この検出器は、黒リンをアルミナ(Al2O3)絶縁膜で覆い、酸化亜鉛(ZnO)ゲートを形成した試料を積層することで、高周波電流に対するRC遅延を抑えつつ、黒リンのキャリア極性と密度を連続的に制御できるようにしている。ZnOゲートで黒リンを正孔伝導(p型)から電子伝導(n型)まで変化させて光電流の向きを比較したところ、低速成分(コールドキャリア)は従来の光起電力効果の通り、ゲート電圧によって向きが反転したのに対し、高速成分(ホットキャリア)はキャリア極性にかかわらず同じ向きに流れた。
NTTは「高エネルギーなホットキャリアは、コールドキャリアの最大約1000倍大きな拡散係数で急速に広がる。黒リンでは電子より正孔の移動度が高く、光励起された正孔が優先的に電極に到達することで、極性にかかわらず正の光電流が生じる。超拡散と呼ばれる現象で、これによってホットキャリアがサブピコ秒で抽出されることを解明した」とする。
今回の実証によって、NTTは「従来は熱として失われていた光エネルギーを取り出せるようになり、より高効率な光電変換の設計につながる。デバイスを工夫すれば、ホットキャリアとコールドキャリアの両方を活用できる可能性もある」と述べる。これまで金属や半導体、ペロブスカイトなどで観測されていた超拡散現象を、光電変換の原理として使えることも新たに示したという。
今後は積層構造や電極材料の模索、金属ナノ構造などによる光吸収の増強で、ホットキャリア取り出しの効率向上を目指す。将来的には高速光通信や高効率な光検出、イメージング、センシングなどへの応用が期待できるとする。
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