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「これまでのロボット掃除機は“掃除機”ではない」――ダイソン 360 Eyeの開発者に聞く開発費は49億円、サイクロンも一から設計(1/2 ページ)

16年に及ぶ開発期間を経てロボット掃除機「360 Eye」を発表したダイソン。カメラで全方位を見回し、自身の位置をミリ単位で把握して掃除を行う。デジタルモーターの他、ゴミと空気を遠心力で分離するサイクロン機構も一から開発し、強い吸引力を追求した。ダイソンでロボット工学主任を務めるMike Aldred氏は、「これまでのロボット掃除は、ロボットではあるが“掃除機”とは呼べない。自分たちで“本物のロボット掃除機市場”を作る」と強調した。

» 2014年09月09日 07時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 「吸引力の変わらない掃除機」をうたうダイソンが、ロボット掃除機市場に参入した。

 同社は2014年9月4日、サイクロン式のロボット掃除機「ダイソン 360 Eyeロボット掃除機(以下、360 Eye)」を発表。約49億円を投資し、開発期間は16年間に及ぶ。iRobotの「ルンバ」をはじめ、ロボット掃除機が次々と発売され、売上台数を伸ばす中、「完璧で満足のいく製品ができるまで、とにかく試行錯誤を繰り返し」(ダイソンのMike Aldred氏)、満を持しての製品発表となった。

 価格は現在設定中で、2015年春に、世界に先駆けて日本で販売を開始する予定だ。ダイソンの創業者でチーフエンジニアを務めるジェームズ・ダイソン(James Dyson)氏は、「これまでにない、全く新しいロボット掃除機だ」と強調する。

360度を見回して、自分の位置を把握

「ダイソン 360 Eyeロボット掃除機」を掲げる、ダイソンの創業者ジェームズ・ダイソン氏。「われわれにとって日本はとても重要な市場なので、その日本で最初に360 Eyeを発売できることをうれしく思っている」と語った。

 360 Eyeは、本体の上部に搭載したカメラで常に360度全方位の映像を撮影し、「部屋のどこにいるのか」「まだ掃除していない場所はどこか」を正確に把握する。さらに、赤外線センサーで障害物を検知し、その障害物に近づくと動くスピードが落ちるようになっている。

 サイズは、直径23cmで高さ12cmと、競合他社品に比べてひと回りほど小さい。ブラシの長さが23cmと、本体の直径と同じなので、本体が入り込める所であれば掃除できる。重さは2.4kg。1回の充電で稼働する時間は20〜30分だ。車輪ではなくベルト駆動式(キャタピラ)なので段差に強く、厚いカーペットにも上がることができる。

360 Eyeの外観(左)と、ビジョンシステムに使われるカメラ。このカメラによって、全方位を見渡せる(クリックで拡大)
左=360 Eyeの裏側。ブラシが見える。右=車輪ではなくベルトで動く(クリックで拡大)

 ダイソンは、360 Eye向けにモーター「DDM(ダイソン デジタルモーター) V2」を新たに開発した。DDM V2は10万rpmで回転し、20W(ダイソンは「AW(エアワット)」と表記)の吸引力を実現している。20Wは、ダイソンのコードレス掃除機「DC62」の通常モードと同じくらいの吸引力だ(関連記事:コードレス掃除機を駆動時間で評価するのは間違っている! 掃除機は吸引力であり、ダイソンは妥協しない)。他社製品に比較すると数十倍にもなるという。

動画が取得できませんでした
360 Eyeのデモ。ランダムに動くことはなく、四角いらせん状に動く。無駄のない動きでゴミを吸い取れる
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360 Eyeと競合品の集じん力を比較するデモ。競合品のあとに、360 Eyeが動く。残っているゴミの量が明らかに違うことが分かる
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