キオクシアは、半導体メモリとストレージに関するイベント「FMS: the Future of Memory and Storage」で紹介した技術のメディア向け説明会を開催し、AI発展に伴うSSDの需要動向と考えられる進化の方向性、GPU性能向上で注目の「コンテキストキャッシュ」について紹介した。
キオクシアは2026年9月3日、半導体メモリとストレージに関するイベント「FMS: the Future of Memory and Storage」(2026年8月4〜6日、米国カリフォルニア州サンタクララ)で紹介した技術についてのメディア向け説明会を開催した。
同社SSD事業部SSD応用技術統括部で技術統括部長を務める濱田誠氏は、AI発展に伴うSSDの需要動向と、それに応える製品展開について紹介した。
濱田氏によると、全世界でのAIデータセンターへの投資額は、2030年には7兆米ドルにのぼる見込みだという。2025年の国内総生産(GDP)に照らし合わせると、世界第3位のドイツ(5兆5000億米ドル)や第4位の日本(4兆4000億米ドル)を凌ぐ金額だ。
AIビジネスで収益を生み出すには、学習データを使った推論が重要になる。そのためAI市場でも推論への関心が高まっていて、AIデータ量も推論用途で急増すると考えられる。濱田氏は「推論によるストレージ需要の拡大において、SSDを性能と容量の二軸で考えた場合、今後の進化の方向性は大きく4つに分かれる」と述べる。
1つ目が「アーカイブ用途」だ。濱田氏は「ニアラインHDDは容量の増加に対し性能の伸びが遅く、性能密度で見ると低下を続けている。SSDは設置スペースや消費電力、性能などでHDDを上回るメリットを提供できるため、将来的にはニアラインHDDからニアラインSSDに置き換わると考えられる」とする。
2つ目が「データ取り込み用途」で、この用途には大容量と同時に一定レベルの性能が求められる。キオクシアは2025年のFMSで、データ取り込み用途に向いた245.76TBのSSD「LC9シリーズ」を発表していて、DellからはLC9シリーズを最大40台可能なサーバ「PowerEdge R7725xd」が登場している。「PowerEdge R7725xdは2Uサイズで9.8PB(ペタバイト)を実現できる。AI向けのデータ検索やレビュー、オブジェクトストレージ用途に最適なソリューションだ」(濱田氏)
3つ目が総合的な性能の高さと高耐久が求められる「学習&推論用途」。キオクシアはこの用途に向けて、FMSでPCIe 6.0に対応した第10世代BiCS FLASH採用SSDの「CM10シリーズ」を発表した。コールドプレートによる直接液冷方式に対応していて、前世代の「CM9シリーズ」と比べ、シーケンシャルリードで最大約92%、ランダムリードで最大約85%の性能向上を実現している。
4つ目が、GPUがアクセスできるメモリ領域を拡大することで駆動効率を上げる「NVIDIA Storage-Next用途」だ。厳しい性能要求に対応するため、キオクシアは「XL-FLASH」技術を用いた「GPシリーズ」の開発を発表。FMSで第1弾製品「GP1シリーズ」を発表した。第2世代XL-FLASHを採用し、512バイト単位で最大1000万ランダムリードIOPSを実現するとしている。
「1000万IOPSという数字は非常に象徴的で、実現できたことをうれしく思っているが、ロードマップとしては2028年頃の1億IOPS実現を目指して開発を進めている。実現にはPCIe 7.0などの技術革新が必要だが、XL-FLASH技術で実現できると考えている。一方でNVIDIAが発表したSCADA(Scaled, Accelerated Data Access)についてはユースケースが確定されていないため、容量と性能のバランスなど、NVIDIAと協議しながら製品化に向けて対応している」(濱田氏)
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