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「冷める前の光」サブピコ秒で抽出、光電融合の新原理:NTTが実証(1/2 ページ)

NTTは、光電融合において高エネルギー状態の電荷(ホットキャリア)を取り出す光電変換を実証したと発表した。高効率な光電変換を実現する、新たな設計指針になるという。

» 2026年10月23日 10時30分 公開
[杉山康介,EE Times Japan]

 NTTは2026年10月22日、光電融合において高エネルギー状態の電荷(ホットキャリア)を取り出す光電変換を実証したと発表した。同日にメディア向け説明会を開催し、取り組みの内容を解説した。

高エネルギーな「ホットキャリア」で光電変換を高効率化

 光電融合デバイスにおいて、光電変換を担うのが光検出器だ。この光検出器に光信号が当たった瞬間の電子温度が高い状態を「ホットキャリア」、その後の熱が下がった状態を「コールドキャリア」と呼ぶ。

 従来の光電融合デバイスはコールドキャリアを使っていたが、高エネルギーなホットキャリアを電極から取り出せれば、より高効率な光電変換ができると考えられる。しかしホットキャリアは数百フェムト〜数ピコ秒で冷えてコールドキャリアになるため、一般的なエレクトロニクスでは計測が困難だった。

ホットキャリアの可能性 ホットキャリアの可能性[クリックで拡大]出所:NTT

 NTTは今回、厚さ15〜25nmの黒リン薄片をサファイア基板上に配置し、伝送線路で低音成長ガリウムヒ素(LT-GaAs)光伝導スイッチに接続する独自の光検出器を構築。黒リンは約0.3eVの狭バンドギャップと高いキャリア移動度を示し、ホットキャリアの光検出に適していると考えられてきた二次元半導体だ。

 黒リンの電極付近に波長517nm、パルス幅280フェムト秒のポンプ光を照射すると、発生した光電流が伝送線路を伝わる。ポンプ光と時間差をつけたプローブ光で光伝導スイッチを作動させ、時間差を掃引することで光電流の波形を取得したところ、約0.5ピコ秒の時間分解能を実現した。従来のオシロスコープを使った手法(約10ピコ秒)から大幅に改善し、ホットキャリアの超高速応答の直接計測を可能にしたという。

NTTが構築した光検出器 NTTが構築した光検出器[クリックで拡大]出所:NTT

 この検出器で電極付近を光励起したところ、ソース・ドレイン間に電圧を印加しないゼロバイアス条件でも鋭い光電流パルスが現れ、黒リン内部の光電流減衰時間は410±30フェムト秒、時間波形の動作帯域は260GHzを示した。NTTの担当者によると「従来の黒リン検出器で得られる光電流減衰時間と比べて3桁短く、動作帯域は2桁高い。これらはホットキャリアが直接取り出されていることを示す」という。

測定結果 測定結果[クリックで拡大]出所:NTT
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