不可能であると実証された場合だ。
Sopko氏は「対応すべき最も重要な課題は、研究開発の構成の仕方にある。インテグレーションのボトルネックは、物理的な要素にあるのではない。産業化の要素こそがボトルネックになっているのだ」と述べる。
Dickerson氏は「EPICは、Appliedが数年前に開始した移行の延長線上にある。われわれは、顧客が必要とする性能向上を実現するには、もはや個々の装置の性能を向上させるだけでは不十分だと認識し、プロセス統合に特化したチームを設立した。例えば、より高速かつ低消費電力のトランジスタのイノベーションを実現するには、そのフロー全体を統合する必要がある」と述べる。
EPICは、開発プロセスのかなり初期の段階で、このような機能を顧客企業のエンジニアと結び付けることを目指す。Dickerson氏は「大手半導体メーカーは、このEPICに専任のエンジニアを配置し、材料や堆積、プロセス統合、分析などの分野におけるAppliedの専門家たちと直接協業することになる」と述べる。
その目的は、有望な技術を特定して、それを完全な製造フローへ統合し、許容範囲の生産歩留まりを達成するまでの期間を短縮することにある。Dickerson氏はこれを「コンセプトから商用化へのスピードを高速化することだ」と説明する。
Appliedは既に、顧客企業の製造施設の近くで開発研究所を運営している。そこではエンジニアが既存のプロセスを最適化し、次世代技術の生産に向けた準備を進めている。
Sopko氏は「顧客企業の隣接地に研究所を置くことは、目の前の製造関連の問題を解決する際に効果的だ。しかし、現在および近い将来の要件に注力することになるため、3〜4世代先の技術に取り組む余地が少なくなる可能性がある」と指摘する。
EPICは、このような研究施設を補完するために設立された。顧客企業が特定のアーキテクチャにコミットする前に、長期的なアイデアを製造要件に対して検証することが可能だ。
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